ゲームジャーナリストの桐谷シンジです。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、待望のシリーズ最新作「グランド・セフト・オート VI(GTA6)」について、特に過去のシリーズ作品とどのような繋がりがあるのか、世界観やストーリー設定がどうなっているのかが気になっていると思います。 長年のファンであればあるほど、あのキャラクターは?あの街は?と想像が膨らみますよね。

この記事を読み終える頃には、GTA6と過去作の複雑で奥深い関係性についての疑問が解決しているはずです。
- GTAシリーズの繋がりを理解する最重要概念「ユニバース」
- HDユニバースの世界で再構築される新たな「バイスシティ」
- 過去作への愛に満ちたオマージュとイースターエッグの数々
- ファンが期待する過去キャラクター登場の可能性と考察
それでは解説していきます。

GTA6と過去作品との繋がり|シリーズの世界観「ユニバース」の謎を解き明かす
GTA6と過去作の繋がりを語る上で、絶対に避けては通れないのが「ユニバース」という概念です。 「全部同じ世界の出来事じゃないの?」と思うかもしれませんが、実はそう単純ではありません。 このユニバースの仕組みを理解することが、GTA6の世界を100%楽しむための最初の鍵となります。

GTAシリーズの繋がりを理解する鍵「ユニバース」とは?
ロックスター・ゲームスが公式に明言しているわけではありませんが、ファンの間では常識となっているのが、GTAシリーズが主に3つの異なる世界線(ユニバース)で構成されているという考え方です。
- 2Dユニバース: 初代『グランド・セフト・オート』や『GTA2』など、シリーズ初期の見下ろし型視点の作品群です。 リバティーシティ、バイスシティ、サンアンドレアスといったお馴染みの都市名はこの頃から存在しましたが、後の作品とは設定が大きく異なり、現在ではパラレルワールドとして扱われています。
- 3Dユニバース: 『GTAIII』で3Dオープンワールドという革命を起こして以降の作品群で、『GTA: Vice City』や『GTA: San Andreas』などがこれに含まれます。 多くのファンが愛するトミー・ベルセッティやCJ(カール・ジョンソン)といったキャラクターが活躍した世界です。 これらの作品は同じ時間軸を共有しており、キャラクターや組織が作品の垣根を越えて登場することもありました。
- HDユニバース: 『GTAIV』から始まった、高解像度グラフィックで描かれる現代的な世界線です。 『GTAIV』とそのDLC、『GTA V』がこのユニバースに属します。 3Dユニバースとは繋がりがなく、全く新しい世界として再構築されているのが最大の特徴です。 例えば、3Dユニバースのサンアンドレアスが「州」だったのに対し、HDユニバースではロスサントスを含む「州」の名前として登場するなど、設定がリブートされています。
GTA6はどのユニバースに属するのか?
結論から言うと、GTA6は『GTAIV』や『GTA V』と同じ「HDユニバース」に属します。

これは、グラフィックの進化やリアリティラインからも明らかです。 つまり、GTA6の物語は、ニコ・ベリックがリバティーシティでアメリカンドリームを追い求め、マイケル、フランクリン、トレバーがロスサントスで一世一代の強盗を繰り広げた、あの世界と地続きであるということです。
この事実は、過去作との繋がりを考察する上で非常に重要になります。 3Dユニバースのキャラクターがそのままの姿で登場することは考えにくいですが、HDユニバースのキャラクターや組織、出来事に関しては、何らかの形で言及されたり、再登場したりする可能性が十分にあるのです。
3Dユニバースとの関係性とは?(GTA: Vice Cityなど)
「待ってくれ、GTA6の舞台はバイスシティなんだろ?それなら『GTA: Vice City』と繋がってるんじゃないのか?」 その疑問、ごもっともです。 しかし、ユニバースの概念に当てはめて考えると、その答えは「NO」であり、同時に「YES」でもあります。
どういうことかと言うと、GTA6に登場するバイスシティは、3Dユニバースの『GTA: Vice City』に登場したバイスシティとは、名前と地理的モデル(マイアミ)が同じだけの、全く別の都市ということになります。 いわばパラレルワールドのバイスシティなのです。
