ゲーム評論家の桐谷シンジです。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、2025年11月14日に発売が迫る待望の新作「Call of Duty: Black Ops 7(BO7)」、その中でも特に伝統の人気モードである「ゾンビモード」のベータ版が実際どうだったのか、気になっていることでしょう。

この記事を読み終える頃には、BO7ゾンビモードの現状と将来性についての疑問が解決しているはずです。
- BO7ゾンビモードの総合的な評価
- ベータ版で判明した革新的な良い点
- プレイして見えた深刻な懸念点と悪い点
- 製品版で期待される新要素と未来
それでは解説していきます。

Call of Duty: Black Ops 7 ゾンビモードの全体像
まずはBO7のゾンビモードがどのような位置づけの作品なのか、そしてベータ版をプレイして感じた全体的な印象について解説していきます。 購入を迷っている方は、ここを読むだけでも自分に合う作品かどうかの判断材料になるはずです。

そもそもCall of Duty: Black Ops 7(BO7)とは?
「Call of Duty: Black Ops 7」は、2025年11月14日に発売が予定されている、世界的な人気を誇るFPS(ファーストパーソン・シューティング)シリーズの最新作です。 開発はTreyarch(トレイアーク)が担当しており、Black Opsシリーズのナンバリングタイトルとしては、多くのファンが待ち望んだ一作と言えるでしょう。
Black Opsシリーズは、重厚なキャンペーン(ストーリーモード)、スピーディーなマルチプレイヤー、そして独自の魅力を持つゾンビモードの三本柱で構成されているのが特徴です。 特にTreyarchが手がけるゾンビモードは、単なるおまけではなく、多くの熱狂的なファンを持つ一大コンテンツとなっています。
ゾンビモードの歴史と今作の位置づけ
CODのゾンビモードは、2008年の『Call of Duty: World at War』に隠しモードとして収録されたのが始まりです。 当初は押し寄せるゾンビの群れからひたすら生き延びるシンプルなラウンド制サバイバルでしたが、『Black Ops』でストーリーや謎解き(イースターエッグ)の要素が加わり、その奥深さから爆発的な人気を獲得しました。

シリーズを重ねるごとにシステムは複雑化・多様化していきました。 特に『Black Ops Cold War』(BOCW)以降の作品は、アーマーシステムや武器レアリティ、フィールドアップグレードといった新要素が導入され、ゲーム性が大きく変化しました。 これを古参ファンからは、以前のシンプルなゲーム性と区別して「無双世代ゾンビ」と呼ばれることがあります。
BO7のゾンビモードは、この「無双世代」の流れを汲みつつも、原点回帰を目指すような新要素も垣間見える、まさにシリーズの転換点に位置する作品と言えるかもしれません。
ベータ版のプレイフィール:BO6とVanguardのハイブリッド?
さて、肝心のベータ版のプレイフィールですが、一言で言うと「BO6のシステムをベースに、Vanguardの銃撃感を加えた」ような印象です。
BO6(Black Ops 6)のゾンビモードを面白いと感じたプレイヤーであれば、基本的なシステムは継承・進化しているので、すんなりと入り込めるでしょう。 しかし、銃を撃っている時の感触やゾンビを倒している時の手応えは、BO6の軽快さとは少し異なり、Vanguardの「死の沼」マップのような、やや重みのある感覚に近いと感じました。
これは決して悪い意味ではなく、銃撃のリアリティやヒット感が向上している証拠でもあります。 ただし、BO4以前のクラシックなゾンビモードのプレイ感を求めている方にとっては、少しギャップを感じるかもしれません。
あくまでベータ版での話であり、製品版ではPERK(特殊能力ドリンク)や武器のカスタマイズによって、プレイ感は大きく変わる可能性があることは留意しておく必要があります。
結論から言うとBO7ゾンビは「買い」なのか?
