ゲーム評論家の桐谷シンジです。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、2025年11月14日に発売が迫った「Call of Duty: Black Ops 7」(以下、BO7)の、特にシーズン1に関する先行情報が気になっていることでしょう。 先日、公式からシーズン1に関する情報が先行公開され、新マップや新武器、さらにはベータテストからの改善点など、期待高まる内容が多数明らかになりました。
この記事を読み終える頃には、BO7のシーズン1で何が起こるのか、そして現時点で判明しているゲームの全体像についての疑問が解決しているはずです。
- シーズン1は12月4日開始予定
- ローンチ時点で過去最大級のマップ18個
- シーズン1で人気マップ復活と新武器多数
- SBMM削減などベータからの重要改善点
それでは解説していきます。
Call of Duty: Black Ops 7 シーズン1の概要
まずは今回先行公開された情報の中から、シーズン1の全体像について整理していきましょう。 待望のBO7発売から、間髪入れずに大型アップデートが控えているようです。
シーズン1は12月4日開始予定
BO7の発売日は2025年11月14日です。 そして、記念すべきシーズン1の開始日は、2025年12月4日(木曜日)と発表されました。
発売から約3週間でのシーズン1開始となり、これは例年のCall of Dutyシリーズと比較しても、プレシーズン期間がやや短めに設定されている印象を受けます。 通常、プレシーズンは1ヶ月程度設けられることが多いですが、今回はかなり早い段階で本格的な新シーズンのコンテンツが投入されることになります。
この背景には、同時期にリリースされる競合FPSタイトル(バトルフィールドシリーズなど)の動向も少なからず影響しているのではないかと、私個人は推測しています。 いずれにせよ、プレイヤーとしては発売直後の興奮冷めやらぬうちに、次なる大規模アップデートを体験できるわけで、これは素直に歓迎すべきスケジュールと言えるでしょう。
シーズン1の主な追加コンテンツ
シーズン1では、マルチプレイヤー、ゾンビモードの両方で大規模なコンテンツ追加が予定されています。 現時点で判明している主な内容は以下の通りです。
- マルチプレイヤー新マップ:
- 「ニュークタウン」(リメイク)
- 「スタンドオフ」(リメイク)
- 「メルトダウン」(リメイク)
- 「フーテ」(またはフォーテ、新規)
- 「ユートピア」(新規)
- 「オデッセイ」(新規)
- その他、「4つ以上の追加マップ」とされており、上記6つ以外にもマップが追加される可能性が示唆されています。
- 新武器:
- 「マドックス」(BO4からの復活武器)
- その他、6つ以上の追加武器
- ゾンビモード:
- 「アストラマロルム」(DLCゾンビマップ)
- 2つのゾンビサバイバルマップ
これだけのボリュームがシーズン1で一挙に追加されるとなると、ローンチ時点でのコンテンツと合わせて、BO7は非常に濃密なゲーム体験を提供してくれることになりそうです。 特にマップと武器の追加数は目を見張るものがあり、プレイヤーを飽きさせないという強い意志を感じます。
BO7 ローンチ(発売時)マップ18選を考察
シーズン1の情報もさることながら、BO7はローンチ(発売時)の時点で、過去最大級とされる18個ものマルチプレイヤーマップが用意されている点も大きな注目ポイントです。 ベータテストでプレイできたマップも含め、現時点で判明しているマップについて考察していきます。
過去最大級のマップ数
ローンチ時点で18個のマップが実装されるのは、近年のCODシリーズにおいて異例の多さです。 これにより、プレイヤーは発売直後から多様な戦場で戦闘を楽しむことができ、マップローテーションのマンネリ化を防ぐ効果が期待できます。
ただし、重要なのは「数」だけでなく「質」です。 18個の中に、いわゆる「クソマップ」がどれだけ含まれていないかを、我々プレイヤーは厳しくチェックしていく必要があります。 とはいえ、これだけの数を用意してきたTreyarch(開発スタジオ)の本気度は評価すべきでしょう。
現時点で判明しているローンチマップは以下の通りです。 (一部、ベータでの名称やリーク情報を含むため、正式名称と異なる場合があります)
- ブラックアウト (Blackout) – ベータでプレイ可能
- コロッサス (Colossus)
- コルテックス (Cortex)
- エクスポージャー (Exposure)
