ゲーム評論家の桐谷シンジです。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、2024年10月24日に発売が迫るHD-2D版『ドラゴンクエストI&II』、特に『ドラクエ1』において、あの有名なラスボス・りゅうおうの問いかけ「もし わしの みかたになれば せかいの はんぶんを おまえに やろう」に対して「はい」と答え、さらに「ローラ姫を差し出す」という選択をした場合、一体どうなってしまうのか、その衝撃の展開が気になっていると思います。
この記事を読み終える頃には、その禁断の選択がもたらす結末はもちろん、HD-2D版で追加された「ローラ姫を仲間にしたまま冒険する」という、まったく新しい分岐ストーリーの全貌もスッキリ解決しているはずです。
- りゅうおうへのローラ姫譲渡の衝撃的な結末
- 禁断の選択後に待つ「夢オチ」とその詳細
- HD-2D版最大の隠し玉「ローラ姫仲間ルート」の完全手順
- ローラ姫と共に迎える『ドラクエ2』へ繋がる感動の特殊エンディング
それでは解説していきます。
ドラクエ1リメイクの衝撃展開!りゅうおうにローラ姫を渡すとどうなる?
多くのRPGファン、特にドラクエシリーズのプレイヤーにとって、初代『ドラゴンクエスト1』の最終決戦におけるりゅうおうの問いかけは、ゲーム史に残る伝説的な選択肢として記憶されています。
「もし わしの みかたになれば せかいの はんぶんを おまえに やろう」
オリジナル版(ファミコン版)では、ここで「はい」と答えてしまうと、勇者の冒険はその場で終わりを告げました。 有名な「ゆうべは おたのしみでしたね」のセリフと共に宿屋から再スタート……ではなく、画面が暗転し、無情にも「じゅもんが ちがいます」と表示され、セーブデータ(ふっかつのじゅもん)が消滅するという、当時のプレイヤーにとってはトラウマ級のバッドエンドでした。 (正確には、パスワードが書き換えられ、レベル1の状態でラダトーム城に戻されるという仕様でしたが、実質的なデータ消失に近いものでした)
では、グラフィックが一新され、様々な追加要素が盛り込まれたHD-2Dリメイク版では、この選択がどのように描かれるのでしょうか。 さらに、HD-2D版には「ローラ姫を仲間にしたまま、りゅうおうの元へ行く」という驚愕の隠しルートが存在します。 この状態でりゅうおうの誘いに乗ると、事態はさらに複雑な展開を迎えるのです。
禁断の選択「はい」を選んだ者の末路
HD-2D版において、ローラ姫を連れた状態でりゅうおうの玉座の間にたどり着くと、りゅうおうはまず「ロトのつるぎ」を渡すよう要求してきます。 これに応じ、さらに「ローラ姫」をも差し出してしまった場合……。
勇者は、闇の力に魅入られ、りゅうおうの配下となってしまいます。 ローラ姫は悲痛な叫びを上げながら、りゅうおうによってどこかへ連れ去られていきます。 そして勇者は、闇に染まった姿(あるいは絶望した姿)で、世界の半分を手に入れた(という名の闇の支配に加担した)ことを示唆されます。 まさに、プレイヤーが最も見たくなかったであろう、完全なるバッドエンドです。 ロトの血を引く勇者が、自らの手で世界を闇に売り渡し、愛する姫をも差し出すという、救いようのない結末が描かれます。
原作リスペクトの「ゆうべは すいぶんと うなされていたようですが……」
しかし、ご安心ください。 この衝撃的なバッドエンドを見た直後、画面は暗転します。 次に勇者が目を開けると、そこはどこかの宿屋のベッドの上です。
そして、宿屋の主人から、あの有名なセリフが告げられます。
「ゆうべは すいぶんと うなされていたようですが……」
そう、あの絶望的な展開は、すべて勇者が見た「悪夢」だった、というオチ(夢オチ)が用意されているのです。 これは、ファミコン版のトラウマ級ペナルティに対する、リメイク版ならではの優しい(?)救済措置であり、同時に原作ファンへの粋なリスペクトと言えるでしょう。
この「夢オチ」は、スーパーファミコン版やゲームボーイ版のリメイクでも採用されていた展開ですが、HD-2Dの美麗なグラフィックで悪夢を見せられた後のこのセリフは、安堵感と同時に、ある種のコミカルさすら感じさせてくれます。
失うものとペナルティは?
