ゲーム評論家の桐谷シンジです。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、2025年10月10日に待望のリリースを果たした「リトルナイトメア3」をクリアし、その衝撃的なエンディングの謎や、続編である4作目の発売の可能性について気になっているのではないでしょうか。 私も発売日から夢中でプレイし、エンディングを迎えた後、しばらくコントローラーを置いたまま呆然としてしまいました。

この記事では、リトルナイトメア3のエンディングに隠された伏線やメッセージを徹底的に考察し、シリーズの今後、特にリトルナイトメア4の発売可能性について深く掘り下げていきます。
この記事を読み終える頃には、リトルナイトメア3の物語の深層と、今後のシリーズ展開についての疑問が解決しているはずです。
- リトルナイトメア3のエンディング徹底考察
- 主人公と相棒の正体に隠された秘密
- 過去作との繋がりと新たな謎の分析
- リトルナイトメア4の発売可能性を多角的に予測
それでは解説していきます。

リトルナイトメア3のエンディングを徹底考察
リトルナイトメア3の物語は、これまでのシリーズ作品と同様に、多くの謎と深い余韻を残して幕を閉じました。 特にエンディングシーンは、様々な解釈ができる内容となっており、ファンの間でも活発な議論が交わされています。 ここでは、エンディングの各要素を分解し、その意味するところを深く考察していきます。

物語の結末:主人公は悪夢から目覚めたのか?
物語の終盤、主人公の少年と相棒のダリは、執拗に追いかけてくる巨大な手の怪物や、サングラスをかけた不気味な老人といった悪夢の住人たちとの死闘を繰り広げます。 そして最後の戦いを乗り越えた後、主人公はまるで悪夢から覚めるかのように、見慣れた自分の部屋らしき場所で目を覚まします。
悪夢の世界「ノーウェア」からの脱出
これまでのシリーズでは、歪んだ世界からの完全な脱出が描かれることはありませんでした。 1作目のシックスはモウを脱したものの、その先には暗い未来が待っていることを示唆されていましたし、2作目のモノはシックスに裏切られ、自身が新たな悪夢の主「シンマン」となるループに囚われてしまいました。

しかし、今作の主人公は明らかに「普通の家」へと帰還しています。 ゲーム冒頭で囚われていた牢獄のような場所が、実は主人公の精神世界、あるいは悪夢そのものであったと考えるのが自然でしょう。 エンディングで流れる「ノーウェアより愛を込めて」というメッセージは、この悪夢の世界からの卒業を意味しているのかもしれません。 「ノーウェア(Nowhere)」は「どこでもない場所」を意味し、子供の心の中に存在する恐怖や不安が具現化した世界そのものを指しているのではないでしょうか。
本当に「ハッピーエンド」なのか?
一見すると、主人公が悪夢を克服し、現実世界に戻れたハッピーエンドのように思えます。 しかし、リトルナイトメアシリーズがそう単純な物語でないことは、我々ファンが一番よく知っています。 部屋に戻った主人公の表情は、決して晴れやかなものではありませんでした。 むしろ、何か大切なものを失ってしまったかのような、寂しさと虚無感を漂わせています。
これは、悪夢の世界で唯一の仲間であった相棒「ダリ」との別れを意味しています。 悪夢を乗り越えることは、同時に子供時代の終わりを意味し、純粋な心が生み出した「架空の友達」との決別を余儀なくされるという、ほろ苦い成長の物語として解釈することができるのです。 つまり、物理的な恐怖からは解放されたものの、精神的な喪失感を伴う「ビタースイートな結末」と言えるでしょう。
相棒の正体はイマジナリーフレンドだった?
