ゲーム評論家の桐谷シンジです。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、HD-2D版『ドラクエ2』に『りゅうおう』が登場するという噂が気になっていることでしょう。 ラスボス戦の画像はフェイクなのか、もし本当なら『1』とどう関係するのか、疑問は尽きません。 私自身も本作をやり込み、その真相を確かめました。 結論から言えば、噂は「半分本当で、半分誤解」です。 しかし、その真相はリメイク版ならではの驚くべき追加要素に繋がっていました。
 
この記事を読み終える頃には、『ドラクエ2』リメイクの「りゅうおう」登場の真実と、その背景にある物語の深まりについての疑問が解決しているはずです。
- HD-2D版『2』に登場する「りゅうおう」の驚くべき正体
- 『1』のりゅうおうと『2』の重要人物を繋ぐ血縁関係
- リメイク版で追加されたシドー撃破後の衝撃的な新展開
- ハーゴンの動機を深掘りするリメイク版だけの追加シナリオ
それでは解説していきます。

ドラクエ2リメイクに「りゅうおう」登場!その正体とドラクエ1との関係
さて、いよいよ本題です。 HD-2D版『ドラゴンクエスト2』において、「りゅうおう」は登場するのか。 その答えは「イエス」です。 ただし、それは皆さんが想像する『1』のラスボスである「あのりゅうおう」本人ではありません。
結論:「りゅうおう」は登場する!しかし…?
まず、ペルソナ(読者)の皆さんが抱いている「ドラクエ2のラスボス戦にりゅうおうが乱入してくる」という疑問にお答えします。 その画像や情報は、半分正しく、半分間違っています。
 
HD-2D版『2』において、りゅうおう(正確には「竜王」という名を持つ者)は、ラスボス戦ではなく、物語の中盤から終盤にかけて、ある重要なイベントで主人公たちの前に姿を現します。 そして、それはハーゴンやシドーとは全く別の目的を持った登場です。
登場する「りゅうおう」の正体は『1』の「竜王のひ孫」
では、その「りゅうおう」とは何者なのか。 その正体は、『ドラゴンクエスト1』において、りゅうおうを倒した後のアレフガルド、竜王の城に残っていた「竜王のひ孫」です。
 
