ゲーム評論家の桐谷シンジです。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、HD-2D版として生まれ変わる『ドラゴンクエストI&II』、特に『ドラゴンクエストII』(以下、ドラクエ2)で噂されている「真のエンディング」や「シドーの先に待つ裏ボス」について、詳細な情報が気になっていることでしょう。
 
私自身、このHD-2D版を先行プレイする機会に恵まれ、文字通り「やりこんで」きました。 ファミコン時代のあの絶望的な難易度を知る者として、今回のリメイクがどう仕上がっているのか、そして何より、あの物語に「続き」があるのか、注目していました。 結論から言えば、本作は単なるリメイクの枠を遥かに超えた「ロトの伝説の完全版」と呼ぶにふさわしい作品に仕上がっています。
この記事を読み終える頃には、ドラクエ2リメイクで追加されたシドー戦後の衝撃的な展開と、真の裏ボス「闇の神」の全貌についての疑問が解決しているはずです。
- シドー撃破後に発生する衝撃の分岐
- 真の裏ボス「闇の神」への挑戦ルート
- 戦闘の鍵を握る「ロトの流剣」の真価
- ハーゴンの悲哀と物語の深層
それでは解説していきます。

ドラクエ2「真の裏ボス」の存在と分岐条件
では、いよいよ本題である「真の裏ボス」への道筋について、私が体験したシドー戦後の流れを詳細に解説していきます。 ここからは重大なネタバレを含みますので、ご自身の目で確かめたい方はご注意ください。
シドーはラスボスではなかった?分岐点への流れ
物語は、原作やSFC版と同様に、ハーゴンの神殿最深部へと進みます。 玉座に座るハーゴンとの対峙。 今回のHD-2D版では、ハーゴンのセリフが大幅に追加されており、彼の「復讐」と「絶望」が垣間見えます。
 
「愚かで弱くちっぽけな人間ども……」 「私の祈りを邪魔するものは誰じゃ?」 「女王様……もう私に微笑みかけてはくれないのですね……」
彼は自らを「偉大なる竜の城の使い」と名乗り、何者かへの「復讐」を口にします。 詳細は後述しますが、この「女王様」という言葉が、彼の行動原理を解き明かす鍵となります。
ハーゴンとの戦闘自体は、SFC版と同様にルカニも効き、しっかりとレベルを上げていれば苦戦する相手ではありません。 私の場合も、ローレシアの王子の火力で圧倒し、撃破しました。
そして、ハーゴンは原作通り、自らの命と引き換えに「破壊の神シドー」を召喚します。
「我が魂を持って全ての命とこの世界に死を与えよう……」
ここまでは、誰もが知るドラクエ2の流れです。 シドー戦も、相変わらずの「ベホマ」(HD-2D版ではHP7500回復)は健在ですが、こちらも対策を立てていれば問題なく倒せるでしょう。 私もサマルトリアの王子の「キラキラポーン」(状態異常防止)や、ムーンブルクの王女の「ルカニ」を駆使し、ローレシアの王子の「超はやぶさ斬り」で着実にダメージを与え、撃破しました。
「やった!」
原作ならば、ここでシドーは消滅し、感動のエンディングが流れます。 しかし、HD-2D版はここからが本番でした。
真の裏ボスへの分岐点:シドー撃破後
シドーを倒したにもかかわらず、BGMは止まらず、シドーの体は消滅しません。 それどころか、禍々しいオーラが渦を巻きます。
 