今作で最も大きな謎の一つが、鉄仮面をつけた相棒「ダリ」の存在です。 彼は言葉を発することなく、常に主人公に寄り添い、数々の困難を共に乗り越えてきました。 しかし、エンディングでは彼の姿はなく、主人公が一人で現実世界に戻ってきたことが示唆されます。
孤独な少年が生み出した「架空の友達」
提供されたプレイログからも分かるように、主人公とダリは息の合った連携で危機を脱していきます。 しかし、物語の最後の局面、悪夢の世界からの出口である鏡を前にした時、二人の間には見えない壁が存在するかのように、共に行くことはできませんでした。
これらの描写から、ダリは主人公の少年が孤独な現実から逃れるために生み出した「イマジナリーフレンド(架空の友達)」であった可能性が極めて高いと考えられます。 少年が抱える恐怖や不安に立ち向かうための「強さ」や「勇気」の象徴が、鉄仮面をつけたダリの姿だったのかもしれません。 彼がつけていた鉄仮面は、感情を見せない強さの表れであると同時に、その素顔が主人公自身のものであることを隠すためのメタファーだったとも考えられます。
「お別れ」の意味
イマジナリーフレンドとの別れは、子供が成長する過程で経験する一つの通過儀礼です。 映画「インサイド・ヘッド」に登場したビンボンのように、いつかはお別れしなければならない存在なのです。 主人公は、ダリという存在の力を借りて悪夢を乗り越える強さを手に入れました。 そして、もはや彼に頼る必要がなくなった時、悪夢の世界と共にダリもまた消えてしまったのではないでしょうか。 エンディングで主人公が見ていた「二人のマイホーム」の絵は、彼らが共に夢見た幸せの象徴であり、それが叶わぬ夢であったことを示す、非常に切ない演出でした。
ラスボスの正体と過去作との関係
リトルナイトメア3のラスボスは、サングラスをかけた盲目の老人と、彼が操る(あるいは彼自身の一部である)巨大な手の怪物でした。 このボスは、視覚ではなく聴覚を頼りに主人公たちを追い詰めてきます。
「見えない恐怖」の象徴
リトルナイトメアシリーズの敵は、子供が抱く普遍的な恐怖をモチーフにしていることが多いです。 例えば、長い腕でどこまでも追いかけてくる管理人(1作目)は「捕まることへの恐怖」、肥満のゲストたちは「食われることへの恐怖」を象徴していました。
今作のラスボスは、「正体のわからないものへの恐怖」や「見えないところから迫りくる脅威」を象徴していると考えられます。 サングラスで目を隠しているのは、彼が子供たちの夢や希望を「見ない」存在、つまりは子供の純粋さを理解しようとしない、抑圧的な大人の象徴なのかもしれません。 プレイヤーは、ドラを鳴らすなどして音で注意を逸らし、彼の弱点である目を攻撃することで勝利を収めます。 これは、大人の理不尽な圧力に対し、子供ならではの知恵と勇気で立ち向かう構図を表していると言えるでしょう。
エンディングに隠された伏線とメッセージ
エンディングには、今後の物語を示唆するかもしれない、いくつかの興味深い伏線が散りばめられていました。
主人公がつけていた「腕時計」
現実世界に戻った主人公の腕には、腕時計がつけられているのが確認できます。 これは些細なディテールですが、リトルナイトメアの世界観においては重要な意味を持つ可能性があります。 これまでの主人公であるシックスやモノには、このような現実世界を強く想起させるアイテムはありませんでした。 この腕時計は、主人公が「時間に縛られる世界」、つまりは大人の社会に組み込まれていくことを暗示しているのかもしれません。 悪夢からは解放されたものの、今度は現実という名の新たな不自由さに直面していく、という皮肉なメッセージとも受け取れます。
「ノーウェア」は終わらない
前述の通り、「ノーウェアより愛を込めて」というメッセージは、主人公の物語が一区切りついたことを示しています。 しかし、これはあくまで「主人公の悪夢」が終わっただけであり、悪夢の世界「ノーウェア」そのものが消滅したわけではないでしょう。 世界中にいる、恐怖や不安を抱えた別の子供が、また新たなノーウェアへの扉を開いてしまう可能性は十分にあります。 このメッセージは、開発チームからプレイヤーへの感謝の言葉であると同時に、「リトルナイトメアの物語はまだ続く」という宣言でもあるのではないでしょうか。