『1』のオリジナル版(ファミコン版)をやり込んだ方ならご存知かもしれませんが、『1』のエンディングには分岐がありました。 りゅうおうの「もし わしの みかたになれば せかいの はんぶんを おまえに やろう」という有名な問いに対し、「はい」と答えてしまうとゲームオーバー(復活の呪文が消える)になります。 しかし、スーパーファミコン版などのリメイク以降、この問いに「はい」と答えた後、ある場所へ行くと、物語が意外な形で続くのです。
りゅうおうを倒し、ラダトーム城に凱旋する前。 再び竜王の城を訪れると、そこには一人の魔物がいます。 彼こそが「竜王のひ孫」。 彼は『1』の主人公に対し、祖父(りゅうおう)が倒されたことを認めつつも、魔物としての誇りを失わず、いつか祖父を超える存在になることを誓います。 そして、『1』の主人公が「光の玉」を取り戻したことを確認すると、彼は主人公に「光の玉のかけら(あるいは光の玉の一部)」を託し、魔物と人間が共存できる未来を模索するために旅立っていく…というのが、リメイク版『1』で追加された後日談でした。
HD-2D版『2』に登場するのは、この「竜王のひ孫」なのです。 彼は『1』の時代から100年後の『2』の世界においても生き長らえ、「竜王」の名を受け継ぎ(あるいは自ら名乗り)、世界の動向を見守っていました。
なぜ「竜王のひ孫」は『2』の世界に登場するのか?
『1』のラストで、彼は人間の可能性を認め、光の玉の一部を託しました。 しかし、100年の時が経ち、『2』の時代になると、大神官ハーゴンが台頭し、世界は再び闇に覆われようとしています。 ハーゴンが信仰する破壊神シドーの力は、かつてのりゅうおうが振るった闇の力とは比較にならないほど強大で、邪悪なものです。
「竜王のひ孫」は、この世界の危機に対し、魔物としての立場から危機感を抱いていました。 そして、かつてアレフガルドを救ったロトの血を引く者たち、すなわちローレシアの王子、サマルトリアの王子、ムーンブルクの王女の三人がハーゴンに立ち向かおうとしていることを知ります。
彼は、主人公たちの前に姿を現します。 その目的は、彼らが本当に世界を救うに値する「勇者」であるかを見極め、そして、ハーゴンの強大な闇に対抗するための「最後の力」を授けるためです。 彼はもはや『1』のりゅうおうのような世界の破滅を望む存在ではなく、世界の均衡を守ろうとする、ある種の「導き手」として登場するのです。
「竜王のひ孫」との戦闘!真の力を解放する竜の姿
このイベントは、単なる会話シーンでは終わりません。 「竜王のひ孫」(作中では「ひ孫さん」などと呼ばれ、親しみを込めた(?)やり取りもあります)は、主人公たちに力を試すための戦いを挑んできます。
最初は、祖父であるりゅうおうを彷彿とさせる人間の姿(魔道士の姿)で戦いを挑んできます。 もちろん、100年の時を経た彼は強大であり、『1』の主人公が戦った時よりも遥かに多彩な呪文で主人公たちを圧倒します。 この時点で、プレイヤーは「まさか、あのりゅうおうと『2』のメンバーで戦うことになるなんて!」と驚愕することでしょう。
しかし、彼の真価はここから。 主人公たちが人間の姿の彼を打ち破ると、彼は主人公たちの力を認め、こう告げます。 「真の力を見せておらぬぞ」 「これこそわしの誠の姿。お前たちのおかげで取り戻すことができたのだ」
そう、彼は『1』のりゅうおう同様、真の姿である「竜の姿」を解放します。
HD-2Dで描かれる巨大な竜の姿は圧巻の一言。 ここからが第2ラウンドです。 竜の姿となった彼は、激しい炎や強力な打撃で襲いかかってきますが、これはもはや憎しみの戦いではありません。 ロトの血を引く者たちに、自らの全てをぶつけることで、彼らの潜在能力を最大限に引き出そうとする「試練」なのです。
勇者の剣が「ロトの流剣」へ!聖なる力の継承
激闘の末、主人公たちがこの「竜王のひ孫」(竜の姿)に勝利すると、彼は主人公たちの成長と強さを心から称賛します。 そして、約束通り、主人公たちに力を与えるのです。
「そなたらに我が竜の地に宿る聖なる力を与えよう。どんな闇をも切り裂く力を」
彼が力を解放すると、ローレシアの王子が持つ「勇者の剣」(あるいは「ロトのつるぎ」)がまばゆい光に包まれます。 そして、剣は新たな姿へと進化します。 これこそが、リメイク版で追加された最強の武器(あるいはイベントアイテム)、「ロトの流剣」です。
「竜王のひ孫」は、この剣こそがハーゴンの闇、そしてその先に待つであろう邪悪な存在を打ち破る鍵になるだろうと告げ、主人公たちをロンダルキアへと送り出します。 『1』において、人間の勇者に敗れた闇の王の血筋が、100年の時を経て、ロトの血を引く勇者たちに「闇を切り裂く力」を託す。 この展開は、オリジナル版を知るファンであればあるほど、胸が熱くなるリメイク版最大の追加要素の一つと言えるでしょう。
リメイク版ドラクエ2の衝撃展開!シドーを倒した後、本当の戦いが始まる
さて、「竜王のひ孫」から「ロトの流剣」を託された主人公たちは、いよいよハーゴンの待つロンダルキアへと向かいます。 ここからの展開は、基本的にはオリジナル版を踏襲していますが、HD-2D版には更なる衝撃が待ち受けていました。
ハーゴン、そして破壊神シドーとの死闘
ロンダルキアの厳しい道のりを越え、ハーゴンの神殿にたどり着いた主人公たち。
 