「まだ消えぬ……まだ終わらぬ……」 「大いなる闇の力は……」
シドーのものか、あるいは別の何者かの声が響き渡り、ロトの子孫たちの足元に巨大な闇の亀裂が出現。 3人はなすすべもなく、その暗黒の空間へと引きずり込まれてしまいました。
絶望の底で響く声
落ちた先は、体が鉛のように重く、視界もままならない異空間でした。 仲間たちの手も離れそうになり、絶望が3人を包み込みます。
「絶対に手を離しちゃだめ!」 「ルビス様との約束を忘れたのか!」 「そうだね。絶対にみんなで一緒に帰る!」
仲間との絆を再確認したその時、光が差し込みます。
「勇者たちよ……」
この声は、ドラクエ1で世界を導いた精霊ルビス様です。
「あなたの心の光が闇に覆われたこの世界へ、私を導いてくれました」 「私たちも共に皆さんを支えます」
ルビス様の光に呼応するように、次々と光が集まってきます。 驚くべきことに、それはドラクエ1の主人公の末裔であるローレシアの王子とサマルトリアの王子だけでなく、ムーンブルクの王女の助けとなった「ラーの鏡」ゆかりの人物(「ミラ」)、そして道中で助けた「ラーメンだ!」(※おそらく『あの』重要人物)といった、旅の途中で関わってきた人々、いや、ロトの伝説に関わる全ての魂の光でした。
この演出は、同じくロトの血を引く主人公が登場する『ドラゴンクエストVIII』のラプソーン戦で、七賢者の力が集結するシーンを彷彿とさせ、オールドファンとしては胸が熱くなる展開です。
鍵を握る「ロトの流剣」
このHD-2D版ドラクエ2では、道中で「ロトのつるぎ」が「ロトの流剣」へと進化するイベントが追加されています。 私はハーゴン戦やシドー戦で「どうぐ」として使用してみましたが、特に変化はありませんでした。 「これは一体何のために?」と疑問に思っていたのですが、その答えがここで明らかになります。
仲間たちの光が集まり、主人公(ローレシアの王子)が掲げた「ロトの流剣」が、まばゆい光を放ち始めます。 この光こそが、異空間の闇を切り裂き、諸悪の根源たる「真の裏ボス」の居場所を照らし出すのです。
真の裏ボス「闇の神(闇の意思)」徹底攻略
仲間たちの光に導かれ、たどり着いた場所。 そこに待ち受けていたのは、シドーをも凌駕する、おぞましい姿の「完全新規モンスター」でした。
「小さな光など、大いなる闇で飲み込んでくれるわ!」
第1形態:闇の衣をまとう「闇の意思」
そのボスは「闇の神」あるいは「闇の意思」と名乗り、その身に「闇の衣」をまとっていました。 この状態では、こちらの攻撃がほとんど通りません。 「超はやぶさ斬り」を叩き込んでも、微々たるダメージしか与えられませんでした。
 
ここで、ピンときました。 光り輝く「ロトの流剣」を使う時が来たと。
ローレシアの王子が「ロトの流剣」を天に掲げると、剣は光の奔流となり、「闇の衣」を打ち破ります。
「またしても我が闇の衣を打ち破るか……!」 「我は光世界に生まれずる暗黒の神……我が前に全ては滅ぶ!」
ボスのセリフから、この「闇の衣」は過去にも何者か(おそらくドラクエ1の勇者)によって破られたことがあること、そしてこの存在こそがハーゴンやシドーを利用していた黒幕であることが判明します。 ここからBGMが変わり、最終決戦の火蓋が切られました。
第1形態の攻略ポイント
- 「ロトの流剣」は必須
- 戦闘開始直後、ローレシアの王子は「どうぐ」から「ロトの流剣」を使用し、ボスの「闇の衣」を剥がしてください。
- これを怠ると、まともにダメージが通りません。
 
- ルカニが有効
- 衣を剥がした後のボスには、ムーンブルクの王女の「ルカニ」が有効です。
- 守備力を下げれば、ローレシアの王子の物理攻撃で大ダメージを与えられます。
 
- ベホマ(8000回復)に注意
- シドー同様、この裏ボスも「ベホマ」を使用してきます。
- 私が見た限りでは、HPが黄色(半分以下)になると8000近く回復していました。
- 回復されること前提で、ルカニを維持しつつ、一気に畳みかける火力が求められます。
 
- 「闇の波動」
- 全体に大ダメージを与え、追加効果で状態異常(マヌーサやルカニなど)を引き起こす「闇の波動」を使用してきます。
- サマルトリアの王子の「キラキラポーン」で防ぐか、食らったらすぐに「キアリー」「キアリク」で対処しましょう。
 
第1形態は、衣さえ剥がしてしまえば、シドーと戦える実力があれば十分に渡り合える相手です。 しかし、本当の恐怖はここからでした。
第2形態:溢れ出す闇の力
第1形態のHPをゼロにすると、ボスは倒れません。
「全身から闇の力が溢れ出す……!」
メッセージと共に、ボスはさらに禍々しく、巨大な姿へと変貌します。 これこそが「闇の神」の真の姿でしょう。 ここからが第2形態、本番です。
第2形態の攻略ポイント
- ステータスが大幅に強化
- 第1形態とは比べ物にならない攻撃力、守備力、素早さを持っています。
- ローレシアの王子でも、防御が甘いと一撃でHPの半分以上を持っていかれる可能性があります。
- ムーンブルクの王女は「スクルト」で守備を固めつつ、サマルトリアの王子は「ベホマラー」での回復を最優先に立ち回る必要があります。
 
- ルカニの有効性を確認
- 第2形態に対しても「ルカニ」が有効かどうかは、戦況を左右する重要なポイントです。
- 私が試した際は、第1形態より効きにくくなっている(耐性が上がっている)印象を受けましたが、全く効かないわけではありませんでした。
- 諦めずに守備力低下を狙いましょう。
 