では、このバッドエンド(悪夢)を見たことによるペナルティは存在するのでしょうか。 結論から言うと、実質的なペナルティはほとんどありません。
- アイテム: 差し出したはずの「ロトのつるぎ」も「ローラ姫」(仲間状態)も、夢から覚めれば手元(またはパーティ)に戻っています。
- 経験値・ゴールド: 減少することはありません。
- セーブデータ: ファミコン版のように消去されたり、レベル1に戻されたりすることもありません。
宿屋で目覚めた後は、何事もなかったかのように、再びりゅうおうの城へ挑戦することができます。 これは開発陣の「一度くらいは、この禁断の選択を試してみてほしい」という遊び心でしょう。 せっかくHD-2D版をプレイするのですから、セーブデータを分けた上で、一度はこの衝撃的な悪夢を体験してみるのも一興だと、私(桐谷)は思いますね。
なぜこの選択肢が用意されたのか?堀井雄二氏の遊び心
そもそも、なぜラスボスの目の前で「はい/いいえ」の選択肢、しかも「はい」を選ぶと即バッドエンド(あるいは悪夢)になるようなものが用意されたのでしょうか。
これは、ドラゴンクエストの生みの親である堀井雄二氏の「ゲームならではの体験」へのこだわりと、彼特有の「ブラックな遊び心」の表れと言えます。 当時のRPGは一本道が当たり前でしたが、そこに「プレイヤー自身の選択」を持ち込み、しかもそれが「世界を救う」という大義を裏切る選択だった場合どうなるか、というシミュレーションを提示したのです。
世界の半分という甘い誘惑は、プレイヤー自身の心に潜む欲望を映し出す鏡でもあります。 「もしかしたら、本当に世界の半分が手に入り、違うエンディングがあるのでは?」と一瞬でも期待してしまったプレイヤーも少なくないはずです。 (実際、後の『ドラゴンクエストビルダーズ アレフガルドを復活せよ』は、この「はい」を選んでしまった世界が舞台となっています)
HD-2D版で、ローラ姫を差し出すという更なる闇の選択肢まで用意し、それを悪夢として処理するというのは、この「ドラクエ1のお約束」を現代の技術で最大限にエンターテイメント化した、素晴らしい演出だと評価しています。
HD-2D版ならではの演出の違いは?(原作・SFC版との比較)
この「りゅうおうの誘い」イベントは、機種ごとに演出が微妙に異なります。 HD-2D版の独自性を際立たせるために、主要なリメイク版と比較してみましょう。
| 機種 | 「はい」を選んだ場合の展開 | ペナルティ |
|---|---|---|
| FC版(原作) | 暗転後「じゅもんが ちがいます」と表示され、タイトル画面に戻る。実質的なセーブデータ(ふっかつのじゅもん)の書き換え(レベル1で城に戻される)。 | 甚大(ほぼ最初からやり直し) |
| SFC版・GB版 | 「ゆうべは すいぶんと うなされていたようですが……」の夢オチ。宿屋で目覚める。 | なし |
| スマホ版 | SFC版・GB版と同様の夢オチ。 | なし |
| HD-2D版 | ローラ姫を差し出すという追加の選択肢。より詳細で絶望的なバッドエンド(悪夢)が描かれた後、同様の夢オチ。 | なし |
このように、HD-2D版は、単なる夢オチに留まらず、「ローラ姫を連れている」という本作独自の隠し要素を悪夢の内容にまで反映させることで、物語への没入感をさらに高めている点が特徴です。 勇者が最も守るべき存在であるローラ姫を、自ら魔王に差し出すという行為の重さを、美麗なグラフィックでプレイヤーに突きつけてくるのです。
比較検証!ローラ姫を渡さない場合の正規ルート