まずは大神官ハーゴンとの対決です。 リメイク版のハーゴンは、オリジナル版以上に多彩な呪文を操り、イオナズンや幻術(オリジナル版の「ハーゴンの影武者」とはまた違う演出)でプレイヤーを苦しめます。
ハーゴンを倒すと、彼は自らの命を生贄に捧げ、破壊神シドーを召喚します。 「何もかも無に返す。破壊の神シドーよ。今ここに生贄を捧げよう」 この絶望的な展開は、オリジナル版そのままです。
そして、破壊神シドーとの最終決戦。 シドーの圧倒的な攻撃力、ベホマによる全回復、そして高い守備力は健在です。 ここまでの冒険で培った全てをぶつける、まさに死闘となります。
シドー撃破!しかし闇は消えていなかった…
激闘の末、ついにシドーを打ち破る主人公たち。 オリジナル版では、ここでシドーは断末魔を上げ、世界に平和が戻り、エンディングへと続いていきました。 私も「やった…!終わった!」とコントローラーを握る手に力が入った瞬間でした。
しかし。 HD-2D版は違いました。
シドーが倒れた瞬間、世界が揺れ、空間が歪み始めます。 「まだ消えぬ。まだ終わらぬ。大いなる闇の力は」 という謎の声が響き渡り、主人公たちは足元の床が崩れ、奈落の底へと落ちていきます。
「何が起きてるの?」 「ここすごい体が重い」 「絶対に手を離しちゃだめ」
三人は必死に手を取り合いますが、強大な闇の力によって引きずり込まれていきます。 オリジナル版のエンディングを知っているプレイヤーほど、この展開には度肝を抜かれたはずです。 そう、ハーゴンもシドーも、本当の「大いなる闇」が生み出した駒に過ぎなかったのです。
「暗黒の神」マジャラガ出現!大いなる闇の意思
三人がたどり着いたのは、禍々しい闇に包まれた異空間。 そこで彼らを待っていたのは、シドーをも超える巨大な、見慣れないモンスターでした。
文字起こしの情報(動画)では「マガルギ」という名前のように見えましたが、これは「闇の意思」そのものが具現化した存在のようです。 (※正式な名称については、今後の公式情報や攻略本などを待つ必要がありますが、ここでは仮に「真ボス」と呼びます)
この真ボスは、登場と同時に「闇の衣」をまとっています。 この「闇の衣」は、『1』のりゅうおうがまとっていたものと酷似していますが、より強力なものです。 この衣をまとっている間は、主人公たちのいかなる攻撃もほとんど通用しません。
ここで、あの「竜王のひ孫」とのイベントが生きてきます。 主人公が道具から「ロトの流剣」を使う(あるいは自動的にイベントが発生する)と、剣が聖なる光を放ち、真ボスの「闇の衣」を打ち破るのです。
「またしても我が闇の衣を打ち破るか。我は光世界に生まれずる暗黒の神」
衣を剥がされた真ボスは、その醜悪な本体を現し、戦闘曲も専用のものに変化します。 ここからが、HD-2D版『ドラクエ2』の「真の最終決戦」の始まりです。 「竜王のひ孫」が託した光は、まさにこの瞬間のためにあったのです。
形態変化と激化する戦い!ルビスと仲間たちの助け
この真ボスは、当然ながらシドーを遥かに凌ぐ強敵です。 闇の波動、強力な全体攻撃、そしてベホマ(!)まで使用し、一筋縄ではいきません。 さらに、一定のダメージを与えると、形態を変化させ、さらに攻撃が激化します。
 