ですから、『GTA: Vice City』の主人公トミー・ベルセッティが伝説のギャングとして名を馳せている、といった直接的なストーリーの繋がりはありません。 しかし、ロックスター・ゲームスがファンサービスを忘れるはずがありません。 HDユニバースの世界観の中で、3Dユニバースの出来事をセルフパロディとして描いたり、オマージュを捧げたりすることは大いに考えられます。 例えば、「昔、80年代にこの街で暴れまわった同姓同名のギャングがいたらしい」といった噂話や、よく似たデザインの建物、ファッションなどが登場する可能性は非常に高いでしょう。 直接的な繋がりはなくとも、古くからのファンがニヤリとできる仕掛けは満載のはずです。
GTA6と過去作品との繋がり|待望の舞台「バイスシティ」とレオニダ州の全貌
GTA6の舞台が、多くのファンが再訪を熱望していたバイスシティであることは、最初のトレーラーで明らかになり、世界中のファンを熱狂させました。 しかし、そのスケールは私たちの想像を遥かに超えるものになりそうです。

GTA6の舞台はフロリダがモデルの「レオニダ州」
今作の舞台は、単にバイスシティという一つの都市だけではありません。 フロリダ州をモデルとした架空の州「レオニダ(Leonida)州」全体が、プレイヤーの遊び場となります。
トレーラー映像からは、ネオンが輝くバイスシティの都市部はもちろんのこと、広大な湿地帯(フロリダのエバーグレーズ国立公園を彷彿とさせます)、美しいビーチが連なる諸島(フロリダキーズがモデルでしょう)、そして点在する小さな田舎町など、極めて多様な環境が確認できます。 「グラスリバー」「ポートゲルホーン」といった地名も判明しており、冒険心をくすぐられます。 このスケールアップは、単にマップが広くなるだけでなく、ロケーションごとに異なる文化や生態系、そして新たなミッションやアクティビティが生まれることを意味します。
HDユニバースで描かれる新しい「バイスシティ」
80年代の熱気と危険な香りに満ちていた3Dユニバースのバイスシティとは異なり、GTA6のバイスシティは現代の都市として再構築されています。
SNSのライブ配信やインフルエンサー、きらびやかなナイトクラブ、そしてその裏に潜む格差社会や犯罪。 トレーラーに映し出される風景は、現代のマイアミが持つ光と闇を色濃く反映しており、GTAシリーズが得意とする痛烈な社会風刺の格好の的となるでしょう。 過去作を知るファンにとっては、見覚えのあるランドマークが現代的にアレンジされているのを発見する楽しみもあるはずです。 例えば、オーシャンドライブをモデルにしたであろう海岸沿いの道は、よりリアルに、そしてより多くの人々で賑わう場所として描かれることでしょう。
GTA5のロスサントスを凌駕するマップの広さと密度
マップの広さについては、公式な発表こそありませんが、一部では**『GTA V』のロスサントスとブレイン郡を合わせたマップの1.5倍から3倍に達するのではないか**と噂されています。
これがもし本当なら、シリーズ史上最も広大なマップになることは間違いありません。 しかし、重要なのは広さだけではありません。 ロックスター・ゲームスは、その広大な世界を「密度」で満たすことに長けています。 GTA6では、探索可能な建物の内部が大幅に増加すると言われており、これにより世界の没入感は飛躍的に向上するはずです。 コンビニ、アパート、オフィスビルなど、様々な建物に自由に出入りでき、そこでの新たな出会いや事件が待っているかもしれません。 もはや、背景として存在するだけの「書き割り」の建物は過去のものとなるのです。
トレーラーから読み解くレオニダ州の多彩なロケーション
公開された2本のトレーラーには、レオニダ州の魅力を凝縮したようなシーンが散りばめられています。
- バイスシティの市街地: 高層ビルが立ち並び、高級車が行き交うエリア。ナイトライフも充実しており、様々な娯楽が待っていそうです。
- 湿地帯: エアボートで駆け抜けることになるであろう広大な湿地。ワニをはじめとする野生動物も多数生息しており、危険なミッションの舞台となる予感がします。
- レオニダ・キーズ: 美しい海に浮かぶ島々。リゾート地として賑わう一方で、麻薬密売などの裏稼業の拠点にもなっていそうです。
- 田舎町: 都市部とは対照的な、のどかな風景が広がるエリア。しかし、そこには独自のコミュニティとルールが存在し、一筋縄ではいかない人々との出会いがあるでしょう。
これらの多様なロケーションがシームレスに繋がっている世界を自由に冒険できると考えるだけで、今から期待に胸が膨らみます。
GTA6の主人公とストーリー – 過去作との接点は?