さて、悪夢の話はこれくらいにして、正規ルート、すなわちりゅうおうの誘いをきっぱりと「いいえ」と断った場合の展開についてもおさらいしておきましょう。 これこそが、ロトの勇者が歩むべき真の道です。
りゅうおう(人型)との戦闘攻略
誘いを断ると、りゅうおうは「おろかものめ!しねい!」(HD-2D版ではセリフがより洗練されている可能性もあります)と叫び、戦闘に突入します。
まずは人型の「りゅうおう」との対決です。 原作では高い攻撃力と守備力、そして強力な「ベギラマ」を操る強敵でした。 HD-2D版では、原作の強さに加え、SFC版以降のリメイクで追加された「ラリホー(眠り)」や「マホトーン(呪文封じ)」も多用してくると予想されます。
特に厄介なのがマホトーンです。 勇者の回復呪文である「ベホイミ」を封じられると、一気にピンチに陥ります。 また、HD-2D版のPVでは、主人公が「ビーストモード」のような特殊な状態になる様子や、「ギガスラッシュ」のような派手な特技を使用するシーンが確認されています。 もしこれらの強力なアビリティが呪文扱い(あるいはMPを消費する)場合、マホトーンで封じられる可能性も考慮しなければなりません。
対策としては、マホトーンが効く前に「ピオリム」(SFC版以降で追加)などで素早さを上げ、先手必勝で「バイキルト」(もしあれば)をかけて物理攻撃で一気に畳み掛けるか、あるいは呪文を封じられても対応できるよう、「やくそう」や「まほうのせいすい」などの回復アイテムを潤沢に用意しておくことが重要になるでしょう。
真の姿「竜王」(ドラゴン形態)との決戦
人型のりゅうおうを打ち破ると、彼は真の姿を現します。 巨大なドラゴンの姿、すなわち「竜王」との連戦です。 この竜王こそが、ドラクエ1の真のラスボスです。
竜王の攻撃は苛烈を極めます。 特に「はげしいほのお」や「しゃくねつのほのお」といった全体攻撃ブレスは、勇者のHPを一瞬で奪い去るほどの威力を持っています。 SFC版以降では、ブレス攻撃はマホトーンで封じることができず、守備力に関係なく一定のダメージを受けるため、HP管理が非常にシビアになります。
攻略の鍵は、やはり「ベホイミ」によるこまめな回復です。 竜王の攻撃を1ターン耐え、次のターンで確実に回復する、というサイクルを維持する必要があります。 攻撃は、ロトのつるぎによる通常攻撃や、特技「ドラゴン斬り」(もし習得していれば絶大な効果が期待できます)、あるいはPVで確認された「ギガスラッシュ」などを駆使し、着実にダメージを与えていくことになります。
HD-2D版では、グラフィックの進化により、竜王の巨大さや炎の迫力がすさまじいものになっているはずです。 この死闘を制し、竜王を打ち破った時、プレイヤーは真のカタルシスを得ることができるでしょう。
勝利後の通常エンディングの内容
竜王を倒すと、勇者は「ひかりのたま」を取り戻します。 この光の玉こそが、アレフガルドに平和を取り戻すための鍵です。
竜王の城から脱出し、ラダトーム城へ凱旋すると、王(ラダトーム王)から最大級の賛辞と共に、この国を治めるよう頼まれます。
「そなたが このくにを おさめてはどうじゃ?」
しかし、勇者はこの申し出を断ります。 そして、「もし 私が治める国があるとしたら それは 私自身で 探しだしたいのです」と告げ、新たな地を探すため、一人(あるいはローラ姫と共に)旅立っていく……というのが、原作および通常のエンディングです。 (原作ではローラ姫を連れていくかどうかも選択できましたが、SFC版以降はローラ姫を抱きかかえたままエンディングを迎えるのが正規ルートとなっています)
正規ルートで得られる達成感と報酬