過去作(1・2)との繋がりを解説
リトルナイトメア3は独立した物語として楽しめますが、シリーズの随所に過去作との繋がりを感じさせる要素が配置されています。
要素 | 関連する過去作 | 考察 |
---|---|---|
収集アイテム | 1 & 2 | 1のノームや2の残像のように、今作でも子供の人形を集める要素があった。これらは悪夢の世界に囚われた子供たちの魂なのかもしれない。 |
シックスの空腹 | 1 | 主人公がお腹を押さえるシーンはなかったが、「食」に関するモチーフは病院ステージなどで見受けられ、生存本能というテーマを継承している。 |
別れの構図 | 2 | 2のラストでモノがシックスに手を離されるシーンと、今作で主人公とダリが鏡を隔てて別れるシーンは、共に「避けられない別れ」というテーマを描いている。 |
主人公の容姿 | 1 or 2 | プレイログで語られていたように、ドレッドヘアの主人公は過去作のどこかのステージでモブキャラとして登場していた可能性も否定できない。 |
このように、3はシリーズのテーマやモチーフを巧みに受け継ぎながら、新たな物語を紡ぎ出すことに成功しています。 特に2作目の「裏切り」という後味の悪い結末とは対照的に、今作は「成長と喪失」という、より普遍的で感傷的なテーマを描き切ったと言えるでしょう。
リトルナイトメア4の発売可能性はあるか?
さて、ここからが本題です。 リトルナイトメア3の感動的なエンディングを見て、多くのファンが「この素晴らしいシリーズをここで終わらせてほしくない」と感じたことでしょう。 果たして、リトルナイトメア4が発売される可能性はあるのでしょうか。 様々な角度からその可能性を探っていきます。

開発会社の現状と今後の展望
まず考慮すべきは、開発会社の状況です。 リトルナイトメア1と2を開発したTarsier Studiosは、同シリーズから離れることをすでに表明しています。 そして、今作リトルナイトメア3は、「Until Dawn」や「The Quarry」といったシネマティックホラーゲームで高い評価を得ているSupermassive Gamesが開発を担当しました。
この開発会社の変更は、シリーズの未来にとって非常にポジティブな要素だと私は考えています。 Supermassive Gamesは、プレイヤーの選択によって物語が分岐するインタラクティブなドラマ作りに長けており、そのノウハウはリトルナイトメアの世界観と高い親和性を持っています。 彼らが3でこれほど素晴らしい作品を作り上げたことを考えれば、パブリッシャーであるバンダイナムコエンターテインメントが、彼らと共にシリーズを継続していくことを望むのは自然な流れです。 Supermassive Gamesとしても、世界的に人気のあるIPを手がけることは大きなビジネスチャンスであり、続編の開発に意欲的である可能性は高いでしょう。
3のエンディングは続編を示唆しているか?
次に、物語の観点から続編の可能性を考えます。 前述の通り、リトルナイトメア3のエンディングは、主人公の物語としては非常に綺麗に完結しています。 彼が再び悪夢の世界に戻る、という展開は考えにくいでしょう。
しかし、これはシリーズの終わりを意味しません。 リトルナイトメアの最大の魅力は、特定の主人公の物語というよりも、「ノーウェア」という悪夢の世界そのものにあります。 この世界が存在し続ける限り、いくらでも新しい物語を生み出すことができるのです。
考えられる可能性としては、
- 全く新しい主人公の物語: 別の国、別の環境で暮らす子供が、新たな悪夢に囚われる物語。
- シックスのその後を描く物語: 1作目の後、女王の力を手に入れたシックスがどうなったのか。彼女が再び主人公として、あるいは敵として登場する可能性。
- 「ノーウェア」の起源に迫る物語: なぜこの悪夢の世界は存在するのか。その根源を探る、よりダークで壮大な物語。
このように、物語を拡張する余地は無限に残されています。 3のエンディングは、一つのチャプターを閉じると同時に、新たなチャプターへの序章と捉えることもできるのです。
ファンの反応と売上次第の側面