魅力的な舞台設定に加え、GTA6の物語を牽引するのが、シリーズ初の女性主人公を含む2人のキャラクターです。 彼らの物語は、過去作とどのように関わってくるのでしょうか。

シリーズ初の女性主人公「ルシア」と相棒「ジェイソン」
GTA6の主人公は、シリーズで初めてプレイアブルな女性キャラクターとなるルシアと、そのパートナーであるジェイソンです。
ロックスター・ゲームスの公式説明によると、彼らは「生き残るためにはこれまで以上にお互いを頼るしかない」状況に追い込まれるとされています。 この設定から、多くのファンは彼らの関係を、アメリカ犯罪史に名高い「ボニー&クライド」になぞらえています。
- ルシア・カミノス: 過去にレオニダ刑務所に服役していた経験を持つ女性。トレーラーでは、足首にGPSの追跡装置を付けられているシーンもあり、物語序盤は行動が制限される可能性も示唆されています。彼女がなぜ犯罪の世界に再び足を踏み入れるのか、その動機が物語の重要な鍵となりそうです。
- ジェイソン・デュアル: 元軍人であると噂される男性。トレーラーで見せるタトゥーが米軍の空挺兵のバッジに似ていることから、その信憑性は高いと見られています。彼の軍隊経験が、戦闘や乗り物の操縦スキルに反映されるかもしれません。
この2人の主人公を切り替えながらプレイするシステムはGTA Vから継承しつつも、より密接な関係にある2人を描くことで、物語への没入感はさらに深まることが期待されます。
GTA5を超える?よりシリアスで感情的な物語への期待
GTA Vの3人主人公は、それぞれが独立した背景を持ち、強盗ミッションを通じて交錯していくという構成でした。 一方、GTA6のルシアとジェイソンは、当初から運命共同体として描かれるようです。
信頼、裏切り、そして絶望的な状況下で試される絆。 単に破天荒な犯罪を繰り返すだけでなく、彼らの人間関係や感情の機微を深く掘り下げる、よりシリアスでドラマチックなストーリーが展開されるのではないでしょうか。 この点においては、ロックスター・ゲームスのもう一つの傑作『レッド・デッド・リデンプション2』で見せた、重厚なキャラクター描写の影響も感じられます。 GTAらしいブラックユーモアや社会風刺は健在でしょうが、それと同時に、プレイヤーの心を揺さぶるような感情的な体験が待っているかもしれません。
過去作キャラクターは登場するのか?ファンの考察まとめ
HDユニバースに属するということは、理論上、『GTAIV』や『GTA V』のキャラクターが登場する可能性はゼロではありません。 この点については、ファンの間で様々な憶測が飛び交っています。
- 直接的な登場の可能性: 可能性としては低いかもしれませんが、全くないとは言い切れません。 例えば、GTA Vのオンラインモードには、『GTAIV』のキャラクターの親族が登場した例があります。 もし登場するとすれば、物語に深く関わるメインキャラクターとしてではなく、カメオ出演や特定のミッションの依頼人といった形が現実的でしょう。
- 間接的な登場(言及)の可能性: こちらは非常に可能性が高いと考えられます。 ラジオのニュースで「リバティーシティで銀行を襲った東欧系の男」や「ロスサントスで連邦保管庫を破った3人組」のその後が語られたり、NPCの会話の中に彼らの名前が出てきたりするかもしれません。 また、GTA Vのライフインベーダー社(Lifeinvader)のような企業がレオニダ州に進出しているなど、組織や企業という形での繋がりも考えられます。 フランクリンが運営するセレブ向けソリューション事務所がバイスシティに支店を出している、なんて展開も面白いかもしれませんね。
ロックスター・ゲームスは安易なファンサービスを嫌う傾向にありますが、世界観の共有を示すさりげない繋がりは巧みに盛り込んでくるはずです。 ゲームの隅々まで探索し、そうした繋がりを見つけ出すのもGTA6の大きな楽しみ方の一つになるでしょう。
トレーラーに隠された過去作へのオマージュと小ネタ
トレーラー映像には、過去作、特に『GTA: Vice City』への愛に満ちたオマージュや、シリーズお馴染みの要素が多数隠されています。
- ルシアの出所シーン: ルシアが刑務所から出てくる場面は、『GTA: Vice City』の冒頭でトミー・ベルセッティが弁護士と合流するシーンの構図を彷彿とさせます。
- お馴染みの企業ロゴ: 航空会社「FlyUS」やタバコブランド「Redwood」など、HDユニバースでお馴染みの企業の看板や広告が至る所に見られます。
- 武器屋のフィル・キャシディ?: テレビCMに登場する武器屋の店主が、過去作に登場したフィル・キャシディによく似ていると話題になりました。HDユニバース版の新たなフィルなのかもしれません。
- 乗り物: シーシャーク(水上バイク)やバンシー(スポーツカー)など、シリーズファンにはお馴染みの乗り物が多数登場します。
- 飛行船: トレーラーの空に浮かぶ飛行船は、3Dユニバースでも広告媒体として登場していました。