りゅうおうの誘惑という「心の弱さ」を振り切り、強大な竜王という「絶対的な力」をも打ち破る。 この王道の展開こそが、『ドラゴンクエスト1』という物語の核心です。 悪夢ルート(バッドエンド)が束の間のスリルと原作リスペクトの笑いを提供してくれるのに対し、正規ルートは、困難な戦いを乗り越えた者だけが味わえる、本物の達成感と感動を与えてくれます。
報酬として手に入るのは、「世界の半分」という偽りの支配権ではなく、「アレフガルドの平和」と「勇者としての名誉」、そして「自らの道を選ぶ自由」です。 これこそが、真の勇者が得るべき報酬と言えるでしょう。
【ネタバレ注意】ローラ姫を仲間にする方法と特殊エンディング徹底ガイド
さて、ここからが本題、いや、私(桐谷)がHD-2D版『ドラゴンクエストI』で最も注目している、最大の隠し要素についての徹底レビューです。
それは、**「ローラ姫を救出した後、ラダトーム城に送り届けず、仲間として一緒に冒険する」**という、まったく新しい分岐ストーリーです。
従来のドラクエ1では、ローラ姫を救出すると、勇者が彼女を「お姫様だっこ」の状態で抱きかかえ、そのままラダトーム城へ連れて行く必要がありました。 城へ届けると、王様からお礼を言われ、ローラ姫はパーティから離脱します。 この「お姫様だっこ」状態は一時的なもので、このままラスボスを倒しに行くことは(バグ技を除き)不可能でした。
しかし、HD-2D版では、この「ローラ姫と冒険する」ことが正式な隠しルートとして追加されたのです。 これにより、専用のストーリー、専用のイベント、そして専用の特殊エンディングが体験できます。
このレビューの核心!HD-2D版最大の隠し要素
ローラ姫が仲間になるということは、単なる「おまけ」ではありません。 ドラクエ1は、ご存知の通り、勇者ただ一人の孤独な冒険を描いた物語でした。 そこに、ヒロインであるローラ姫が「仲間」として同行する。 これは、ゲームの根幹に関わる大きな変更点であり、原作をやり込んだファンであればあるほど、その意味の大きさがわかるはずです。
彼女は戦闘に参加するわけではありませんが、冒険の途中で勇者に語りかけ、時にはイベントの進行に深く関与し、そしてラスボス戦では勇者を強力にサポートしてくれます。 この追加要素こそ、HD-2D版を「単なるリメイク」から「新しいドラクエ1体験」へと昇華させている最大の要因だと、私は断言します。
では、どうすればローラ姫を仲間にできるのか。 その具体的な手順と、絶対に守るべき注意点を、詳細に解説していきましょう。
手順①:ローラ姫の救出は後回し!最重要アイテム「たいようの石」を先に入手
この隠しルートに進むための最大のポイントは、**「ローラ姫をすぐに助けに行かないこと」**です。
通常のプレイでは、「まほうのカギ」を手に入れたら、すぐにでも「沼地の洞窟」へ向かい、ドラゴンを倒してローラ姫を救出したくなるでしょう。 しかし、ぐっとこらえてください。 ローラ姫を仲間にするためには、彼女を救出する「前」に、必ず入手しておかなければならない最重要アイテムがあります。
それが、**「たいようの石」**です。
「たいようの石」は、ラダトーム城の地下(宝物庫)にあります。 この場所へ入るには「まほうのカギ」が必要です。 「まほうのカギ」は、マイラ村の南にある「沼地の洞窟・地下1階」の宝箱から入手できます(SFC版以降)。
手順としては、まず「沼地の洞窟」へ行き、ローラ姫がいる地下2階へは進まず、地下1階で「まほうのカギ」だけを入手します。 そして、すぐにラダトーム城へ戻り、鍵のかかった扉を開けて地下へ進み、そこにいる老人から「たいようの石」を受け取るのです。
なぜ「たいようの石」が先なのか?
