編集デスク ガジェット担当の新海ミナです。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、新しく登場したポータブルゲーミングPC「AOKZOE A1X」が気になっていて、定番の「Steam Deck」と比べてどうなのか、詳しく知りたいと思っているのではないでしょうか。
ポータブルゲーミングPC市場は本当に盛り上がっていて、次々と魅力的なデバイスが登場しますよね。 私もゲーム評論家として、ガジェット担当として、発表されるたびにワクワクしています。 特にAOKZOE A1Xは、その圧倒的なスペックで大きな注目を集めています。
一方で、このジャンルを切り開いたSteam Deckも、OLEDモデルの登場や圧倒的なコストパフォーマンスで、依然として強力な選択肢です。
「性能を取るべきか、価格を取るべきか」 「Windows機とSteamOS、実際どちらが自分に合っているのか」 「画面の大きさや重さ、操作感はどう違うの?」
私も両方のデバイスをじっくりと使い込んできましたので、そういった疑問はとてもよく分かります。
この記事を読み終える頃には、AOKZOE A1XとSteam Deck、それぞれの強みと弱み、そして「どちらがあなたのゲームライフに最適か」という疑問が解決しているはずです。
- AOKZOE A1Xの圧倒的な処理性能と最新スペック
- Steam Deckの卓越したコストパフォーマンスとSteamへの最適化
- 8インチ120Hz(A1X) vs 7.4インチ90Hz(Deck OLED) 画面体験の違い
- Windows 11(A1X) vs SteamOS(Deck) プレイ環境の決定的な差
それでは解説していきます。
ポータブルゲーミングPCの新たな怪物「AOKZOE A1X」とは
まず、今回大注目の新製品「AOKZOE A1X」について、その特徴を見ていきましょう。 AOKZOEというブランドは、以前から高性能なポータブルPCを手掛けてきましたが、このA1Xはまさに「全部入り」とも言える意欲作です。
「ポータブル機でここまでできるんだ」と、私も初めて触った時は驚きました。
まず注目すべきは最新鋭のAPU「AMD Ryzen AI 9 HX 370」
AOKZOE A1Xの心臓部には、AMDの最新APU「Ryzen AI 9 HX 370」が搭載されています(エントリーモデルはRyzen 7 8840U)。 これは、ポータブルゲーミングPC市場でこれまで主流だった「Ryzen 7 7840U」や「Ryzen Z1 Extreme」と比較しても、約2割ほど性能が向上していると言われています。
実際に私もAAAタイトルをいくつかプレイしましたが、Steam Deckでは設定をかなり妥協しなければならなかったような重いゲームでも、A1Xではより高い設定でスムーズに動作しました。 APU内蔵のグラフィックス「Radeon 890M」は、一昔前のエントリークラスのデスクトップ用グラフィックボード(GTX 1650 Tiなど)に匹敵すると言われるほどのパワーを持っています。
ポータブル機で「サイバーパンク2077」や「エルデンリング」を、画質設定「中~高」で快適に遊べる時代が来たんだなと実感させられましたね。
トレンドの最先端を行く「8インチ・120Hz」の大画面ディスプレイ
AOKZOE A1Xを持って、まず誰もが驚くのが「画面の大きさ」です。 最近のトレンドとして、ポータブル機も7インチから8インチへと大画面化が進んでいますが、A1Xはその最先端を行っています。
ディスプレイの主な仕様:
- サイズ: 8インチ IPS液晶
- 解像度: 1920×1200 (WUXGA)
- アスペクト比: 16:10
- リフレッシュレート: 120Hz
- 輝度: 最大500ニト
Steam Deck(1280×800)と比較すると、解像度が格段に高い(フルHD以上)ため、ゲーム内のテキストが非常に読みやすく、映像の精細感が全く違います。 16:10というアスペクト比も、ゲームプレイやPC作業においてバランスが良いですね。
さらに120Hzの高リフレッシュレートに対応しているため、FPSゲームやアクションゲームでの映像の滑らかさは格別です。 可変リフレッシュレート(VRR)にも対応しているようで、フレームレートが不安定になりがちな場面でも、チラつき(テアリング)やカクつき(スタッタリング)を抑えてくれるのは大きな強みです。
「Windows機」ならではの充実したインターフェースと拡張性