ベータ版をプレイした現時点での私の結論は、以下の通りです。
- BOCWやBO6のゾンビモードが好きだった人:間違いなく「買い」です。 システムは正統進化しており、新要素も魅力的です。 心配することなく予約して問題ないでしょう。
- BO4以前のクラシックなゾンビモードしか受け入れられない人:現段階では「保留」をおすすめします。 後述する新モード次第では評価が変わる可能性がありますが、ベータ版の時点では「無双世代」の枠組みから脱却していません。
ここからは、なぜこのような結論に至ったのか、具体的な良い点・悪い点を詳細にレビューしていきます。
【高評価】BO7 ゾンビモード ベータ版の良い点
今回のベータ版はプレイできる範囲が狭く、コンテンツも限られていましたが、その中でも製品版への期待を抱かせる素晴らしい点がいくつか見受けられました。 特に新アクションと世界観の作り込みは特筆すべき進化です。
新アクション「壁走り」がもたらす革命的な立ち回り
ベータ版をプレイして最も衝撃を受け、そして最も高く評価したいのが、新システムの「壁走り(壁ジャン)」です。
これは文字通り、壁を蹴ってジャンプしたり、壁に沿って走ったりできるアクションで、これによりプレイヤーの機動性が飛躍的に向上しています。
立ち回りの幅が無限大に
従来のゾンビモードでは、ゾンビの群れに囲まれないように「トレイン」と呼ばれる、ゾンビを引き連れて一箇所にまとめる立ち回りが基本でした。 しかし、壁走りの導入により、この常識が覆る可能性があります。
- 緊急回避:ゾンビに追い詰められても、壁走りを使えば瞬時に高所や安全な場所に退避できます。
- 立体的な移動:今まで登れなかった壁や建物を活用し、マップを縦横無尽に駆け巡ることが可能です。 ベータ版の狭いマップですら、新たなルート開拓の楽しさがありました。
- 攻撃との連携:壁走り中に射撃したり、着地と同時に特殊武器を使用したりと、よりスタイリッシュで攻撃的なプレイが楽しめます。
この壁走りは、単純な移動手段の追加にとどまらず、マップ攻略、ゾンビからの逃走、RTA(リアルタイムアタック)の戦略など、あらゆる面に革命をもたらすポテンシャルを秘めています。 製品版の広大なマップでこのアクションがどう活かされるのか、今から楽しみでなりません。
BO6からの正統進化!没入感を高める世界の作り込み
BOCWやBO6のゾンビモードは、ゲームシステムは面白いものの、どこかアセットの使い回し感が否めず、世界観がチープに見えるという批判がありました。
しかし、BO7ではその点が大幅に改善されています。
- オブジェクトのデザイン一新:弾薬を購入する「弾薬箱」の見た目がより凝ったデザインになっていたり、ラウンド間のインターバルで利用するオブジェクトが作り込まれていたりと、細部へのこだわりが感じられます。
- 世界観の強化:例えば、脱出を要請する場所が、これまでの無線機から古びた「公衆電話」に変わっていました。 このような小さな変更が、CODゾンビ特有の「意味不明で不気味な世界観」をより一層引き立てています。
- UI(ユーザーインターフェース)の洗練:体力バーや弾数表示などのUIも、より見やすくスタイリッシュに改良されており、プレイ中の没入感を高めています。
これらのアップグレードにより、プレイヤーはBO7のゾンビモードの世界に深く没入し、物語をより楽しめるようになるでしょう。 Treyarchがゾンビモードの世界観を再び重視し始めた、良い兆候だと感じています。
快適性の向上?各種システムの使用感
ベータ版の段階では断定できませんが、各種システムの使用感もBO6より向上しているように感じました。
特に、『Black Ops 3』で人気を博した「ゴブルガム」のような特殊能力アイテムの使用感が、BO6よりもスムーズで効果を実感しやすくなっています。 もちろん、絶大な効果と中毒性でファンを魅了したBO3のゴブルガムにはまだ及びませんが、製品版でのさらなる調整や種類の追加によっては、戦略の重要な一要素となりそうです。
また、武器改造を行う「パック・ア・パンチ」やPERK自動販売機の演出なども、より派手でプレイヤーの気分を高揚させるものに進化しており、ゲームプレイの良いアクセントになっています。
【要改善】BO7 ゾンビモード ベータ版の悪い点・懸念点
良い点がある一方で、ベータ版をプレイして「これは製品版までに修正してほしい」と感じた悪い点や、将来への懸念点も浮き彫りになりました。 特にベータ版の在り方そのものと、BO6から続く根深い問題は看過できません。

最大の懸念点:ベータ版の存在意義とボリューム不足
私が今回のベータ版で最も問題だと感じたのは、技術的な問題以前に「この内容でベータテストを実施した意図」そのものです。
ベータテストの目的は、サーバー負荷のテストやバグの洗い出しだけでなく、製品への期待感を高め、新規プレイヤーを呼び込むプロモーションの役割も担っています。 しかし、今回のベータ版は、その役割を果たせているとは到底思えませんでした。
2、3時間で飽きてしまう内容
ベータ版でプレイできる範囲は非常に狭く、解放されている武器やシステムもごく一部です。 熱心なゾンビプレイヤーであれば、2~3時間もプレイすればやることがなくなってしまうでしょう。
ゾンビモードの最大の魅力の一つである「謎解き」はもちろん実装されておらず、高ラウンドを目指すにしても、後述する理由で単調な作業になりがちです。 これでは、ベータ版をプレイしたプレイヤーが「製品版もこの程度のボリュームなのか?」と誤解し、購入を見送ってしまう危険性すらあります。
特に、BOCWやBO6でゾンビモードを始めたプレイヤー層が、「思っていたのと違う」と感じて離れてしまわないか、非常に心配です。 この内容でベータ版を公開するくらいなら、いっそ実施しない方が良かったのではないかとさえ思いました。
爽快感の欠如は製品版で解消されるか?