- 全リソースを投入する総力戦
- MPもアイテムも温存している場合ではありません。
- ローレシアの王子は「精神統一」(サマルトリアの王子?)や「超はやぶさ斬り」の最強コンボ。
- サマルトリアの王子は「ベホマラー」と「ザオリク」による立て直し、余裕があれば「いなずまのけん」での攻撃参加。
- ムーンブルクの王女は「ルカニ」「スクルト」を維持しつつ、手が空けば「イオナズン」でダメージを稼ぎます。
 
第2形態は、ファミコン時代のシドー戦を彷彿とさせる、まさに「死闘」でした。 何度も仲間が倒れ、ザオリクで蘇生させ、MPが尽きかけるギリギリの戦いでしたが、ついに「闇の神」を打ち破ることに成功しました。
闇の神を倒した先にある「真のエンディング」
「闇の神」を倒すと、異空間は光に包まれ、ロトの子孫たちは無事にローレシア城へと帰還します。 ここから流れるエンディングは、原作のエンディングをベースにしつつも、全く新しい感動を呼び起こすものでした。
特筆すべきは、「闇の神」という共通の脅威を倒したことで、ハーゴンの呪縛から解放された世界が描かれる点です。 原作では、シドーを倒してもハーゴンの呪いが完全に解けたかは曖昧でしたが、今回は「大いなる闇」そのものを断ち切りました。 ムーンブルクの王女の故郷が復興していく様や、サマルトリアの王子が自国の王として成長していく姿が、より明確に描かれます。
そして、ローレシアの王子は……。 彼の選ぶ未来、そして「ロトの伝説」がどのように完結するのかは、ぜひご自身の目で確かめていただきたいです。 これぞまさしく、「ロト三部作」の集大成と呼ぶにふさわしい結末でした。
なぜドラクエ2に「裏ボス」が追加されたのか?
今回のHD-2D版ドラクエ2は、なぜシドーの先に「闇の神」という裏ボスを用意したのでしょうか。 それは、単なる「やり込み要素」の追加というだけではない、深い理由があると私は考察しています。
原作の「ハーゴン」の掘り下げと救済
前述の通り、ハーゴンはHD-2D版でセリフが追加され、彼の背景に「復讐」と「女王様」というキーワードが浮かび上がりました。 ネット上の考察や、過去の関連書籍などでは、ハーゴンは元々「竜の城」(ドラクエ1に登場)に仕える高潔な神官であったという説があります。 しかし、何らかの理由(例えば、愛する「女王様」を人間に殺された、あるいは人間たちの愚かさに絶望したなど)で闇に堕ち、破壊神を崇拝するようになったのではないか、と。
今回のリメイクで追加された「闇の神(闇の意思)」は、まさにハーゴンのその心の隙間に取り入った存在だったのでしょう。 ハーゴン自身もまた、「闇の神」に利用された被害者であった。 シドーを倒すだけではハーゴンの無念は晴らせず、彼を利用した黒幕を倒すことによって、初めてハーゴンの魂も(ある意味で)救済されるのです。
この「敵キャラクターの背景を深く掘り下げる」という手法は、現代のRPGでは一般的ですが、それをクラシックなドラクエ2に持ち込み、見事に昇華させた手腕には脱帽するしかありません。
「ロトの伝説」の完全なる完結
ドラクエの時系列は、ご存知の通り「3(ロトの出発)」→「1(闇の王りゅうおう)」→「2(ハーゴンとシドー)」へと続きます。 ドラクエ3でゾーマを倒し、ドラクエ1でりゅうおうを倒しても、まだ世界には「闇の根源」が残っていた。 それが、ハーゴンの心の闇を利用し、シドーという形で具現化した。
ドラクエ2のエンディングは、シドーを倒して「ロトの伝説」は終わりを告げ、主人公たちはそれぞれの国を治める、というものでした。 しかし、どこか「これで本当に全部終わったのか?」という一抹の不安が残るエンディングでもありました。
今回のリメイクで「闇の神」という、ゾーマやりゅうおうをも利用していた可能性のある「大いなる闇」そのものを叩き潰したこと。 これこそが、「ロトの伝説」の真の完結編として、これ以上ないカタルシスを生み出しています。
現代のプレイヤーに向けた挑戦
最後に、純粋にゲームとしての「やり込み要素」の側面です。 SFC版やスマホ版でドラクE2を遊び尽くした古参プレイヤーにとっても、「シドーを倒した後にも続きがある」というのは、最高のサプライズです。
また、ファミコン版の理不尽さを知らない新規プレイヤーにとっては、シドーを倒した達成感の直後に突き落とされる「真の絶望」と、そこから仲間や精霊の力を借りて逆転する「王道の熱い展開」を体験できる、非常に優れたゲームデザインと言えるでしょう。
この「真の裏ボス」の存在は、オリジナル版の理不尽さを知る世代と、洗練されたRPGを求める現代の世代、その両方を満足させるための、開発陣からの「挑戦状」だったのではないでしょうか。
HD-2D版ドラクエ2リメイクの概要と注目点
まず前提として、今回のHD-2D版『ドラゴンクエストI&II』が、これまでのリメイクとどう違うのかを整理しておきましょう。
HD-2Dがもたらす「懐かしさと新しさ」の融合
