ゲーム攻略ライターの桐谷シンジです。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、2025年11月20日に発売が迫った『星のカービィ エアライダー』の体験版をプレイして、「本当に面白いの?」「ネットで『改悪』って騒がれてるけど、実際どうなの?」という点が気になっていると思います。 特に、20年前にゲームキューブ(GC)版をやり込んだ方ほど、期待と不安が入り混じっていることでしょう。
何を隠そう、私自身がGC版の熱狂的なファンであり、今回のリメイク発表には歓喜した一人です。 その上で、今回の体験版を2時間みっちりプレイしました。
結論から申し上げます。 「これは我々が待っていたエアライダーではないかもしれない」 あまりにも酷い、というのが率直な感想です。
この記事を読み終える頃には、リメイク版エアライダーの体験版で何が問題視されているのか、そしてGC版と比べて具体的にどこが「改悪」と感じられたのか、その疑問が解決しているはずです。
- 20年ぶりのリメイク体験版の辛口感想
- 「改悪」と酷評される4つの致命的な問題点
- GC版の面白さとリメイク版の虚無感を徹底比較
- 製品版での改善を願うファンからの提言
それでは解説していきます。
星のカービィ エアライダー(リメイク)体験版の概要
まずは、今回のリメイク版と体験版の概要についておさらいしておきましょう。
2025年11月20日発売!20年越しの復活
『星のカービィ エアライダー』は、2003年にゲームキューブで発売されたレース&アクションゲームです。 「スマブラ」の生みの親である桜井政博氏がディレクターを務め、特に「シティトライアル」モードは、そのランダム性と奥深い駆け引きから「神ゲー」として今もなおカルト的な人気を誇っています。
私自身、友人と集まっては夜通しシティトライアルをプレイしたものです。 ランダムに強化されるマシン、突発的なイベント、そして最後のスタジアムでの一発逆転。 あの熱狂が、20年以上の時を経て、ついに現行機(Nintendo Switch 2と噂されていましたが、現行機向けでしたね)で蘇る。 このニュースだけで、どれだけのGC版ファンが歓喜したことか。
発売日は2025年11月20日。 まさにゲームファンが待ち望んだ「冬の大型タイトル」となるはずでした。 そう、この体験版をプレイするまでは。
体験版の開催とプレイ可能だった内容
今回、発売に先駆けて「体験社会」と銘打たれたオンライン体験版が、特定の時間帯限定で開催されました。 私が参加したのは平日の夜、11時までの回です。
この体験版でプレイ可能だったのは、ファン待望の「シティトライアル」モードのみ。 しかも、オンラインマルチプレイ(最大16人)専用でした。 GC版では4人プレイが基本だったため、「16人対戦」というのがリメイク版の最大の目玉であり、同時に最大の懸念点でもありました。
体験版で選べたマシンは「ワープスター」「ウィリーバイク」など数種類に限定されていましたが、基本的なゲームの流れ(街でアイテムを集めてマシンを強化し、最後のスタジアムで戦う)はGC版を踏襲していました。 グラフィックは当然ながらHD化され、非常に美しくなっています。 しかし、その中身は、我々が愛したエアライダーとは似て非なるものでした。
期待高まるPVと桜井氏の「ガンガン回せる」発言
リメイク発表時のNintendo Directでは、桜井氏(今回は監修でしょうか)のコメントとして、「スタジアムモードが終わった後、1位になったプレイヤーは他のプレイヤーのゴールを待たずに次のマッチングに進める」という仕様が紹介されました。 「ガンガン回していっぱい遊んでほしい」という、テンポの良さを追求した改善点として、大いに期待されていました。
GC版では、自分が早々にリタイアしたり、逆に1位でゴールしたりすると、他のプレイヤーが終わるのを待たなければならず、若干のテンポの悪さがあったのは事実です。 そこが改善されるならば、オンライン対戦ゲームとして理想的な進化だと思われました。
しかし、現実はあまりにも残酷でした。 この「ガンガン回せる」という謳い文句が、体験版で最も皮肉な言葉として突き刺さることになったのです。