- エクスプレス (Express) – BO2リメイク
- フラグシップ (Flagship)
- ハイジャック (Hijacked) – BO2リメイク
- ホームステッド (Homestead)
- インプリント (Imprint) – ベータでプレイ可能
- ミッションエッジ (Mission Edge) – 大規模マップ
- ミッション態度 (Mission Attitude) – 大規模マップ
- パラノイア (Paranoia)
- レイド (Raid) – BO2リメイク
- スカー (Scar)
- ザ・フォージ (The Forge)
- 都心 (Downtown) – ベータでプレイ可能
- (他2マップ)
復活・リメイクマップ(エクスプレス、ハイジャック、レイド)
BO7のローンチマップの目玉の一つが、Call of Duty: Black Ops 2(BO2)からの人気マップ3つ(エクスプレス、ハイジャック、レイド)の復活です。 これらはBO2プレイヤーであれば誰もが知る、戦略性に富んだ良マップであり、BO7のゲームエンジンでどのように蘇るのか非常に楽しみです。
エクスプレス (Express)
BO2屈指の人気マップである「エクスプレス」が、最新グラフィックで帰ってきます。 このマップは、駅のホームと線路、そして停車中の列車を舞台にした左右対称に近い構造が特徴です。
マップ中央のホームは激戦区となりやすく、両サイドの通路や列車内からの射線管理が重要となります。 特に、一定時間ごとに線路を通過する「列車」に轢かれると即死するというギミックは健在だと思われ、立ち回りに緊張感を与えてくれます。 高低差も適度にあり、ホーム上の高台や列車の上からの狙撃、あるいは地下通路を使った裏取りなど、多彩な戦術が展開できるマップです。 BO7の機動性(詳細は後述)と、このマップ構造がどう噛み合うのか注目です。
ハイジャック (Hijacked)
豪華客船の上で繰り広げられる近~中距離戦がメインのマップ、「ハイジャック」も復活します。 BO2ではそのコンパクトさとテンポの良さから、特にSearch & DestroyやDominationなどのルールで人気を博しました。
マップは大きく分けて、両端の船首・船尾エリア、中央のプールサイド・キャビンエリア、そしてマップ下層を貫く地下通路(機関室)の3層構造になっています。 地上は開けている場所が多い一方、地下通路を使えば敵の背後を突くことが可能です。 ただし、地下通路は狭く、待ち伏せにも会いやすいため、クリアリングが重要になります。 BO7でも、スピーディーな撃ち合いが楽しめるマップとなることは間違いないでしょう。 (BO3では「スカイジャック」としてリメイクされましたが、今回はオリジナルのBO2準拠での復活を期待したいところです)
レイド (Raid)
ハリウッドの丘に建つ豪邸を舞台にした「レイド」も、BO2を代表する競技性の高いマップです。 左右非対称ながら、バランスの取れたマップデザインはeSportsシーンでも高く評価されていました。
中央の円形広場(銅像前)、プールサイド、バスケットボールコート、寝室棟など、特徴的なエリアが複雑に組み合わさっています。 屋内と屋外の戦闘がシームレスに発生し、高低差も利用できるため、あらゆる武器カテゴリーが活躍できるポテンシャルを持っています。 特に中央広場を巡る攻防は、このマップの勝敗を分ける重要なポイントとなるでしょう。 BO7のベータで感じた武器バランス(後述)が、このマップでどのように機能するか、今から楽しみです。
大規模マップ(ミッションエッジ、ミッション態度)
ローンチマップの中には、「ミッションエッジ」と「ミッション態度」という、おそらく大規模戦闘(Ground Warのようなモード)を想定したマップも含まれています。 これまでのBlack Opsシリーズでは、Modern Warfareシリーズほど大規模マップに注力してこなかった印象がありますが、BO7ではこの点にも力を入れているようです。
ベータテストではこれらのマップをプレイできなかったため、詳細は不明ですが、ビークル(乗り物)の有無や、拠点間の距離感、マップの広大さが気になるところです。 従来の6v6とは異なる、大人数での戦略的な戦闘が楽しめるモードになることを期待します。
ベータでプレイできたマップの所感
ベータテストでは、「ブラックアウト」「インプリント」「都心」などの新規マップをプレイすることができました。 これらのマップから感じたBO7のマップデザインの傾向についても触れておきましょう。