これらの小ネタは、シリーズを長く愛してきたファンへの開発者からのメッセージとも言えます。 製品版では、さらに膨大な数のオマージュやイースターエッグが私たちを待っていることでしょう。
GTA5からどう進化する?システムと技術面の繋がり
物語や世界観だけでなく、ゲームシステムやそれを支える技術もまた、『GTA V』から正統進化を遂げ、シリーズの歴史を繋いでいきます。
2人主人公システムの新たな可能性
GTA Vの3人主人公切り替えシステムは画期的でしたが、GTA6ではルシアとジェイソンという、より関係性の深い2人に絞ることで、新たなゲームプレイ体験が生まれる可能性があります。
一部の情報では、ミッション中にリアルタイムでキャラクターを切り替えられるようになるとも言われています。 例えば、ジェイソンが運転する車からルシアが銃撃したり、一人が陽動している間にもう一人が目標を確保したりと、より戦術的で協力的なアクションが可能になるかもしれません。 2人のスキルや特性を活かし、状況に応じて最適なキャラクターを操作することが攻略の鍵となりそうです。
RPG要素の復活?『サンアンドレアス』の再来か
トレーラーには、ジェイソンと思われる男性がジムで筋トレに励むシーンがあります。 これは、多くのファンに愛された『GTA: San Andreas』の身体能力育成システムを思い出させます。
もしかしたらGTA6では、食事やトレーニングによって体型やステータス(体力、スタミナ、筋力など)が変化する、より深いRPG要素が復活するのかもしれません。 また、ルシアが地下格闘技のような場所で戦うシーンもあり、戦闘スキルの熟練度といった概念も導入される可能性があります。 キャラクターを自分好みに成長させる楽しみが加わることで、ゲームへの没入感はさらに高まるでしょう。
圧倒的グラフィックと物理演算がもたらす没入感
トレーラー第2弾の映像がPS5の実機映像であることが明かされ、その圧倒的なビジュアルは世界中に衝撃を与えました。
レイトレーシング技術によるリアルな光の反射や影の表現、キャラクターの筋肉の動きや汗、髪の一本一本まで緻密に描画するディテール、そして本物と見紛うほどの水の表現など、そのすべてが現行世代のゲーム機の性能を限界まで引き出していることを示しています。
さらに驚くべきは物理演算の進化です。 トレーラーでは、ルシアがソファに腰掛けると体重でクッションが自然に沈み込む様子や、瓶の中の炭酸の泡が動く様子まで描かれています。 このような細部へのこだわりが積み重なることで、レオニダ州という世界が本当にそこに存在するかのような、究極の没入感を生み出すのです。
GTA5とGTA6の進化点比較表
これまでの情報を基に、『GTA V』と『GTA6』の主な違いと進化点を表にまとめました。
項目 | グランド・セフト・オート V (GTA V) | グランド・セフト・オート VI (GTA6) |
---|---|---|
ユニバース | HDユニバース | HDユニバース (GTAIV, Vと世界観を共有) |
主人公 | 3人 (マイケル, フランクリン, トレバー) | 2人 (ルシア, ジェイソン) |
舞台 | サンアンドレアス州 (ロスサントス市とブレイン郡) | レオニダ州 (バイスシティ市を含む広大な州) |
マップ規模 | 広大 | GTA Vを大幅に超える可能性 (噂では1.5倍〜3倍) |
グラフィック | HD世代の基準 | 現行世代機 (PS5/XSX) の性能を最大限に活用 |
物理演算 | 当時の高水準 | 驚異的なディテールとリアリティを追求 |
RPG要素 | スキル等の限定的な要素 | 身体能力育成など、より深い要素の復活が期待される |
ゲームの雰囲気 | 過激な社会風刺、コミカルな側面も多い | よりシリアスで人間ドラマに焦点を当てる可能性 |
まとめ
今回のレビューで明らかになったように、「グランド・セフト・オート VI」は過去のシリーズ、特に**『GTAIV』と『GTA V』が存在するHDユニバースの正統な続編**として、その世界観を共有しています。
一方で、多くのファンが愛した『GTA: Vice City』の舞台を再訪するという形で、3Dユニバースへの最大限のリスペクトも示しています。 ただし、それは直接的な物語の繋がりではなく、あくまでHDユニバースの世界観の中で新たに描かれる「バイスシティ」であり、数々のオマージュやファンサービスという形で過去作の魂を受け継いでいくことになるでしょう。
シリーズ初の女性主人公ルシアと相棒ジェイソンが織りなす重厚な物語、ロスサントスを遥かに凌駕するであろう広大で緻密なレオニダ州、そして現行ゲーム機の性能を限界まで引き出した圧倒的な技術。 そのすべてが融合した時、私たちは再びゲームの歴史が変わる瞬間を目の当たりにすることになるはずです。
GTA6は、単なる続編ではありません。 それはシリーズの歴史と繋がりをリスペクトしつつ、オープンワールドというジャンルの新たな地平を切り拓く、革命的な一作となるでしょう。 2026年の発売が、今から待ちきれません。