結論:なぜリメイク版は「改悪」と酷評されるのか
今回の体験版をプレイして感じた「改悪」点は、単なるバグや調整不足といったレベルではありません。 ゲームの根幹、我々が『エアライダー』の「何」を面白いと感じていたのか、その理解が開発陣とプレイヤーの間で致命的にズレているのではないか、という疑念です。
GC版ファンが期待していたもの
我々GC版ファンが期待していたのは、「HDグラフィックになったGC版エアライダー」です。 もちろん、新マシンや新ステージ、オンライン対戦といった追加要素は歓迎します。 しかし、根幹にある「シティトライアルの面白さ」——つまり、4人という閉鎖空間での濃密な駆け引き、理不尽なイベントに一喜一憂する緊張感、そしてスタジアムでのカタルシス——は、絶対に維持、あるいは洗練させてほしかったのです。
「友達のマシンをハンマーで叩き潰し、奪ったアイテムで強化したマシンがスタジアムで火を噴く」 あの背徳感と達成感こそが、エアライダーの魅力の源泉でした。
体験版で露呈した「期待との致命的なズレ」
しかし、体験版で提示されたのは、その真逆でした。 最大16人という「薄味」の対戦環境、盛り上がりに欠けるスタジアム、そして爽快感のない戦闘。 まるで、GC版の「対戦の厳しさ」や「理不尽さ」を「悪いもの」として排除し、誰でも何となく楽しめる「パーティゲーム」に作り替えようとしたかのようです。
その結果、GC版の魅力であった「毒」が抜け落ち、ただ綺麗なだけの「退屈なゲーム」になってしまった。 これが、私が2時間のプレイで感じた偽らざる感想です。 「完全解約」という言葉がSNSでトレンド入りしましたが、言い得て妙です。
これは「リメイク」ではなく「別物」なのか
もちろん、まだ体験版です。 製品版ではオフラインモードや、GC版に近いルールの「4人対戦モード」が搭載されている可能性も捨てきれません。 しかし、オンライン対戦のメインモードとしてこの16人対戦を据えているのだとしたら、開発は「エアライダー」というゲームの面白さを完全に見誤っています。
以下では、私が「改悪」と感じた具体的なポイントを、GC版との比較を交えながら徹底的にレビューしていきます。
エアライダー体験版の最悪な点①:致命的なマッチング問題
まず、ゲームを遊ぶ以前の段階で、プレイヤーの心を折りに来る最大の問題点です。
「ガンガン遊べる」はずが「15分待たされる」現実
前述の通り、桜井氏の「ガンガン回せる」という言葉に我々は期待しました。 しかし、体験版の現実は「全くマッチングしない」という地獄でした。
部屋に入室し、「マッチングまであと0秒」「残り1人」と表示されてからが本番です。 最後の1人が入ってこない。 あるいは、誰かが入ってきたかと思えば、別の誰かが抜けていく。 この「残り1人」の状態が、平気で5分以上続きます。
私の場合、あまりにマッチングしないため一度ゲームを再起動し、再度マッチングを試み、また5分待たされ……と、トータルで15分以上、プレイできずに待機画面を眺め続けることになりました。 2時間という限られた体験時間の中で、この待機時間は致命的です。
なぜマッチングしないのか?(原因の推測)
これは単なるサーバートラブルや人気がありすぎてアクセスが集中している、という類の問題ではない可能性があります。 もしそうなら、「満員で入れません」となるはずです。 「残り1人」のまま延々と待たされるのは、マッチングのシステム(ロジック)自体に欠陥があるのではないでしょうか。
例えば、16人揃わないとゲームが開始できず、誰か一人が抜けた瞬間に、また新たな1人を補充するために待機時間がリセットされる……といった仕様だとしたら、あまりにもお粗末です。 これでは、16人という大人数が揃うまで、永久にゲームが始まらない可能性すらあります。
1位のスキップ機能が無意味と化す本末転倒な仕様
このマッチングの遅さが、「1位のスキップ機能」という最大の改善点を完全に無意味なものにしています。 仮に、スタジアムで圧勝し、「よし、次だ!」と意気揚々とスキップ機能を使ったとしましょう。 しかし、その先に待っているのが「15分の待機時間」だとしたら?