全体的な印象として、Treyarch伝統の「3レーン構造」を意識しつつも、MWシリーズ(2019年以降)のような複雑な射線や高低差、入り組んだ建物を融合させようとする意図が感じられました。 「インプリント」は比較的オーソドックスな3レーンに近い構造でしたが、「都心」は高低差と建物内の戦闘が激しいマップでした。
特に賛否が分かれたのが、Modern Warfare (2019) から導入され、一部のプレイヤーから不評だった「開閉可能なドア」の存在です。 BO7のベータでも一部のマップにこのドアが設置されていましたが、これについては後述する「改善点」で大きな変更が加えられることが発表されています。
BO7 シーズン1で追加される新コンテンツ
さて、再びシーズン1の情報に話を戻しましょう。 12月4日からのシーズン1では、ローンチの18マップに加えて、さらに多くのコンテンツが追加されます。
追加マップ7つ以上?(ニュークタウン、スタンドオフ、メルトダウンなど)
シーズン1では、最低でも6つの新しい6v6マップ(+α)が追加されると発表されています。 情報ソースによっては「7つ」や「4つ以上」と表現が揺れていますが、少なくとも相当数のマップが追加されることは確実です。
その中でも特に注目なのが、Black Opsシリーズの象徴とも言える「ニュークタウン」、そしてBO2から「スタンドオフ」「メルトダウン」という、これまた超人気マップの復活です。
待望の復活マップ「ニュークタウン」
もはや説明不要かもしれませんが、「ニュークタウン」はBO1から登場し、以降のBOシリーズ(BO4を除く)のほぼ全てに何らかの形で登場してきた、シリーズを象徴するマップです。
アメリカの核実験場にある、典型的な郊外の住宅地を模したセットが舞台で、左右対称の非常にコンパクトなマップデザインが特徴です。 マップ中央に停められた2台のバス(あるいはトラック)を挟んで、両端の家屋を拠点とした激しい近距離戦が絶え間なく発生します。 そのあまりの戦闘テンポの速さから、好き嫌いが分かれるマップでもありますが、その人気は絶大です。
BO7の時代設定(近未来?)に合わせて、どのようなデザインの「ニュークタウン」になるのか(BO3の「Nuk3town」やBO4(Blackout内)の「Nuketown Island」のようなアレンジが加わるのか)が非常に楽しみです。 シーズン1の目玉コンテンツとなることは間違いないでしょう。
人気マップ「スタンドオフ」「メルトダウン」も登場
BO2からのリメイクはローンチ時だけでなく、シーズン1でも続きます。 「スタンドオフ」と「メルトダウン」の2つが追加されることが決定しました。
スタンドオフ (Standoff)
中国とキルギスの国境付近にある小さな町を舞台にしたマップです。 中央の広場にある戦車の残骸と銅像が象徴的で、この中央エリアを巡る攻防が非常に熱いマップでした。 マップ全体に適度な高低差と、開けた道路、入り組んだ建物がバランス良く配置されており、中~遠距離での撃ち合いと、近距離での遭遇戦が同時に発生します。 「レイド」と並び、BO2の競技シーンを代表するマップであり、この復活を喜ぶベテランプレイヤーは多いはずです。
メルトダウン (Meltdown)
パキスタンにある原子力発電所を舞台にしたマップです。 巨大な冷却塔がそびえ立つ、やや広めのマップデザインが特徴です。 マップは大きく3つのレーンに分かれており、中央の制御室・タービン室エリアと、両サイドの屋外通路(冷却塔下)での戦闘がメインとなります。 特に中央エリアは高低差があり複雑な構造をしているため、ここをどう制圧するかが鍵となります。 BO7の新しい移動システム(マントリングの高速化など)が、このマップの立体的な戦闘にどう影響するか注目です。
その他の新マップ(フーテ/フォーテ、ユートピア、オデッセイ)
リメイクマップ以外にも、「フーテ(フォーテ?)」「ユートピア」「オデッセイ」といった名称の新規マップが追加予定です。 これらについてはまだ詳細な情報はありませんが、リメイクマップだけでなく、完全新規のマップもしっかりと追加してくれるのは嬉しいポイントです。
新武器「マドックス」(BO4)の特徴と予測
シーズン1で追加される武器として、BO4(Black Ops 4)で猛威を振るったアサルトライフル「マドックス RFB」の名前が挙がっています。
BO4時代の「マドックス」は、アサルトライフルでありながら、高い連射速度と良好な機動性を持ち、サブマシンガンのように近距離で立ち回れる強力な武器でした。 特にオペレーターMOD「エコーファイア」を装着した際の火力は圧倒的で、競技シーンでも必須級の武器として扱われていました。