「全身から闇の力が溢れ出す」 「うわ、こからが本番ってこと?」
絶望的な状況の中、主人公たちを導く声が響きます。 「勇者たちよ」 「この声はルビス様」
そう、ロトシリーズの世界を見守る精霊ルビスが、闇に閉zされた空間に光を送り、主人公たちを導いてくれます。 さらに、『8』のラプソーン戦を彷彿とさせる演出として、これまで冒険で出会ってきた仲間たち(あるいは『1』の勇者たちの幻影?)が主人公たちを支え、力を与えてくれるような描写も挿入されます。 (文字起こしでは「ミラ」「ラーメンだ」といった空耳がありましたが、これはおそらく『1』の仲間や『2』で助けた人々を象徴する演出でしょう)
「小さな光など大いなる闇で飲み込む」 「希望の光はどんな闇の中だって輝ける」 「世界は優しい光で満ちています。私たちがそれを守り抜きます」
仲間たちの思いとルビスの光、そして「ロトの流剣」を手に、三人は最後の戦いに挑みます。 この一連の流れは、オリジナル版のシドー戦があっさりしていた(倒したら即エンディングだった)ことへの、リメイク版スタッフからの「回答」とも言える、非常にドラマチックで熱い展開です。
この追加シナリオが意味するものとは?
なぜ、リメイク版でシドーの先にこのような真ボスを用意したのか。 私は、ここにHD-2D版『ドラクエ3』への強い繋がりを感じずにはいられません。 『3』において、勇者ロトが倒した「大魔王ゾーマ」。 彼は「闇の衣」をまとっていました。
『1』のりゅうおうも「闇の衣」をまとっていた(『3』リメイクでの設定)。 そして『2』リメイクの真ボスも「闇の衣」をまとっている。 これは、ゾーマが倒されても、その根源である「大いなる闇の意思」は滅んでおらず、時代を超えてアレフガルド(とローレシア)の世界を脅かし続けていたことを示唆しています。 りゅうおうも、ハーゴンも、シドーすらも、その「大いなる闇」に利用されていた、あるいはその闇から生まれた存在だったのかもしれません。
『2』の主人公たちがこの真ボスを打ち破ったことで、ロトの伝説は「シドーを倒して平和になった」という物語から、「ロトの時代から続く『大いなる闇』との戦いに、一旦の終止符を打った物語」へと昇華されたのです。
ハーゴンの悲しき過去?リメイク版で追加された衝撃のビジョン
このリメイク版の追加要素は、真ボスを倒した後にも続きます。 ここが、私が本作で最も衝撃を受け、深く考察させられた部分です。
真ボス撃破後に流れる謎の映像
真ボスを打ち破り、異空間から脱出しようとする主人公たち。 その時、彼らの脳裏に、あるビジョンが流れ込みます。 それは、敗れ去ったはずの大神官ハーゴンの「思い」や「過去」を示唆するような、断片的な映像でした。
「女王様」とは誰なのか?ハーゴンの動機考察
ビジョンの中で、ハーゴン(らしき人物)は、「女王様」と呼ばれる謎の存在に仕え、深く思慕していた様子が描かれます。 しかし、その「女王様」は、「先は長くない」「別れの時は近い」と語り、やがて命を落としてしまったようです。
ハーゴンは嘆き悲しみます。 「女王様、どうして どうして 行ってしまったのですか」
そして、彼の悲しみは、やがて憎しみへと変わります。 「勇者だ。勇者のせいだ。勇者が女王様の光の玉を奪ったせいで女王様のお命は」 「己れ己れ 世界のためなどと言って女王様をそそのかして」
この「光の玉」とは、おそらく『1』で勇者がりゅうおうから取り戻した、アレフガルドの平和の象徴である「光の玉」のことでしょう。 「女王様」が何者なのか(精霊ルビスと関係があるのか、あるいは魔物の長だったのか)は判然としませんが、ハーゴンは「『1』の勇者が光の玉を持ち去った(あるいは、その影響で世界のバランスが崩れた)せいで、女王様は死んだ」と信じ込んでいるようです。 これが、彼がロトの血を引く者たち、すなわち『2』の主人公たちを「肉き肉き勇者の血筋」と呼び、世界を破滅させようとした動機だったのでしょうか。
「女王様の残した卵」=シドー?
さらにビジョンは続きます。 ハーゴンは、「女王様の残した卵」を守ることを誓います。 「この卵こそ 唯一残された、あなたとの繋がり」 「女王様、あなたの子を世界を滑る偉大な竜に育て上げて見せます」
この「卵」とは一体何なのか。 最も単純に考えれば、ハーゴンが最終的に召喚した「破壊神シドー」のことかもしれません。 ハーゴンは、「女王様」の子(卵)を、世界を滑る偉大な竜(=シドー?)に育て上げようとした。 しかし、その過程で「大いなる闇」に取り込まれ、シドーは「破壊神」として変質してしまった…? あるいは、ハーゴンは自らの命を生贄に捧げることで、卵(シドー)を最強の存在として「孵化」させ、勇者たちへの復讐を果たそうとしたのでしょうか。