もちろん、ビジネスである以上、続編の制作が決定されるかどうかは、商業的な成功にかかっています。 その点において、リトルナイトメアシリーズは非常に強いIP(知的財産)です。
1作目、2作目ともに世界中で高い評価を受け、セールス的にも大成功を収めました。 そして今作3も、発売前から大きな注目を集め、発売後はSNSや動画サイトで連日トレンド入りするなど、その人気は不動のものとなっています。 世界中のファンが続編を熱望していることは間違いなく、その声が大きければ大きいほど、パブリッシャーも続編の企画に前向きになるはずです。 このレビューを読んでいるあなたの「4がやりたい!」という気持ちも、未来を作る大きな力の一つなのです。
過去のシリーズ発売間隔から予測
過去の発売実績から、次回作のタイミングを予測してみましょう。
タイトル | 発売日(日本) | 前作からの間隔 |
---|---|---|
リトルナイトメア | 2017年4月28日 | – |
リトルナイトメア2 | 2021年2月10日 | 約3年10ヶ月 |
リトルナイトメア3 | 2025年10月10日 | 約4年8ヶ月 |
これを見ると、およそ4年前後の開発期間をかけて新作がリリースされていることがわかります。 開発会社の変更などもあり、3は少し長めのスパンとなりましたが、Supermassive Gamesが開発体制を確立した今、次回作も同様のペースで進むと考えるのが妥当でしょう。
このペースを当てはめると、もしリトルナイトメア4が制作される場合、その発売は2029年頃になるのではないかと予測できます。 少し気が遠くなるような未来ですが、このクオリティの作品を生み出すには、それだけの時間が必要だということです。 気長に待ちましょう。
続編が出るとしたらどんな物語になるか?(独自考察)
最後に、ゲーム評論家として、もし4作目が出るとしたらどのような内容になるか、自由に考察してみたいと思います。
テーマは「信頼」と「不信」
3では「イマジナリーフレンドとの別れ」という内面的なテーマが描かれました。 次回作では、再び2のような「他者との関係性」に焦点が当たるのではないでしょうか。 ただし、2が「裏切り」という一方的な結末だったのに対し、4ではプレイヤーの選択によって「信頼」と「不信」のルートに分岐するような、Supermassive Gamesの得意なシステムが導入されるかもしれません。 協力するはずのパートナーが、プレイヤーの行動次第で敵にも味方にもなる…考えただけでも恐ろしいですね。
Co-op(協力プレイ)のさらなる進化
3で初めて本格的に導入されたオンライン協力プレイは、非常に好評でした。 4ではこのシステムがさらに進化する可能性があります。 例えば、一人は非力な子供、もう一人は特殊な能力を持つキャラクター(あるいは悪夢の住人?)といった、非対称な役割分担での協力プレイです。 これにより、さらに戦略的で緊張感のあるゲームプレイが生まれるでしょう。
悪夢の世界の「外」
これまでは悪夢の世界「ノーウェア」の中での物語でしたが、そろそろその外側、つまり現実世界への侵食が描かれるかもしれません。 悪夢の世界の存在が現実世界に影響を及ぼし始め、主人公は現実と悪夢を行き来しながら謎を解いていく…といった、よりスケールの大きな物語も期待できます。
これらはあくまで私の個人的な予測ですが、このシリーズにはそれだけのポテンシャルが秘められていると確信しています。
まとめ
リトルナイトメア3は、シリーズの伝統である独特の雰囲気と考察の余地のあるストーリーテリングを継承しつつ、「子供の成長と喪失」という新たなテーマを見事に描き切った傑作でした。 エンディングは一つの物語の終わりを告げると同時に、私たちの想像力を掻き立て、次なる物語への期待を抱かせるものでした。
現時点でリトルナイトメア4の制作が公式に発表されているわけではありません。 しかし、シリーズの世界的な人気、物語の拡張性、そして新たな開発会社が示した高いポテンシャルを考慮すれば、その可能性は極めて高いと言えるでしょう。
私たちファンにできることは、この素晴らしい作品を語り継ぎ、応援し続けることです。 そして、いつかまた、あの小さくて大きな悪夢の世界へ足を踏み入れる日が来ることを信じて待ちましょう。 その時が来たら、またこの場所でお会いしましょう。