BO7に登場する「マドックス」が、BO4の性能をどの程度引き継いでくるのかは未知数ですが、高い連射速度を持つ機動型アサルトライフルとして実装される可能性が高いでしょう。 BO7のベータでは、デフォルトの武器のADS(覗き込み)時移動速度がやや遅めに感じられたため、「マドックス」のような高機動武器の登場は、ゲーム環境に大きな影響を与えるかもしれません。
その他6つ以上の追加武器
「マドックス」以外にも、シーズン1で合計6つ以上の新武器が追加されると発表されています。 これがバトルパス報酬、チャレンジ解除、あるいはストアバンドルに含まれるのかは不明ですが、武器の選択肢が一気に広がることは確実です。
過去のBOシリーズから復活する武器があるのか、あるいは完全新規の武器なのか、続報が待たれます。 個人的には、BO2の「MSMC」や「AN-94」のような、個性的な人気武器の復活にも期待したいところです。
ゾンビモードの新展開(アストラマロルムDLC、サバイバルマップ)
BO7のゾンビモードについても、シーズン1で早速テコ入れが行われます。 「アストラマロルム」という名称のDLCゾンビマップが追加されるほか、2つの「ゾンビサバイバルマップ」が追加されるとのことです。
BO7のゾンビモードが、従来のラウンドベースのサバイバル形式なのか、あるいは近年の作品(Cold WarやVanguard、MW3)のようなオープンワールド型や目標達成型なのか、まだ詳細は不明です。 しかし、「サバイバルマップ」という名称が使われていることから、伝統的なラウンドベースのゾンビモードを望むファンの声に応える形で、小~中規模のサバイバルマップが提供される可能性が考えられます。 「アストラマロルム」がどのようなストーリーを描くのかも含め、ゾンビファンにとっては見逃せないアップデートとなりそうです。
ベータテストからの主要改善点を徹底レビュー
今回の先行情報公開で、マップや武器と並んで(あるいはそれ以上に)重要だったのが、ベータテストでプレイヤーから寄せられたフィードバックに基づく「改善点」の発表です。 Treyarchがプレイヤーの声を真摯に受け止め、大幅な軌道修正を行ってきたことが伺えます。
SBMMの大幅削減(継続)は本当か?
近年のCODシリーズで最も議論を呼んでいるトピックが、「SBMM」(スキルベースマッチメイキング)の存在です。 これは、プレイヤーのスキル(戦績)に基づいてマッチングを行うシステムで、強力すぎると「カジュアルマッチでも常に自分と近い実力の相手としか当たらず、気が抜けない」「Ping(回線速度)よりもスキルが優先され、ラグい試合が増える」といった批判が寄せられていました。
BO7のベータでもこのSBMMは健在でしたが、今回、「大幅に削減されたSBMM」がローンチ後も「継続される」と発表されました。 これは、ベータ後半(あるいは特定の期間)にテスト的にSBMMを緩和したところ、プレイヤーからの評判が良かったため、それを製品版にも適用するという意味だと解釈できます。
これがどの程度の「削減」なのか(例えば、ランクプレイ導入までは完全撤廃に近い形にするのか、あるいは一定のスキル幅でのみ機能するよう調整するのか)は、実際にプレイしてみないと分かりません。 しかし、開発側がSBMMの問題点を認識し、対策を講じてきたという事実は、非常に大きな前進と言えるでしょう。 これにより、よりカジュアルに、ストレスフリーでマルチプレイヤーを楽しめるようになることが期待されます。
マップ上の「ドア」削減によるゲームテンポ改善
ベータテストで賛否両論だった「開閉可能なドア」についても、メスが入りました。 結論から言えば、「マップ上のドアが削減される」とのことです。
MW (2019) から導入されたこのシステムは、リアルさを追求する一方で、
- ドアを少しだけ開けて待ち伏せする(キャンプ)戦術を助長する
- ドアの開閉音が大きく、敵の位置が特定されやすすぎる(あるいは、足音パークで消せない)
- BO7のベータでは「壊せないドア」だったため、永続的に開閉の駆け引きが発生し、ゲームテンポを阻害していた
といった問題点が指摘されていました。 BOシリーズ伝統のスピーディーなゲーム展開とは相性が悪いと感じていたプレイヤーも多かったはずです。
今回の「削減」が、全てのドアを撤廃するのか、あるいは一部の戦略的に意味のあるドアだけを残すのかは不明ですが、少なくともベータのような「ドアだらけ」のマップデザインにはならないようです。 これにより、BOらしいテンポの良い撃ち合いが復活することが期待されます。