AOKZOE A1Xは、OSにWindows 11 Homeを搭載しています。 これがSteam Deckとの最も大きな違いの一つですが、それゆえに拡張性もデスクトップPC並みです。
主なインターフェース:
- USB4 (Type-C) ×2
- USB 3.2 Gen 2 (Type-A) ×1
- OCuLink ×1
- microSDスロット (UHS-II対応)
- 3.5mmイヤフォンジャック
驚くべきは、最新規格のUSB4ポートを2つも搭載している点です。 これにより、充電しながら高速な周辺機器(外付けSSDやドッキングステーション)を同時に使用できます。 さらに、昔ながらのUSB-Aポートが1つあるのも、地味ながら非常に便利です。 USBメモリや、ワイヤレスマウスのレシーバーを変換アダプタなしで挿せるのは、ストレスがなくて良いですね。
そして特筆すべきは「OCuLink」ポートの搭載です。 これは、外付けGPUボックス(eGPU)を、従来のThunderbolt(USB4)接続よりも高速かつ安定して接続するための規格です。 自宅ではハイエンドなデスクトップPC用グラフィックボードを接続し、外では本体のAPUで遊ぶ、といった使い分けが、より実用的になりました。
ゲーム機としての完成度を高める「1Xコンソール」と各種機能
Windows搭載のポータブルPCは、「ただの小さいPC」でゲーム機としての使い勝手が悪い、という時代は終わりつつあります。 AOKZOE A1Xには「1Xコンソール」という専用の管理ソフトが搭載されています。
本体のターボボタンを押すことで、ゲーム中でも設定オーバーレイを呼び出せます。 ここでTDP(消費電力)の調整、ファンの回転数、画面の解像度、RGBライトの制御などを簡単に行えるため、非常に「ゲーム機らしい」操作感を実現しています。
バッテリーに優しい「バイパス電源機能」
私が特に素晴らしいと感じたのは「バイパス電源機能」です。 これは、ACアダプタを接続してプレイする際に、バッテリーを経由せず本体へ直接電力を供給する機能です。 自宅で据え置き機のように長時間遊ぶ場合、バッテリーを満充電のまま酷使し続けることがなくなり、バッテリーの劣化を大幅に抑えることができます。 これはSteam Deckにはない、非常に実用的な機能です。
Steam Deckに追いついた「冷蔵庫機能」
Steam Deckの最大の強みの一つに、「スリープ・レジューム(中断・再開)の速さ」がありました。 Windows機はこれが苦手でしたが、A1Xに搭載された「冷蔵庫機能」は、ゲームの状態をメモリに保存して素早くスリープに入る機能です。 実際に試してみると、Steam Deckほど瞬時ではありませんが、従来のWindowsスリープとは比較にならない速さでゲームを中断・再開できました。 これはポータブル機として非常に重要な進化ですね。
その他のハードウェア
操作系も抜かりなく、ドリフト(勝手にスティックが入力される現象)に強い「ホールエフェクト方式」のジョイスティックを採用し、6軸ジャイロセンサーやデュアルリニアモーターによる振動機能も搭載しています。 本体背面には無段階調整が可能なキックスタンドも内蔵しており、机に置いてコントローラーで遊ぶスタイルにも最適です。
ポータブルゲーミングPCの覇者「Steam Deck」の特徴
次に、比較対象となる「Steam Deck」です。 Valve社が開発したこのデバイスは、ポータブルゲーミングPC市場を一気にメインストリームに押し上げた、まさに「覇者」と言える存在です。 私も発売当初から愛用しており、その完成度の高さには今も感心させられます。
圧倒的なコストパフォーマンスと価格設定
Steam Deckの最大の魅力は、なんといってもその「価格」です。 AOKZOE A1Xの最上位モデルが20万円を超えるのに対し、Steam Deckはラインナップが刷新され、非常に手頃な価格から購入可能です。
- Steam Deck LCD (256GB): 59,800円
- Steam Deck OLED (512GB): 84,800円
- Steam Deck OLED (1TB): 99,800円
最も安価なモデルなら、AOKZOE A1Xの3分の1以下、最上位の1TB OLEDモデルですら10万円を切っています。 この価格で、ほとんどのSteamゲームをポータブルで遊べる環境が手に入るというのは、驚異的なコストパフォーマンスです。
ゲームに最適化された「SteamOS」と快適なスリープ機能