ゾンビモード、特に「無双世代」の魅力は、大量のゾンビを強力な武器でなぎ倒す「爽快感」にあります。 しかし、ベータ版の段階では、この爽快感がほとんど感じられませんでした。
これは、プレイヤーを強化する多くのシステムがロックされていたためだと考えられます。
製品版で解放が期待されるシステム | 予想される効果 |
---|---|
オーブメント | 移動速度やリロード速度などを向上させ、操作性を改善 |
スコアストリーク | 強力な支援兵器でゾンビを一掃し、爽快感を生み出す |
オーバークロック(仮称) | 一時的に能力を大幅に向上させる切り札的なシステム |
PERKの全解放 | ジャガーノグやスピードコーラなど、生存と戦闘に必須 |
武器アタッチメントの充実 | 武器性能を極限まで高め、より効率的なゾンビ処理が可能 |
これらのシステムが製品版で解放されれば、ベータ版で感じた爽快感の欠如は間違いなく解消されるでしょう。 そのため、この点については過度に心配する必要はないかもしれません。 しかし、なぜこれらの魅力を少しでも体験できるようなベータにしなかったのか、という疑問は残ります。
マップ構造の作り込み不足(弾当たり判定・デスバリア)
ベータ版のマップは非常に小規模でしたが、その中に看過できないレベルの不具合が複数存在しました。
フェンス越しの弾が通らない
最もストレスを感じたのが、金網やフェンスの当たり判定です。 明らかに隙間が空いており、向こう側にいるゾンビを狙って撃っても、弾が目に見えない壁に阻まれて貫通しない、という現象が多発しました。 スピーディーな戦闘が求められるゾンビモードにおいて、これは致命的な欠陥です。
謎のデスバリア
マップ内にあるトラップの近くのトラック周辺に、プレイヤーが触れると即死してしまう、いわゆる「デスバリア」が存在しました。 本来立ち入りが想定されていないエリアならまだしも、通常のプレイエリアにこのような罠が仕込まれているのは、デバッグ不足と言わざるを得ません。
製品版ではマップが何倍にも広がることを考えると、このような作り込みの甘さは非常に不安です。 地味な部分ですが、プレイヤーのストレスに直結するため、早急な改善を望みます。
BO6から続く「高ラウンド問題」の再燃
BO6のゾンビモードが抱えていた大きな問題の一つに、「高ラウンドが単調で面白くない」という点がありました。 そして残念ながら、BO7のベータ版でもその問題が再燃する兆候がはっきりと見えました。
ベータテスト2日目にして、あるスコアストリークを使った強力な戦法が発見されました。 それは、遠隔操作が可能なラジコンのような兵器を出し、プレイヤーは安全な場所で待機しているだけで、バッテリーが切れるまでゾンビを自動的に倒し続けてくれる、というものです。
もはやプレイヤーは操作すらしない。 これをゲームと呼べるのでしょうか。 高ラウンドを目指すプレイが、ただの「待ち時間」になってしまうのです。 BO6で何度も見た光景であり、何の改善もされていないことに落胆しました。
強すぎるスコアストリークとゲームバランス
前述の高ラウンド問題の根源は、一部のスコアストリークが強力すぎることによるゲームバランスの崩壊です。 さらに懸念されるのは、製品版で「ディサイプルショット」といった新たなスコアストリークの追加が予告されていることです。
BO6での前例を見る限り、一度強力だと認識されたスコアストリークが大幅に弱体化されることは期待できません。 これにより、BO7のゾンビモードも、高ラウンドの攻略法が「特定のスコアストリークを使い続ける」という単調なものに固定化されてしまう可能性が非常に高いです。
これでは、プレイヤーのスキルや立ち回り、武器の選択といったゲームの面白さが失われてしまいます。 RTAなどを除けば、高ラウンドを目指す価値そのものが低いものになってしまうでしょう。
「無双世代」ゾンビが抱える根本的な課題
ベータ版をプレイして改めて感じたのは、BO7が悪いというよりは、BOCWから続く「無双世代ゾンビ」が抱える根本的な課題です。
- アーマーシステム:ゾンビの攻撃を数回無効化できるため、緊張感が薄れる。
- 武器レアリティ:同じ武器でもレアリティによって性能が大きく異なり、序盤の武器選択の自由度が低い。
- ミステリーボックスの価値低下:壁武器や初期武器を強化すれば終盤まで戦えるため、ランダムな武器を入手するミステリーボックスの価値が相対的に下がっている。