「永続ロビー」の復活
これも非常に大きな改善点です。 近年のCODでは、1試合が終わるごとにロビーが解散され、次の試合ではまた新しいメンバーとマッチングされる「解散ロビー」システムが主流でした。
これには、
- マップ投票ができない
- 同じ相手と連続で戦えない(リベンジマッチができない)
- ロビー内で他のプレイヤーとコミュニケーションを取る時間がない といったデメリットがあり、コミュニティの希薄化を招いていると批判されていました。
BO7では、この解散ロビーシステムを廃止し、かつてのCODのように、同じメンバー(途中退出・参加あり)で試合を続ける「永続的なロビー」が復活することが発表されました。 これにより、マップ投票の復活や、ライバルとの連続した戦いが可能になり、ロビー内での一体感やコミュニティの活性化が期待できます。 これは古参プレイヤーほど喜ばしい変更点と言えるでしょう。
エイムアシストの調整
「デフォルトのADS(覗き込み)のエイムアシストの変更」も発表されました。 これが具体的に「強くする」のか「弱くする」のかは明記されていませんが、ベータでのフィードバックに基づいた調整が入ることは確実です。
近年のCODでは、エイムアシスト(特に回転エイムアシスト)の強さが議論の的になることが多く、パッド(コントローラー)プレイヤーとマウスプレイヤー間の公平性にも関わる問題です。 Treyarchがどのようなバランスに着地させるのか、注目が集まります。
機動性の改善(マントリング、スライディング)
BO7はBO3やBO4のようなジェットパックや高度な壁走り(BO3型)はないものの、ベータでは壁走り(BO4型に近い、短時間)やスライディング、マントリング(乗り越え)といった機動的なアクションが可能でした。 これらについても調整が入ります。
- より早いマントリング: 障害物を乗り越える動作が高速化されます。 これにより、マップ内の移動がよりスムーズになり、障害物に引っかかるストレスが軽減されるでしょう。
- スライディングの速度、長さの低下: ベータではスライディングが強力すぎた(あるいは、特定のアクションと組み合わせることで異常な機動性を発揮した)可能性があり、その速度と移動距離がナーフ(弱体化)されるようです。 これにより、「スライディングキャンセル」のような高等テクニックの有効性にも変化が出るかもしれません。 機動性が高すぎるゲームバランス(いわゆる「キャラコンゲー」)を嫌うプレイヤーにとっては朗報かもしれません。
パークシステムの変更点(足音、デクスタリティデフォルト化)
パークシステムにも重要な変更が加えられます。
- 足音の改善(オーディオ増加): ベータでは「足音が小さすぎて敵の接近に気づけない」というフィードバックが多数寄せられていました。 これに対し、足音全体のオーディオ(音量や定位)が改善されるとのことです。 これにより、足音を聞くことの重要性が増し、デッドサイレンス(足音を消すパークやフィールドアップグレード)との駆け引きがより戦略的になることが予想されます。
- デクスタリティがデフォルト化: これは非常に大きな変更です。 BO7のベータでは、壁走り中にADS(覗き込み)や射撃を行うと、強制的に「タックスタンス」(腰撃ちとADSの中間のような射撃姿勢)になってしまう仕様がありました。 これを防ぎ、壁走り中も通常通りADSや射撃を行うためには、「デクスタリティ」というパーク(パーク3スロット)を装着する必要がありました。しかし、これは「壁走りという機動アクションを活かすためには、貴重なパークスロットを1つ消費しなければならない」という制約であり、パーク3スロット(デッドサイレンスやニンジャと同枠?)の自由度を著しく奪うものとして、非常に不評でした。
今回の改善で、この「デクスタリティ」の効果がデフォルト(標準装備)となり、パークを装着しなくても壁走り中に通常通りの射撃が可能になるとのことです。 これにより、パーク3スロットの選択肢が広がり、ビルドの多様性が生まれることが期待されます。 Treyarchがプレイヤーの強い反発を受け入れ、根本的な仕様変更に踏み切った点を高く評価したいと思います。
評論家が斬る!BO7のガンスミスと今後の課題
最後に、ゲーム評論家として、BO7のベータをプレイして感じた「ガンスミス」システムの問題点と、今後の課題について、私見を述べさせていただきます。
ベータで感じたガンスミスの問題点(ADS移動速度)