Steam Deckは、OSにWindowsではなく、Valveが開発したLinuxベースの「SteamOS」を搭載しています。 これにより、起動するとすぐにSteamのライブラリ画面(Big Pictureモードに似たUI)が表示され、非常にシンプルで直感的な「家庭用ゲーム機」のような体験を提供します。
Windowsのようなデスクトップ操作やアップデートの煩わしさがほとんどなく、純粋にゲームを起動して遊ぶことに特化しています。 Windowsゲームは「Proton」という互換レイヤーを通して実行されますが、多くの人気タイトルはValveによって最適化されており、驚くほどスムーズに動作します。
そして前述の通り、スリープとレジュームの速さは本当に素晴らしいです。 電源ボタンを押せば瞬時にスリープし、もう一度押せば数秒でゲームの続きから再開できます。 この「手軽さ」は、ポータブル機としての体験価値を大きく高めています。
独自のデュアルトラックパッドと優れたグリップ感
Steam Deckの操作系で特徴的なのは、左右のスティックの下に配置された「デュアルトラックパッド」です。 これは、RTS(リアルタイムストラテジー)やシミュレーションゲームなど、本来マウス操作が前提のゲームを遊ぶ際に非常に役立ちます。 デスクトップモード(Linuxのデスクトップ画面)でのマウス操作も快適です。
また、本体は約640g(OLEDモデル)と、A1X(約748g)より100g以上軽量です。 グリップ部分の形状も人間工学に基づいて非常によく設計されており、長時間持っていても疲れにくいと感じますね。
LCDとOLED、選べる2つのディスプレイモデル
現在は、従来のLCD(液晶)モデルと、新しく登場したOLED(有機EL)モデルが選べます。 OLEDモデルは、単に画面が綺麗になっただけではありません。
Steam Deck OLEDモデルの主な改善点:
- ディスプレイ: 7.4インチ OLED (HDR対応)
- リフレッシュレート: 90Hz
- バッテリー: 50Wh (LCDは40Wh)
- 重量: 約640g (LCDより約30g軽量化)
- APU: 6nmプロセスに微細化 (省電力化)
- その他: Wi-Fi 6E対応、スティックの改善など
画面の美しさ(特に黒の表現)はもちろん、リフレッシュレートが60Hzから90Hzに向上し、バッテリー持ちも改善、さらに軽量化まで果たしています。 Steam Deckを選ぶなら、OLEDモデルは非常に魅力的な選択肢です。
【徹底比較】AOKZOE A1X vs Steam Deck 買うならどっち?
さて、両者の特徴がわかったところで、皆さんが一番知りたい直接比較に移りましょう。 どちらも素晴らしいデバイスですが、得意分野が全く異なります。
スペック比較表
まずは、主要なスペックを表で比較してみましょう。 (A1Xは最上位モデル、Steam DeckはOLED 1TBモデルで比較します)
| 項目 | AOKZOE A1X (Ryzen AI 9 HX 370) | Steam Deck (OLED 1TB) |
|---|---|---|
| APU | AMD Ryzen AI 9 HX 370 (Zen 5/RDNA 3.5) | AMD Custom APU (Zen 2/RDNA 2) |
| メモリ | 64GB LPDDR5X-7500MHz | 16GB LPDDR5-6400MHz |
| ストレージ | 2TB M.2 NVMe SSD (PCIe 4.0) | 1TB M.2 NVMe SSD (PCIe 3.0) |
| ディスプレイ | 8インチ IPS液晶 | 7.4インチ OLED (有機EL) |
| 解像度 | 1920 x 1200 (16:10) | 1280 x 800 (16:10) |
| リフレッシュレート | 120Hz (VRR対応) | 90Hz |
| OS | Windows 11 Home | SteamOS 3.0 (Linuxベース) |
| バッテリー | 72.7Wh | 50Wh |
| インターフェース | USB4 x2, USB-A x1, OCuLink x1 | USB-C 3.2 Gen 2 x1 |
| 操作系 | ホールスティック, ジャイロ | ホールスティック (OLED), ジャイロ, トラックパッド x2 |
| その他機能 | キックスタンド, バイパス電源, 冷蔵庫機能 | HDR対応ディスプレイ |
| 重量 | 約748g | 約640g |