これらのシステムは、初心者プレイヤーが参入しやすくなるというメリットがある一方で、旧作のような緊張感や戦略性を損なっているという側面もあります。 BO7がこれらの課題にどう向き合うのか、注目したいところです。
製品版に期待!BO7 ゾンビモードの未来を占う
悪い点や懸念点を多く挙げましたが、それでも私がBO7のゾンビモードに期待していることに変わりはありません。 特に、これから紹介する新要素や未実装の要素が、これまでの評価を覆すだけのポテンシャルを秘めているからです。
旧作ファン待望?新モード「カースドモード」とは
製品版で追加されることが予告されている「カースドモード」。 これこそが、BO4以前のファンを呼び戻す切り札になるかもしれないと、私が最も期待している要素です。
公式の説明によれば、「昔のゾンビを再現したモード」とのことですが、具体的にどこまで再現されるのかが焦点となります。
期待される「カースドモード」の仕様
- アーマーシステム、武器レアリティの撤廃:旧作のような、純粋な体力と武器性能で勝負する緊張感の復活。
- ポイントシステムの変更:ゾンビにダメージを与えただけではポイントが入らず、とどめを刺す必要があるクラシックな仕様への回帰。
- PERKの制限:所持できるPERKの数に上限が設けられ、どのPERKを選択するかの戦略性が生まれる。
- ミステリーボックスの重要性向上:強力な武器を手に入れるための重要な手段として、再びボックスが輝きを取り戻す。
もし、この「カースドモード」がこれらの要素を忠実に再現してくれるのであれば、無双世代のシステムが苦手だったプレイヤーもBO7を心から楽しめるはずです。 逆に、このモードですら無双世代のシステムが変わらないのであれば、旧作ファンは完全に見限ってしまうかもしれません。 Treyarchの覚悟が問われる、まさに試金石となるモードです。
謎解き(イースターエッグ)は進化するのか
ゾンビモードのもう一つの華である「謎解き」。 ベータ版ではその片鱗すら見えませんでしたが、製品版での進化に期待が高まります。
BO3やBO4の謎解きは、コミュニティ全体で知恵を出し合って解き明かす壮大なもので、多くのプレイヤーを熱狂させました。 BOCWやBO6では謎解きの難易度がやや下がり、ソロでもクリアしやすくなった一方で、物足りなさを感じたファンも少なくありません。
BO7では、再びコミュニティを巻き込むような、複雑でやりごたえのあるメインクエストが実装されることを願っています。 新アクションの壁走りなどを駆使した、新たなギミックにも期待したいところです。
安定性は?オフラインモード実装の希望と現実
これはゾンビモードに限った話ではありませんが、近年のCall of Dutyシリーズは、常時オンライン接続が必須となっています。 これにより、サーバーエラーやメンテナンスでプレイできなくなったり、高ラウンドを目指している最中にエラーで進行状況が全て失われたりする悲劇が後を絶ちません。
実際に、私もベータ版で100ラウンドRTAに挑戦していたところ、エラーで強制終了させられ、セーブデータも残っていませんでした。
多くのプレイヤーが望んでいるのは、昔の作品のように「オフラインモード」を実装することです。 オフラインモードがあれば、サーバーの問題に悩まされることなく、安定した環境で心ゆくまでプレイに没頭できます。 また、他のプレイヤーの回線落ち(いわゆる「萎え落ち」)に影響されることもありません。
しかし、残念ながら、近年のゲーム業界の動向を見る限り、オフラインモードが実装される可能性は極めて低いと言わざるを得ないでしょう。 それでも、声を上げ続けることに意味があると信じています。
まとめ
今回は「Call of Duty: Black Ops 7」のゾンビモードベータ版をプレイして感じた、良い点と悪い点を徹底的にレビューしました。
現状では、**「大きな可能性と、それと同じくらいの不安要素を抱えた作品」**というのが私の正直な評価です。
新アクション「壁走り」がもたらすゲームプレイの革命は、間違いなくシリーズの新たな扉を開くでしょう。 その一方で、BO6から引き継がれたバランス問題や、ベータ版の作り込みの甘さは、製品版への不安を掻き立てます。
最終的な評価は、旧作ファンへの答えとなる「カースドモード」の出来栄えと、ベータ版で見つかった問題点が製品版でどこまで改善されているかにかかっています。
なんだかんだ言いましたが、私自身、一人のゾンビファンとして、発売日を心待ちにしています。 このレビューが、あなたの購入の判断材料となれば幸いです。