BO7でも、近年のCODと同様に、5つのアタッチメント(あるいはそれ以上?)を装着して武器をカスタマイズする「ガンスミス」システムが採用されています。 アタッチメントによるカスタマイズ幅が広いのは良いことですが、ベータで気になったのは「デフォルト(アタッチメントなし)の武器のADS(覗き込み)時移動速度が非常に遅い」という点です。
もちろん、ストック系のアタッチメントを装着すればADS時移動速度は改善されます。 しかし、そのアタッチメントを装着することが前提のバランスになっているように感じられました。 アタッチメントによる効果(特にメリット・デメリット)が極端すぎるのではないか、という懸念があります。 デフォルトのベース性能が低すぎると、アタッチメント装着が必須となり、結果的にカスタマイズの幅を狭めてしまう可能性があります。
タックスタンスの微妙な立ち位置
MW3 (2023) から本格導入された「タックスタンス」ですが、BO7のベータでは非常に微妙な立ち位置でした。 前述の壁走り問題(デクスタリティ必須)もそうですが、タックスタンスを積極的に使うメリットがあまり感じられませんでした。
さらに、タックスタンスの精度を上げるためには「タクティカルレーザー」系のアタッチメントがほぼ必須になるのですが、これもアタッチメントスロットを1つ消費してしまいます。 スライディング中やジャンプ中に有効な射撃姿勢としてデザインされているはずですが、現状では「あえて使う場面が少ない」というのが正直な感想です。
プレステージアタッチメントへの期待
ただし、BO7には「プレステージ武器」(武器レベルが最大になった後、さらにプレステージを回す)専用のアタッチメントが存在するという情報もあります。 もしかすると、この「プレステージアタッチメント」の中に、タックスタンスを劇的に強化するもの(例えば、レーザーなしでも高精度になる、ADS移行が早くなるなど)が含まれているのかもしれません。
もしそうであれば、タックスタンスは「上級者向けのやり込み要素」として機能する可能性があります。 このプレステージアタッチメントが、ガンスミス環境にどのような影響を与えるのか、製品版での解禁が待たれます。
「Pick 10」システム復活はなしか
BO7のガンスミスやパークシステム(複合パークなど)に触れていると、どうしてもBO2~BO4で採用されていた「Pick 10」(10ポイント制)システムのシンプルさと完成度の高さを思い出してしまいます。
武器、アタッチメント、パーク、リーサル、タクティカルなど、全ての装備を合計10ポイント(ワイルドカード使用で変動)の中でやりくりするあのシステムは、非常に自由度が高く、かつバランスが取れていました。
BO7の複雑なガンスミスや、ベータで問題が露呈したパークシステム(デクスタリティ問題など)を見ていると、「いっそのことPick 10に戻してほしい」というのが、多くのベテランプレイヤーの本音ではないでしょうか。 もちろん、ガンスミスシステムにも利点はありますが、BOシリーズの原点回帰を望む声が根強いのも事実です。 今後、この複雑化するシステムと、プレイヤーが望むシンプルさのバランスをどう取っていくのかが、BO7の長期的な課題となると私は考えています。
まとめ
今回は、2025年11月14日発売の「Call of Duty: Black Ops 7」について、先行公開されたシーズン1(12月4日開始)の情報と、ベータテストからの改善点を中心に徹底レビューしました。
- ローンチで18マップ、シーズン1でさらに7つ以上(ニュークタウン、スタンドオフ、メルトダウン等)が追加されるという圧倒的な物量。
- 新武器「マドックス」の復活と、その他多数の武器追加。
- SBMMの大幅削減、ドアの削減、永続ロビーの復活といった、プレイヤーの不満点に対する的確な改善。
- 足音の改善やデクスタリティのデフォルト化など、ゲームプレイの根幹に関わる重要な調整。
ベータテストの段階では、いくつかの懸念点(ADS移動速度、タックスタンス、パーク問題など)もありましたが、今回の発表でその多くが改善、あるいは改善の方向に向かっていることが確認できました。 Treyarchがプレイヤーの声に耳を傾け、BOシリーズらしいスピーディーで戦略的なゲーム体験を取り戻そうとしている姿勢が明確に伝わってきます。
発売まで残り約3週間。 そして、その直後に控えるシーズン1。 BO7が、近年のCODシリーズの閉塞感を打ち破る「最高傑作」となる可能性は、十分にあると私は感じています。 期待して発売日を待ちましょう。