| 価格 (参考) | 約238,000円 | 99,800円 |
比較①:処理性能とグラフィックス(A1Xの圧勝)
これはもう、比べるまでもありません。 AOKZOE A1Xの圧勝です。
A1Xの「Ryzen AI 9 HX 370」とSteam DeckのカスタムAPUでは、CPU・GPUともに世代が違いすぎます。 (Zen 5 vs Zen 2、RDNA 3.5 vs RDNA 2) メモリもA1Xは64GBと、Steam Deckの16GBの4倍です。 ポータブルゲーミングPCはAPUがメインメモリをVRAM(ビデオメモリ)として共有するため、メモリ容量と速度は性能に直結します。
実際のゲーム体験として:
- Steam Deck: 1280×800の解像度において、多くのAAAタイトルを「中~低設定」で30~60FPSで動作させることを目指しています。
- AOKZOE A1X: 1920×1200の解像度で「中~高設定」を狙ったり、1280×800に解像度を落として「最高設定」で60FPS以上、あるいは120Hzを活かす設定も可能です。
情報ソースにあったベンチマーク(FF14やモンハンワイルズ)でも、A1Xは30W設定(高TDP)で非常に高いスコアを出していました。 Steam Deckの最大TDPは15Wであり、単純な電力投入量からしてもA1Xのパワーが上回っています。
結論: 最高の画質と最高のフレームレートをポータブルで追求したいなら、選択肢はAOKZOE A1X一択となります。
比較②:ディスプレイ品質(精細感のA1X vs 発色のDeck OLED)
ディスプレイは非常に悩ましい比較です。
- AOKZOE A1X: 8インチ、1920×1200、120Hz、IPS液晶
- Steam Deck OLED: 7.4インチ、1280×800、90Hz、OLED (HDR)
解像度と精細感: A1Xの勝利です。 8インチで1920×1200という解像度は、文字の潰れが全くなく、非常に精細です。 Steam Deckの1280×800も7.4インチというサイズでは十分綺麗ですが、並べて比べると差は歴然です。
画面の迫力: これもA1Xです。 7.4インチと8インチの差は数字以上に大きく感じ、ゲームへの没入感はA1Xが勝ります。
発色とコントラスト: これはSteam Deck OLEDの勝利です。 OLED(有機EL)の特性である「完全な黒」の表現力は、IPS液晶では敵いません。 暗いシーンの多いホラーゲームや、色彩豊かなゲームをプレイする際の満足度、HDR対応による光の表現力はOLEDが圧倒的に有利です。
滑らかさ(リフレッシュレート): A1X (120Hz) が Deck OLED (90Hz) を上回ります。 ただ、Steam DeckのAPU性能で90Hzを安定して出すのは難しいゲームも多いため、A1Xの120Hz(+VRR)の方が、そのパワーと合わせて実用的なアドバンテージになる場面は多いでしょう。
結論: 精細感、迫力、滑らかさを重視するならA1X。 コントラスト比(黒の沈み込み)とHDR体験を重視するならSteam Deck OLED、となります。 個人的には、解像度の高さは文字の読みやすさに直結するため、A1Xのディスプレイは非常に魅力的だと感じています。
比較③:OSとプレイできるゲームの幅(Windows vs SteamOS)
ここが性能や価格と同じくらい、重要な分岐点です。
- AOKZOE A1X (Windows 11):
- メリット: ほぼ全てのPCゲームが動作します。Steamはもちろん、Xbox Game Pass、Epic Games Store、GOG、EA Playなど、あらゆるプラットフォームのゲームを遊べます。Modの導入もPCと同じ感覚で簡単です。動画編集(スペックが高いため)やブラウザゲーム、通常のPC作業も可能です。
- デメリット: Windows OS自体のオーバーヘッド(リソース消費)があります。時折Windows Updateなどでゲーム体験が中断される可能性があります。ゲーム機としてのUIの最適化は、SteamOSに一歩劣ります。
- Steam Deck (SteamOS):
- メリット: Steamライブラリに特化しており、UIが非常に快適です。スリープ・レジュームが高速で、ゲーム機としての手軽さは抜群です。Valveによるゲームごとの最適化設定(シェーダーキャッシュなど)の恩恵を受けられます。