ビジョンの最後、ハーゴンは涙ながらに呟きます。 「ただ あなたにもう1度 会いたかった」
この追加シーンにより、ハーゴンは単なる「世界征服を目論む悪の神官」から、「敬愛する者を失った悲しみと勇者への逆恨みから、歪んだ手段で世界を作り替えようとした、悲劇的な復讐者」として、そのキャラクター像が信じられないほど深掘りされることになりました。
なぜハーゴンは闇に堕ちたのか?『1』と『2』を繋ぐ物語の深掘り
オリジナル版の『2』は、ハーゴンがなぜ世界を破滅させようとしたのか、その動機はほとんど語られませんでした。 しかし、このリメイク版の追加要素によって、『1』の勇者の行動(光の玉の奪還)が、意図せずして『2』の時代の悲劇(ハーゴンの闇堕ち)の遠因になっていた可能性が示唆されたのです。
そして、『1』のりゅうおうの血筋である「竜王のひ孫」が、その『1』の勇者の末裔である『2』の主人公たちに「闇を切り裂く力」を託す。 この構図は、『1』の時代に生まれた「光(勇者)」と「闇(りゅうおう)」、そしてその両者に関わる「悲劇(ハーゴン)」が、100年の時を経て『2』の時代に再び交錯し、ロトの血筋と竜王の血筋の協力によって、真の闇が打ち払われるという、壮大な因果の物語として再構築されています。
『1』のりゅうおうが「世界の半分」という取引を持ちかけたのに対し、『2』の「竜王のひ孫」は「聖なる力」を授ける。 この対比こそ、HD-2D版『ドラゴンクエストⅠ&Ⅱ』が、単なるリメイクを超えた「ロト伝説の完全版」と呼ぶにふさわしい理由だと、私は確信しています。
HD-2D版『ドラゴンクエストⅠ&Ⅱ』とは? ロト伝説の原点が鮮やかに蘇る
まずは、今回の主役であるHD-2D版『ドラゴンクエストⅠ&Ⅱ』について、その魅力と位置づけを再確認しておきましょう。 ご存知の通り、『ドラゴンクエスト』は日本のRPGの金字塔であり、その原点である『1』と『2』は、ロトの勇者の伝説を描く「ロトシリーズ(ロト三部作)」の始まりと続きの物語です。
HD-2Dグラフィックで描かれる『ドラクエ1』と『2』の世界
本作の最大の特徴は、なんといっても「HD-2D」というグラフィック表現です。 これは、スクウェア・エニックスが『オクトパストラベラー』や『トライアングルストラテジー』、そして記憶に新しい『ライブアライブ』リメイクなどで培ってきた、ドット絵の持つ「懐かしさ」と、3DCGによる「現代的な美しさ」を融合させた独自の技術です。
ファミコンやスーパーファミコンで描かれたアレフガルドやローレシアの大地が、光の表現、水の揺らぎ、奥行きのある背景となって、信じられないほど美しく、そしてドラマチックに生まれ変わっています。 私が特に感動したのは、『2』のロンダルキアへの洞窟の陰鬱な雰囲気や、ハーゴンの神殿の禍々しい光の表現です。 オリジナル版をプレイした世代であればあるほど、「あの場所がこんなにも美しく表現されるのか」と、冒険の記憶が鮮やかに蘇る体験ができるはずです。
オリジナル版からの進化点と変更点(UI、音楽、システム)
グラフィックの進化だけでなく、本作は現代のゲームとして非常に遊びやすく調整されています。 UI(ユーザーインターフェース)は洗練され、メニュー操作や戦闘中のコマンド入力が直感的に行えます。 音楽は、もちろんすぎやまこういち氏による不朽の名曲たちが、壮大なオーケストラアレンジで収録されており、冒険の没入感を極限まで高めてくれます。
システム面では、特に『2』の難易度バランスに注目です。 オリジナル版『2』は、その広大なマップ、強力な敵、そして「ロンダルキアへの洞窟」に代表される高難易度ダンジョンで知られ、多くのプレイヤーを絶望の淵に叩き落としました。 本作では、その理不尽とも言えた難易度は緩和され、レベルアップのテンポや戦闘バランスが調整されています。 しかし、決してヌルくなったわけではなく、『2』ならではの「仲間と協力して強敵に立ち向かう」という歯ごたえのある冒険の楽しさは一切損なわれていません。 むしろ、戦闘中のエフェクトが派手になり、テンポが良くなったことで、より快適にバトルを楽しめるようになっています。
なぜ今『ドラクエ1』と『2』のリメイクなのか
『ドラゴンクエスト』シリーズは、これまでにも多くのリメイクや移植が繰り返されてきました。 その中で、なぜ今、HD-2Dという最新の技術を用いて『1』と『2』がリメイクされたのでしょうか。 私は、これは単なる「過去作の焼き直し」ではないと考えています。