なぜ、この順番が重要なのか。 それは、**「ローラ姫を救出した後では、ラダトーム城の『たいようの石』がある場所に入れなくなる」**からです。 (正確には、ローラ姫を連れた状態では、城の特定のエリアへの立ち入りが制限されるか、あるいはイベントが強制的に進行してしまうためだと思われます)
「たいようの石」は、後のメインクエストで「あまぐものつえ」「せいなるしるし」と共に、「にじのしずく」を作成するために必須のアイテムです。 これがないと、りゅうおうの城へ渡るための虹の橋を架けることができず、ゲームクリアが不可能になってしまいます。
したがって、ローラ姫を救出する前に、必ず「たいようの石」を確保しておく。 これが隠しルートへの第一歩です。
手順②:「まほうのカギ」の入手とラダトーム城での行動
改めて手順を整理します。
- ストーリーを「沼地の洞窟」まで進める。 (クエスト「ローラ姫のゆくえを探そう。」が発生するあたり)
- 「沼地の洞窟」の地下1階で「まほうのカギ」を入手する。
- ローラ姫(地下2階)は無視して、一度ダンジョンから脱出する。
- 「まほうのカギ」を使って、ラダトーム城の地下宝物庫へ行く。
- 宝物庫の奥にいる老人から「たいようの石」を入手する。
この時点で、正規ルート(ローラ姫をすぐに届ける)と隠しルート(ローラ姫と冒険する)の両方を楽しみたい方は、セーブデータを分けておくことを強く推奨します。
手順③:ローラ姫救出と「ゆうべは お楽しみでしたね」モード
「たいようの石」を無事に入手したら、いよいよローラ姫の救出に向かいます。 再び「沼地の洞窟」へ入り、地下2階で待ち構えている「ドラゴン」を倒します。 (HD-2D版では、このドラゴンもなかなかの強敵になっているかもしれません。しっかり準備して挑みましょう)
ドラゴンを倒し、捕らわれているローラ姫に話しかけると、勇者は彼女を抱きかかえます。 ここまでは従来通りです。
そして、この状態で宿屋に泊まると、あの有名なセリフが飛び出します。
「ゆうべは お楽しみでしたね」
この状態、すなわち「お姫様だっこ」状態で、ローラ姫はパーティの一員(仲間)として扱われます。 HD-2D版では、この状態のまま、ラダトーム城以外の場所(町、村、ダンジョン、祠など)へ自由に行くことができ、冒険を続行可能なのです。
絶対NG!ラダトーム城への帰還が招く悲劇
ローラ姫を仲間にしたまま冒険を続ける上で、絶対にやってはいけないことが一つだけあります。
それは、**「ローラ姫を連れたまま、ラダトーム城に入ること」**です。
もし誤ってラダトーム城に入ってしまうと、イベントが強制的に発生します。 王様とローラ姫が再会を果たし、ローラ姫はパーティから強制的に離脱。玉座の間に留まることになります。
そして、一度この状態になってしまうと、二度とローラ姫を仲間にすることはできません。 つまり、その時点で「ローラ姫仲間ルート」は終了となり、通常のエンディングルートが確定してしまいます。
せっかく「たいようの石」を先に入手する苦労をしたのですから、りゅうおうを倒すその時まで、ラダトーム城には絶対に近づかないよう、細心の注意を払いましょう。
ローラ姫と巡る世界(専用イベント・会話集)
ローラ姫を仲間にした状態(お姫様だっこ状態)で世界を巡ると、様々な場所で専用のイベントや会話が発生します。 孤独だった勇者の旅が、一気に華やかで感慨深いものに変わる瞬間です。
マイラ村の近衛兵イベント
例えば、マイラ村には、ローラ姫の捜索任務から逃げ出した「脱走兵」がいます。 通常ルートでは、彼は罪悪感に苛まれながら隠れ続けていますが、ローラ姫を連れて彼に話しかけると、イベントの内容が変化します。 ローラ姫が彼を認識し、その罪を許すという、心温まる展開が見られるのです。 勇者一人では解決できなかった問題が、ローラ姫の存在によって良い方向へ導かれる。 こうした細やかな追加イベントが、物語に深みを与えています。
迷いの森と妖精の里への道
通常ルートでは、ガライの町を抜けた先にある「迷いの森」は、特定のヒントなしでは突破が難しいダンジョンです。 しかし、ローラ姫を連れていると、この森で特別な会話イベントが発生します。 ローラ姫の導き(あるいは彼女の持つ不思議な力)によって、森の奥深くへと進むことが可能になり、通常は行けない「妖精の里」へたどり着くことができるようになります。