- デメリット: Xbox Game Pass(ネイティブアプリ)が動作しません(クラウド経由は可能)。Steam以外のプラットフォームのゲームを遊ぶには、面倒な設定や互換性の問題が伴います。「Proton」互換レイヤーを経由するため、一部のゲーム(特に対戦ゲームのアンチチート機能)が動作しない場合があります。
結論: 「PC Game Passで最新ゲームを遊びたい」「Steam以外のゲームもたくさん持っている」「PCとしても使いたい」という方は、AOKZOE A1X(Windows機)を選ぶべきです。 「持っているゲームはほとんどSteam」「とにかく手軽に、ゲーム機のように遊びたい」という方は、Steam Deckが最適です。
比較④:操作性と携帯性(軽さのDeck vs 機能性のA1X)
携帯性(重さ・サイズ): Steam Deckの勝利です。 A1X (約748g) に対し、Deck OLED (約640g) は100g以上軽いです。 この100gの差は、実際に手に持って長時間プレイすると明確に感じられます。 A1Xはずっしりとした重みがあり、肘を机についたり、キックスタンドを使ったりするプレイスタイルが中心になるかもしれません。
操作性: これは好みによります。
- A1X: 一般的なコントローラー配置で、ホールスティックの精度も良好です。8インチの大型ボディは、手の大きい私にはしっかりと握り込める感覚があり、安定感がありました。
- Steam Deck: 独自のトラックパッドが最大の特徴です。マウス操作が必要なゲームではA1Xより快適です。グリップも非常に握りやすいです。
機能性: A1Xの勝利です。 本体にキックスタンドが内蔵されているのは、Steam Deck(別売りケース等が必要)に対する大きなアドバンテージです。 新幹線やカフェなどで、テーブルに置いて遊びたい場合に非常に重宝します。
結論: 純粋な「持ち運びやすさ」「軽さ」を重視するならSteam Deckです。 「トラックパッド」が必要なゲームをよく遊ぶならSteam Deckです。 「キックスタンド」の利便性や、大画面による「据え置き」に近い安定感を求めるならA1Xです。
比較⑤:バッテリー持続時間と充電機能(容量のA1X vs 最適化のDeck)
バッテリー容量: A1X (72.7Wh) が Steam Deck OLED (50Wh) を圧倒しています。
実際の持続時間: 単純に容量だけで比較できないのが難しいところです。
- A1X: 性能が高い分、TDP 30Wなどの高出力で動作させると、大容量バッテリーでも消費は激しくなります(情報ソース①のテストでは10分で10%以上消費)。ただし、FF14のような比較的軽いゲームを15W設定で遊ぶ場合は、かなりの長時間動作が期待できます。
- Steam Deck: APUのTDPが最大15Wと低く抑えられており、OLEDモデルはAPUの省電力化も進んでいるため、電力効率は非常に優れています。低負荷なゲームならかなりの時間持ちます。
充電機能: A1Xの圧勝です。 「バイパス電源機能」の存在が決定的に違います。 自宅でACアダプタを挿しっぱなしで遊ぶことが多いユーザーにとって、バッテリーの寿命を気にしなくて良いA1Xは、長期的に見て大きなメリットがあります。
結論: 外出先での電力効率や、低負荷ゲームでの持続時間はSteam Deck OLEDが優れている可能性があります。 しかし、バッテリーの絶対容量と、据え置き時のバッテリー保護機能(バイパス電源)を考えると、A1Xのバッテリーシステムは非常に先進的です。
比較⑥:拡張性(A1Xの圧勝)
これもAOKZOE A1Xの圧勝です。 Steam Deckの「USB-C x1」に対し、A1Xは「USB4 x2」「USB-A x1」「OCuLink x1」と、ポートの数も種類も圧倒しています。 ドックなしで充電と周辺機器を同時に接続できる利便性、eGPUを高速接続できる将来性は、Steam Deckにはない大きな魅力です。
AOKZOE A1Xがおすすめな人、Steam Deckがおすすめな人
ここまでの比較を踏まえて、それぞれどのような人におすすめできるか、まとめてみましょう。
AOKZOE A1Xはこんな人におすすめ
- 価格よりも「最高の性能」をポータブルで体験したい人
- AAAタイトルを、画質やフレームレートに妥協せず遊びたい人
- 8インチの大画面と高解像度(1200p)、高リフレッシュレート(120Hz)に魅力を感じる人
- 「Xbox Game Pass」をネイティブで遊びたい人
- Steam以外のプラットフォーム(Epic, GOG等)のゲームも多く遊ぶ人