最大の理由は、やはり先に発表されたHD-2D版『ドラゴンクエスト3 そして伝説へ…』の存在でしょう。 時系列で言えば『3』→『1』→『2』となるロト三部作。 その「始まりの物語」である『3』をHD-2Dで出す以上、その後の時代を描く『1』と『2』も同じクオリティで体験できるようにする、というのは当然の流れです。 これにより、プレイヤーはロトの伝説の全てを、統一された美しいグラフィックと現代的なシステムで通して遊ぶことができるようになります。 これは、シリーズ35年以上の歴史を持つドラクエだからこそできる、壮大なプロジェクトと言えるでしょう。
『ドラゴンクエスト3』HD-2D版との繋がり
本作は、『1』と『2』のカップリング移植ですが、その内容は『3』HD-2D版との密接な連携を強く意識しています。 『3』の主人公(勇者ロト)がアレフガルドにもたらした平和と、その血筋がどのように『1』の勇者(ロトの末裔)に受け継がれ、さらに『2』のローレシア・サマルトリア・ムーンブルクの三人の王子・王女へと繋がっていくのか。 HD-2D版では、オリジナル版では語られなかった、あるいは行間でしか想像できなかった物語の繋がりが、新たなイベントや演出によって補完されています。
そして、その「補完」こそが、今回の本題である「りゅうおう」の登場に深く関わってくるのです。
まとめ
今回のレビューでは、HD-2D版『ドラゴンクエスト2』における「りゅうおう」登場の噂の真相について、徹底的に解説してきました。
結論として、登場するのは『1』のりゅうおう本人ではなく、その「竜王のひ孫」であり、彼は敵としてではなく、主人公たちを導き、鍛え、真の最終決戦に必要な「ロトの流剣」を授ける重要な役割を担っていました。
さらに、リメイク版ではオリジナル版のシドー撃破後に「真ボス」との戦いが追加されており、そこで「ロトの流剣」が鍵となること、そしてハーゴンの動機が「女王様」への思慕と勇者への復讐心にあった可能性が示唆される衝撃的な追加ビジョンがあることを明らかにしました。
これらの新要素は、単なるサプライズやボリュームアップに留まりません。 『1』と『2』の物語の繋がりを強固にし、『3』から続くロト伝説全体のテーマである「光と闇の戦い」と「血筋の継承」に、これまでにない深みとドラマを与えています。
HD-2D版『ドラゴンクエストⅠ&Ⅱ』は、オリジナル版をプレイした古参のファンであればあるほど、その「違い」と「追加要素の意味」に驚き、感動できる傑作リメイクです。 これからプレイする方も、かつてハーゴンやシドーに苦しめられた方も、ぜひこの「新解釈」されたロト伝説の原点を、その目で見届けてください。 そこには、あなたの知らなかった『ドラゴンクエスト』が待っています。
 
											






 
							
							
							
															 
							
							
							
															 
							
							
							
															 
							
							
							
															 
							
							
							
															 
							
							
							
															 
										
					 
									 
										
										
										
																	 
										
										
										
																	 
										
										
										
																	 
										
										
										
																	 
										
										
										
																	 
										
										
										
																	 
										
										
										
																	 
										
										
										
																	