「妖精の里」では、メインクエストの目標が更新され、「精霊ルビスの召喚に必要な道具を集めよう」といった、このルート専用の新たな導きが得られます。 (※注:精霊ルビスは『ドラクエ2』以降で重要な役割を果たす存在であり、彼女が『1』の時点でこのように明確に関わってくるのは、非常に興味深い追加点です)
この他にも、各地の町や村で、ローラ姫を連れていることに対する人々の様々な反応(驚き、賞賛、あるいは例の宿屋の主人のようなニヤニヤした反応)を見ることができます。 ストーリーを急ぐだけでなく、ぜひ色々な場所に立ち寄ってみることをお勧めします。
ローラ姫と挑むラスボス戦(サポート能力解説)
ローラ姫を仲間にしたまま冒険を進め、「あまぐものつえ」「せいなるしるし」を集め、「にじのしずく」で橋を架け、ついにりゅうおうの城へ。 そして、あの「世界の半分」の誘惑(と悪夢)を乗り越え、決戦の時を迎えます。
ローラ姫は戦闘員ではないため、直接りゅうおうを攻撃することはできません。 しかし、彼女は勇者のすぐそばで、強力なサポート役として活躍してくれます。
りゅうおう(人型)戦でのサポート
人型のりゅうおうが使う「ラリホー(眠り)」や「マホトーン(呪文封じ)」といった厄介な状態異常。 これらを勇者が受けてしまった場合、ローラ姫が「いのりのちから」のような能力で、状態異常を回復してくれることがあります。 一人旅ではアイテムやターン消費でしか対処できなかった危機を、ローラ姫が救ってくれるのです。
竜王(ドラゴン形態)戦でのサポート
真の姿である竜王との死闘。 「しゃくねつのほのお」による絶望的なダメージを受けたとしても、ローラ姫が「いのりのちから」を発動すれば、なんと勇者のHPを全回復してくれることがあります。
これは、事実上「ベホマ」や「せかいじゅのしずく」が常備されているに等しい、反則級のサポート能力です。 もちろん、毎回都合よく発動するとは限りませんが、このサポートがあるだけで、竜王戦の難易度と安定感は劇的に変わるでしょう。 愛する姫の応援を受けながら、最強の特技で竜王に立ち向かう。 これぞ、HD-2D版ならではの、最高に熱い共闘シチュエーションと言えます。
感動の特殊エンディング!『ドラクエ2』へ繋がる物語
苦難の末、ローラ姫と共に竜王を打ち破り、「ひかりのたま」を取り戻した勇者。 ローラ姫を仲間にしている場合、物語は通常とは異なる、特別なエンディングを迎えます。
竜王の城から脱出すると、精霊ルビスが登場します。 ルビスは、闇に染まっていた竜王が光を取り戻し、生まれ変わりの機会を得たことを告げます。 (竜王もまた、何者かによって闇に堕とされた存在だったのかもしれません) そして、アレフガルドに残る闇を、未来の光の子ら、すなわち勇者とローラ姫に託すことを告げます。
その後、ラダトーム城に戻りますが、勇者は王位継承を断ります。 ここまでは通常エンディングと同じです。 しかし、ここからが違います。
勇者は、ローラ姫と共に、このアレフガルドを離れ、新たな国を探す旅に出ることを決意するのです。 ローラ姫は勇者に、あの「おうじょのあい」(原作では勇者の位置を知るためのアイテム)を、今度は愛の証として手渡します。
「ローラは どこまでも あなたと⼀緒に まいります。」
そして、二人は船に乗り、新たな大陸を目指して旅立っていくのです。 このエンディングは、何を意味するのか。 そう、彼らこそが、100年後の『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』の舞台となる、ローレシア、サマルトリア、ムーンブルクという3つの国を建国する、伝説の祖先となることを強く示唆しています。
『ドラクエ1』の勇者とローラ姫が結ばれ、新天地へ旅立つ。 この、ファンが長年夢見ていた「正史」とも言える物語が、HD-2D版ではっきりと描かれるのです。 これこそが、ローラ姫仲間ルートの終着点であり、最高の報酬と言えるでしょう。
ドラクエ1リメイク(HD-2D版)の基本情報と魅力