HD-2Dとは、スクウェア・エニックスが得意とする、『オクトパストラベラー』や『トライアングルストラテジー』などで採用されてきた描画技術です。 ドット絵の温かみと、3DCGによる立体的な背景、そして光や水の美しいエフェクトを融合させたもので、まさに「現代に蘇るクラシック」と呼ぶにふさわしいグラフィックです。
ドラクエ2は、これまでもスーパーファミコン(SFC)やゲームボーイ、スマートフォンなどでリメイクされてきました。 特にSFC版は、バランス調整が施され、遊びやすくなった名リメイクとして記憶している方も多いでしょう。
しかし、今回のHD-2D版は、グラフィックの刷新はもちろん、音楽もオーケストラ音源(一部新録を含む)となり、臨場感が格段に増しています。 ロンダルキアへの洞窟の陰鬱な雰囲気や、ハーゴンの神殿の禍々しさが、SFC版とは比べ物にならないレベルでプレイヤーに迫ってきます。
現代向けに調整されたゲームバランス
ファミコン版のドラクエ2と言えば、その「鬼畜」とも呼ばれた難易度で有名です。 「ふっかつのじゅもん」の入力ミス、サマルトリアの王子を探す果てしない旅、そしてロンダルキアへの洞窟の理不尽な難易度と、シドーのベホマ連発……。
今回のHD-2D版では、そのあたりは現代のプレイヤーがストレスなく遊べるよう、非常に丁寧に再調整されています。 例えば、セーブは教会だけでなく、特定のポイントでオートセーブや中断セーブが可能です。 戦闘バランスもSFC版をベースにしつつ、さらに洗練されており、理不尽な「ハメ技」で全滅するようなことは少なくなっています。
ただし、これは「簡単になった」という意味ではありません。 むしろ、戦略の幅が広がったと捉えるべきです。 各キャラクターの特技や呪文の役割がより明確になり、「あの頃」は力押しで突破するしかなかった難所も、しっかりと準備と戦略を立てて挑む「ドラクエらしい」楽しさが純粋に味わえるようになっています。
なぜ今、ドラクエ2に「真の裏ボス」なのか
そして、今回最大の注目点が、この記事の主題でもある「追加シナリオ」と「真の裏ボス」の存在です。 ドラクエ2の物語は、大神官ハーゴンと破壊神シドーを倒し、世界に平和が戻る、というものでした。 しかし、ファミコン版をプレイした当時から、私には疑問がありました。
「ハーゴンは、なぜあれほどまでに世界を憎み、破壊神を崇拝するに至ったのか?」
彼の背景はほとんど語られず、ただ「邪悪な大神官」として登場し、討伐されるだけの存在でした。 今回のリメイクでは、その「ハーゴン」というキャラクターの掘り下げ、そして彼を利用していたであろう「諸悪の根源」にまでメスが入っています。 これは、ドラクエ1から続く「ロトの伝説」を、真の意味で完結させるために必要な追加だったと、私は確信しています。
まとめ
HD-2D版『ドラゴンクエストII』は、単なるグラフィックの向上やバランス調整に留まらない、物語の核心に迫る「完全版」として生まれ変わりました。
シドーを倒した先に待ち受ける「真の裏ボス・闇の神」の存在は、ファミコン時代からの長年のファンであればあるほど、衝撃と感動を覚えるはずです。 そして、「ロトの流剣」が真価を発揮し、仲間たちとの絆の力で最強の敵を打ち破る展開は、王道RPGの面白さを改めて教えてくれます。
『ドラゴンクエストI&II』HD-2Dリメイク。 これは、ロトの伝説を体験したすべての人に、そしてこれから体験する新しい世代に、自信を持っておすすめできる傑作です。 あの冒険の「本当の結末」を、ぜひあなたのその目で確かめてみてください。
 
											






 
							
							
							
															 
							
							
							
															 
							
							
							
															 
							
							
							
															 
							
							
							
															 
							
							
							
															 
										
					 
									 
										
										
										
																	 
										
										
										
																	 
										
										
										
																	 
										
										
										
																	 
										
										
										
																	 
										
										
										
																	 
										
										
										
																	 
										
										
										
																	