- eGPUを接続して、デスクトップPCのようにも使いたい人
- キックスタンドやバイパス電源など、ハードウェアの機能性を重視する人
- ゲームだけでなく、動画編集やPC作業にも使いたい人
Steam Deckはこんな人におすすめ
- 「コストパフォーマンス」を最重要視する人(10万円以下で探している人)
- 持っているゲームライブラリが「Steam」に集中している人
- 「ゲーム機」としての手軽さ、UIの快適さを求める人
- スリープ・レジュームの速さを重視する人
- OLEDディスプレイの美しい発色やHDR体験をしたい人
- 少しでも「軽く」、持ち運びやすいデバイスが良い人
- RTSやシミュレーションゲームで「トラックパッド」を使いたい人
AOKZOE A1Xの気になる点(デメリット)
もちろん、A1Xにも弱点はあります。
価格設定(Steam Deckとの価格差)
最大のネックは価格です。 最上位モデルは約23万8000円と、Steam Deck OLEDの2倍以上です。 この価格差を、性能、画面、Windowsの自由度に見出せるかが鍵となります。
生体認証の非搭載(ログインの手間)
情報ソースの動画でも指摘されていましたが、指紋認証や顔認証(Windows Hello)が搭載されていません。 スリープから復帰するたびに、ソフトウェアキーボードでPINコードやパスワードを入力するのは、正直「面倒」です。 「冷蔵庫機能」でスリープが改善されただけに、このログインの手間は非常にもったいない点だと私も感じます。
サイズと重量(携帯性のトレードオフ)
約748gという重量は、ポータブル機としてはヘビー級です。 8インチのサイズ感と合わせて、「気軽にカバンに入れて毎日持ち運ぶ」というよりは、「自宅の好きな場所で遊ぶ」「旅行や出張にしっかり持っていく」という使い方がメインになるでしょう。
Steam Deckの気になる点(デメリット)
一方で、Steam Deckにも妥協点はあります。
SteamOSの互換性問題(Protonの限界)
全てのSteamゲームが完璧に動くわけではありません。 特に、オンラインマルチプレイヤーゲームで使われるアンチチートソフト(EACやBattlEyeの一部)がProtonに対応しておらず、起動すらできないタイトルがあります。 また、Game PassやEpicのゲームを遊ぶための設定は、PC中級者以上の知識が必要になる場合があります。
画面解像度(A1Xとの比較)
1280×800という解像度は、OLEDモデルで非常に綺麗になったとはいえ、A1Xの1920×1200と比べると、どうしても精細感で見劣りします。 特にテキストの多いゲーム(RPGやADV)では、A1Xの方が見やすいと感じるでしょう。
メモリ容量(16GB固定の限界)
最新のAAAタイトルの中には、PC版で16GB以上のメモリを要求するものも増えてきました。 VRAM共有という仕組みの上で、メインメモリが16GB固定というのは、将来的にボトルネックになる可能性があります。 A1Xが32GBや64GBを搭載しているのは、この点において大きなアドバンテージです。
まとめ
今回は、AOKZOE A1XとSteam Deckという、非常に魅力的ながらも方向性の異なる2台のポータブルゲーミングPCを徹底的に比較してみました。
AOKZOE A1Xは、価格という制約を取り払い、「ポータブルで実現できる最高のパフォーマンス」を追求した**「究極のポータブルWindows PC」**です。 その圧倒的なパワー、大きく高精細なディスプレイ、そしてOCuLinkやバイパス電源といった先進的な機能は、まさに「怪物」と呼ぶにふさわしいです。
対するSteam Deckは、Valveというプラットフォーマーだからこそ実現できた、「ゲーム体験」と「コストパフォーマンス」を極限まで突き詰めた**「最強のゲーム機」**です。 SteamOSによる最適化と手軽さ、OLEDモデルの完成度の高さは、今なお多くのゲーマーにとって最良の選択肢であり続けます。
どちらを選ぶかは、あなたの「予算」と「何を一番重視するか」によります。
私個人としては、Game Passも遊びますし、ガジェットとして最高のスペックを追い求めたいという気持ちもあるため、AOKZOE A1Xの登場には非常に興奮しています。 しかし、友人に「初めてのポータブルゲーミングPC」を勧めるなら、まずはSteam Deckの手軽さと価格を体験してもらうかもしれません。
あなたのゲームスタイルに合った、最高の一台が見つかることを願っています。