最後に、今回のレビューのベースとなっている『ドラゴンクエストI&II HD-2D』そのものの魅力について、ゲーム評論家としての視点で簡潔にまとめておきます。
HD-2Dとは?グラフィックの進化と特徴
「HD-2D」とは、スクウェア・エニックスが『オクトパストラベラー』で確立した、ドット絵の(2D)のキャラクターと、3DCGで描かれた美麗な背景やエフェクトを融合させた、まったく新しいグラフィック表現です。
昔ながらのドット絵の温かみを残しつつ、光の表現、水の揺らぎ、奥行きのあるマップなど、現代の技術でしか表現できない圧倒的な映像美を実現しています。 『ドラクエ1』『ドラクエ2』という、日本のRPGの原点とも言える作品が、このHD-2Dで蘇ること自体が、一つの事件です。 ラダトームの城下町、竜王の城の禍々しさ、それらがどのような映像体験になるのか、期待は尽きません。
原作からの変更点と追加要素(システム面)
HD-2D版は、単なるグラフィックのリメイクに留まりません。
- シームレスなマップ移動: 町やダンジョンに入る際の画面切り替えが、よりスムーズになっている可能性があります。
- オートセーブ機能: 現代のゲームとして、快適に遊べるようオートセーブが搭載されています。
- バトルシステムの進化: PVでは、勇者が複数の特技を使ったり、敵の行動パターンが追加されていたりする様子が確認できます。SFC版のシステムをベースに、さらに戦略的になっていることが予想されます。
- 追加ストーリー: 今回徹底レビューした「ローラ姫仲間ルート」のように、原作の物語を補完、あるいは発展させる新たなシナリオが追加されています。
ドラクエ1とドラクエ2がセットになった理由
『ドラゴンクエストI』と『ドラゴンクエストII』は、物語的に密接に繋がっています。 前述の通り、『1』の勇者とローラ姫が新天地で建国した国々の子孫たちが、『2』の主人公たちです。 『1』の100年後の世界が『2』の舞台であり、りゅうおうを倒したロトの勇者の血を引く者たちが、今度は大神官ハーゴンという新たな脅威に立ち向かいます。
この「ロト三部作」の始まりの二作品をセットにし、HD-2Dという統一されたグラフィックとシステムで連続して遊べるようにしたことは、非常に理に適った判断と言えます。 『1』の特殊エンディング(ローラ姫仲間ルート)を見た直後に『2』をプレイすれば、その感動と物語への没入感は計り知れないものになるでしょう。
今、ドラクエ1をプレイする意義
『ドラゴンクエスト1』が発売されたのは1986年。 それから約40年が経ち、RPGは複雑化、高度化しました。 しかし、『ドラクエ1』の「勇者が魔王を倒し、姫を助ける」というシンプルな物語の骨格は、今なお色褪せない魅力を持っています。
たった一人で広大な世界を冒険する心細さ。 レベルが上がり、新しい呪文を覚えた時の喜び。 強敵を倒し、新しい町にたどり着いた時の安堵感。
これらRPGの「原初の楽しさ」が、『ドラクエ1』には凝縮されています。 HD-2D版は、その原初の楽しさを、最高の映像体験と共に現代に蘇らせてくれる作品です。 原作ファンはもちろん、ドラクエを『11』や『12』(開発中)から知った新しい世代のプレイヤーにこそ、触れてほしい一作ですね。
まとめ
今回のレビューでは、HD-2D版『ドラゴンクエストI』における禁断の選択、「りゅうおうにローラ姫をプレゼントしたらどうなるか?」という疑問にお答えしました。 その結末は、原作のトラウマをリスペクトした「悪夢」という、遊び心あふれるものでしたね。
しかし、HD-2D版の真価は、その先にある「ローラ姫を仲間にする」という、まったく新しい隠しルートにこそあります。 孤独だった勇者の旅が、姫との二人旅に変わる。 そして、原作では描かれなかった「その後の物語」、すなわち『ドラクエ2』へと繋がる感動の特殊エンディングを体験できる。
これは、40年近く『ドラクエ1』を愛し続けてきた我々オールドファンにとって、最高の「答え」であり、同時に「新しい冒険の始まり」でもあります。 りゅうおうにローラ姫を渡す悪夢も一度は見てみるとして、ぜひ本命のプレイでは、ローラ姫と共にアレフガルドを、そしてその先の未来を救う旅に出てみてはいかがでしょうか。