「ガンガン回す」どころか、ゲームのプレイ時間よりも待機時間の方がはるかに長くなる。 これなら、GC版のように他のプレイヤーのゴールをぼーっと眺めている方が、まだ精神衛生上マシです。 少なくとも、そこには「あいつ、あのマシンでよく頑張ったな」「俺のハイドラ最強!」といった感想戦の時間がありました。
リメイク版のマッチング待機時間は、ただただ虚無です。
GC版のローカル対戦の快適さとの落差
GC版は基本的にオフラインのローカル対戦でした。 友達が4人集まれば、コントローラーを接続し、数分後にはシティトライアルの空を飛んでいたのです。 あの快適なテンポを知っているだけに、オンラインになった途端、プレイするまでにこれほどのストレスを強いられるという現実は、受け入れがたいものがあります。
オンライン対戦が主流の現代において、このマッチングシステムは「時代遅れ」どころか「未完成」と言わざるを得ません。 製品版までにこれが改善されなければ、それだけで購入を見送る理由になります。
エアライダー体験版の最悪な点②:絶望的に盛り上がらないスタジアム
仮に、15分の待機時間を耐え抜き、シティトライアルでマシンを強化できたとしましょう。 しかし、その先に待っている「ご褒美」であるはずのスタジアムが、これまた絶望的につまらないのです。
GC版のスタジアム:勝利の快感と敗北の絶望
GC版のシティトライアルがなぜ神ゲーだったか。 それは、最後のスタジアムでのカタルシスがあったからです。
7分間の強化タイムで、いかにライバルより優れたマシンを作り上げるか。 そして、その集大成として、例えば「エアグライダー」で圧倒的な飛距離を叩き出したり、「デスマッチ」でライバルを場外に叩き落としたりする。 勝った時の「うっしゃあ!俺のハイドラ最強!」という高揚感。 逆に、強化に失敗し、何もできずに敗北した時の「あの時アイテムを取られていなければ……」という絶望。
この「勝ち」と「負け」が明確であり、それまでの7分間のドラマが凝縮されるからこそ、我々は熱狂しました。 負けたプレイヤーは、勝者の圧倒的なパフォーマンスを(ある意味、屈辱的に)見せつけられる。 それこそが「次こそは勝ってやる」というモチベーションに繋がったのです。
リメイク版のスタジアム:「勝った気がしない」虚無感
しかし、リメイク版のスタジアムには、その「熱狂」がありません。 体験版でプレイできたスタジアム(ウィリーバイクでのレースのようなもの)は、とにかく盛り上がらない。
勝っても、「あ、勝っちゃった」という程度の感想しか湧かないのです。 GC版のような、脳汁が溢れ出るような達成感がない。 なぜでしょうか。
一つは、16人という人数の多さにあるかもしれません。 誰がライバルなのかもよく分からず、大勢の中の一人としてゴールし、淡々とリザルトが表示される。 GC版にあった「4人のうちの勝者」という特別感がないのです。
勝利演出やリザルトの問題点
対象ソースでも触れられていましたが、GC版では1位になったプレイヤーが、2位以下のプレイヤーのプレイを見せつけられるという(1位にとっては快感の)時間がありました。 しかしリメイク版では、前述のスキップ機能のせいで、自分が3位や2位でゴールしても、誰も自分の活躍を見てくれていない可能性があります。
子供たちが、初めて3位に入れたと喜んでいても、1位のプレイヤーはもう次のマッチング(という名の待機時間)に入っているかもしれない。 これは、勝者にとっても敗者にとっても、虚しいシステムではないでしょうか。 勝利の喜びを分かち合う(あるいは見せつける)相手がいないのです。
子供だまし? ウィリーバイクでの0円アタック
体験版でプレイできたスタジアムの一つに、ウィリーバイク(おそらく)で競うレースがありました。 対象ソースのプレイヤーはこれを「ウィリーで3人ぐらいで0円アタックさせられてさ」と表現していますが、これはおそらく、特定の(強力な)マシンに乗っていれば、ほぼ自動的に勝ててしまうような、単調なゲームデザインになっていることを指しているのでしょう。
GC版のスタジアムは、シティでの強化内容がダイレクトに反映される、シビアなものでした。 飛行能力を上げていなければエアグライダーでは勝てませんし、攻撃力を上げていなければデスマッチでは生き残れません。 しかしリメイク版が、もし「特定のAボタン(仮)を連打していれば勝てる」ような単純なミニゲーム集になっているのだとしたら、それはシティトライアルの「強化」とは何だったのか、という根本的な疑問に繋がります。
強化の集大成であるはずのスタジアムが、これほどまでに虚無的で達成感のないものに「改悪」されている。 これは、マッチング問題以上に深刻な問題かもしれません。
エアライダー体験版の最悪な点③:シティトライアルの戦略性崩壊
そして、ゲームの核である「シティトライアル」モードそのものも、GC版の面白さを大きく損なう変更が加えられていました。 それが「16人対戦」です。
GC版(4人対戦)の魅力:ライバルを蹴落とすインセンティブ
GC版のシティトライアルは、最大4人プレイでした。 自分以外に、ライバルは最大3人。 この「3人」というのが絶妙なバランスでした。
マップ上でライバルと遭遇すれば、「あいつを倒せば、俺の勝利が近づく」という明確なインセンティブ(動機)がありました。 敵を倒せば、そいつが持っていたアイテムを奪えるかもしれない。 少なくとも、ライバルの強化を妨害できる。 だからこそ、我々は積極的にライバルと戦い、貴重な「ハイドラ」や「ドラグーン」のパーツを奪い合ったのです。 3人を蹴落とせば、実質的に自分の勝ちが決まる。 非常に分かりやすい、弱肉強食の世界でした。
リメイク版(16人対戦)の弊害:誰を攻撃しても意味がない
しかし、リメイク版の16人対戦ではどうでしょうか。 自分以外のライバルが15人もいます。 マップ上で誰かとすれ違い、戦闘になったとしましょう。 そいつを倒すことに、どれほどの意味があるでしょうか?
15人のうちの1人を倒したところで、残りの14人はその間も着々とマシンを強化しています。 戦闘に時間を割くこと自体が、非効率的ですらあります。 誰が今1位なのか、誰を狙うべきなのかが全く分からない。 「敵を倒すこと」に対するリターンが、GC版に比べて著しく低いのです。
「戦闘」より「アイテム集め」が安定する退屈なゲーム性
その結果、どういうプレイスタイルが最適解になるか。 「ライバルとは極力戦わず、マップの端で誰にも見つからないようにコソコソとアイテムボックスを壊し、地道に強化する」 これです。
GC版の醍醐味であった「ライバルとの熱い駆け引き」は完全に失われました。 16人もいると、もはや他プレイヤーは「ライバル」ではなく、「背景」の一部です。 これでは、ただのアイテム集め作業ゲームです。 これのどこが「対戦ゲーム」なのでしょうか。
開発陣は「人数が多ければ楽しいだろう」と安直に考えたのかもしれませんが、シティトライアルというゲームの「本質」はそこではありませんでした。 人数を増やしたことで、ゲームの戦略性が崩壊してしまったのです。
大人数による処理落ちや視認性の問題は?
これは体験版では明確には確認できませんでしたが、16人が同じエリアに集まった場合、まともにゲームになるのでしょうか。 処理落ちでカクカクになるのではないか、エフェクトが飛び交って何が何だか分からなくなるのではないか、という懸念は尽きません。
「子供に向けて作ったんだな」という批判がありましたが、まさにその通りかもしれません。 ライバルと真剣に競い合うのではなく、みんなでワイワイとアイテムを集めて、最後のスタジアム(という名のミニゲーム)で何となく順位が決まる。 GC版ファンが求めていた「シビアな対戦」とは、程遠いものです。
エアライダー体験版の最悪な点④:劣化した戦闘と操作性
戦略性が失われただけでなく、純粋なアクションゲームとしての「触り心地」=操作性や戦闘の爽快感も、GC版に劣っていると感じました。
GC版の「キュッキュキュバーン」という神がかった操作感
GC版の操作性は、今思い返しても「神がかっていた」と言えます。 特に戦闘。 敵(ライバル)とのすれ違いざまにスピンアタックを叩き込む。 あの「キュッキュキュバーン!」とでも言うべき、直感的でレスポンスの良い操作感。 自分の思い通りにマシンを操り、敵を攻撃する快感がありました。
マシンの慣性を利用したドリフト、急停止からの反転攻撃。 操作はシンプル(スティック+Aボタン)なのに、やればやるほど奥が深い。 あれこそが「エアライド(空を飛ぶ乗り物)」を操る楽しさでした。
リメイク版の戦闘:狙った敵を攻撃できないストレス
しかし、リメイク版の操作感には、どうにも違和感がつきまといます。 対象ソースのプレイヤーも「狙ってるやつを攻撃しに行ってんだけど、関係ないやつ倒しちゃったりしてる」と述べています。
これは私も強く感じました。 敵を狙って攻撃を仕掛けても、なぜか当たらなかったり、意図しない挙動になったりする。 GC版のような「手足のようにマシンを操る」感覚が薄いのです。 戦闘が、非常に「もっさり」している印象を受けました。
当たり判定?マシンの挙動?(原因の考察)
原因がどこにあるのか、短時間のプレイでは断定できません。 マシンの挙動がGC版と微妙に異なるのか、当たり判定(コリジョン)の処理が甘いのか、あるいは16人対戦の通信ラグが影響しているのか。
いずれにせよ、アクションゲームにおいて「狙った敵を攻撃できない」というのは、致命的な欠陥です。 ただでさえ16人対戦で戦闘のインセンティブが下がっているのに、戦闘そのものが面白くないとなれば、もう誰も戦わなくなってしまいます。 前述の「コソコソアイテム集め安定」論を、さらに補強する結果となってしまっています。
マシンごとの個性は健在か?
GC版では、「ワープスター」はバランス型、「ウィリーバイク」は地上特化、「スリックスター」は曲がりにくいが最高速はピカイチ……など、マシンごとに明確な個性と長所・短所がありました。 リメイク版でもマシンごとの違いは感じられましたが、この操作性の違和感の前では、マシンの個性を吟味する以前の問題でした。
まずは、GC版と同等、いや、それ以上の「気持ちいい操作性」を実現してもらうことが、最低限のスタートラインでしょう。
20年前のGC版とリメイク体験版の徹底比較
ここまで述べてきた問題点を、GC版(2003年)とリメイク体験版(2025年)で比較してみましょう。
比較表:GC版 vs リメイク体験版
| 比較項目 | GC版 (2003年) | リメイク体験版 (2025年) | 評価 |
|---|---|---|---|
| 最大プレイ人数 | 4人 (オフライン) | 16人 (オンライン) | 改悪 |
| シティ戦略性 | 濃密 (3人のライバルを蹴落とす) | 希薄 (15人の中の1人) | 改悪 |
| 戦闘のインセンティブ | 非常に高い (アイテム強奪、妨害) | 非常に低い (リターンが少ない) | 改悪 |
| 戦闘の操作性 | 良好 (キュッキュキュバーン) | 違和感あり (狙いにくい) | 改悪 |
| マッチング | ほぼ無し (ローカル対戦) | 致命的に遅い (15分待ち) | 論外 |
| ゲームテンポ | 快適 | 最悪 (待機時間>プレイ時間) | 論外 |
| スタジアム | 達成感・カタルシスあり | 虚無感・盛り上がりに欠ける | 改悪 |
| 勝利の快感 | 非常に高い (他者に見せつける) | 低い (誰も見ていない) | 改悪 |
| グラフィック | 当時最高峰 (感動あり) | 現代水準 (綺麗だが感動なし) | 順当進化 |
グラフィック:綺麗になったが、感動はない
唯一、手放しで褒められるのはグラフィックです。 HD化され、街並みやマシンのディテールは非常に美しくなっています。
しかし、対象ソースでも言及されている通り、「そりゃもう20年経ってっからね」という話です。 20年前、ゲームキューブで『エアライダー』を初めてプレイした時、あの美しいグラフィックと広大なマップには度肝を抜かれました。 当時の基準で言えば、あれは「すごい」グラフィックでした。
しかし、2025年の現代において、リメイク版のグラフィックは「綺麗で当たり前」です。 そこに、20年前のような「驚き」や「感動」はありません。 グラフィックが綺麗になった「だけ」で、ゲーム体験の核である「面白さ」がこれほどまでに損なわれているのだとしたら、それは「進化」とは呼べません。
BGM・サウンド:アレンジは?
BGMに関しては、体験版の範囲ではGC版の名曲のアレンジが使われており、ここは素直に嬉しかったポイントです。 しかし、それもゲーム体験全体が面白くなければ、単なる「懐メロ」で終わってしまいます。 あの素晴らしいBGMが、虚無的なマッチング待機時間や、盛り上がらないスタジアムで流れているのは、むしろ悲しさすら覚えました。
GC版の「理不尽さ」こそが面白さだった
結局のところ、リメイク版開発陣は、GC版の「理不尽さ」や「シビアさ」を、現代のゲームとして「洗練」させようとした結果、失敗したのではないでしょうか。 しかし、我々ファンが愛したのは、あの「理不尽さ」でした。
突如始まる「隕石」イベントで全てを失う絶望。 最強マシン「ハイドラ」を完成させたプレイヤーが、他の3人を蹂躙する圧倒的な格差。 それら全てが、シティトライアルという「ドラマ」のスパイスだったのです。
リメイク版は、そのスパイスを全て取り除き、誰もが平等に、何となく楽しめる「安全な」ゲームを目指したように見えます。 その結果、何の味もしない、退屈な料理が出来上がってしまいました。
この「改悪」は製品版で改善されるのか?
我々GC版ファンに残された最後の希望は、「これはあくまで体験版であり、製品版では改善される」というものです。
発売まで残りわずか:間に合うのか?
しかし、発売は2025年11月20日。 この記事を書いている時点(11月初旬)で、もう1ヶ月もありません。
マッチングのサーバー問題や、細かな操作性の調整であれば、発売日のパッチ(Day1パッチ)で修正される可能性はあります。 私も、そうであってほしいと心から願っています。
根本的なシステム(16人対戦)は変更不可能なのか
しかし、問題がもっと根深いとしたら? 「16人対戦」というシステムそのものが、このゲームを面白くなくしている元凶だとしたら、それは短期間で修正できるものではありません。 スタジアムが根本的につまらない、というのも同様です。
もし、製品版に「GC版ルール(4人対戦、GC版スタジアム)」が別途収録されているのであれば、まだ救いはあります。 しかし、この16人対戦モードが「リメイク版のスタンダード」なのだとしたら、私は製品版の購入をためらわざるを得ません。
開発(ハル研究所)への要望と不安
私はハル研究所のゲームが大好きです。 『星のカービィ』シリーズも、『スマブラ』も、常に我々に最高のエンターテイメントを提供してくれました。 だからこそ、今回の『エアライダー』リメイクには、並々ならぬ期待を寄せていました。
20年も待ったのです。 こんな中途半端なリメイクで、我々の思い出を汚さないでほしい。 どうか、製品版では、我々が愛した「あの頃のエアライダー」の片鱗だけでも、感じさせてくれることを祈っています。
まとめ
『星のカービィ エアライダー』リメイク版の体験版(体験社会)レビューをお届けしました。
まとめると、現状の体験版は
- 致命的なマッチングの遅さ
- 盛り上がらないスタジアム
- 16人対戦による戦略性の崩壊
- 劣化した戦闘・操作性
という、「改悪」と非難されても仕方がない4つの大きな問題を抱えています。
GC版をやり込んだファンであればあるほど、その落差に愕然とするでしょう。 「ガンガン回せる」という謳い文句は、現状では「ガンガン待たされる」の間違いです。
もちろん、製品版での改善に一縷の望みを託したいですが、ゲームの根幹システムから面白さが失われている可能性があり、予断を許さない状況です。 購入を検討されている方は、発売直後のさらなるレビューや、開発からのアナウンスを待った方が賢明かもしれません。
20年越しの期待が、どうか裏切られないことを願うばかりです。







