ゲーム評論家の桐谷シンジです。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、2025年に発売が予定されている「リトルナイトメア3」の最新映像「フレンドシップトレーラー」に隠された謎や、主人公たちの物語がどのような結末を迎えるのか、非常に気になっていることでしょう。 特に、二人が協力して目指す「ノーウェアからの脱出」が本当に可能なのか、その方法について様々な憶測が飛び交っています。

この記事を読み終える頃には、最新映像から読み解けるリトルナイトメア3の結末に関する深い考察と、ノーウェアからの脱出方法についての疑問が解決しているはずです。
- 協力と裏切りの二面性を秘めた「フレンドシップ」
- 脱出の鍵を握る重要アイテム「鏡」の謎
- 公式オーディオドラマから判明した世界の新たな設定
- 日本神話「ヤタガラス」との奇妙で不気味な関連性
それでは解説していきます。

リトルナイトメア3:最新トレーラーが示す新たな悪夢
2024年8月21日に公開された「フレンドシップトレーラー」は、リトルナイトメア3のゲームシステムと世界観をより深く理解させてくれる重要な映像でした。 これまでのシリーズが持つ独特の不気味な雰囲気はそのままに、今作の核となる「協力」というテーマが色濃く映し出されています。 まずは、この最新映像と公開された情報から、リトルナイトメア3の基本的な要素を整理していきましょう。

トレーラーで描かれた「ロゥ」と「アローン」の協力
今回のトレーラーは、二人の主人公「ロゥ」と「アローン」が、巨大で不気味な敵から逃れつつ、様々なギミックを協力して乗り越えていく様子に焦点が当てられています。

- ロゥ(Law): 鳥のようなマスクを被り、弓矢を携えた少年。 彼の弓矢は、ロープを切断して道を切り開いたり、ブンブンと飛び回る厄介な光虫を撃ち落としたりするなど、遠距離からのサポートやギミック解除に役立つようです。 映像では、アローンを先導するような場面が多く見られ、リーダー的な役割を担っている印象を受けます。
- アローン(Alone): レンチを武器として使う、二つ結びの髪型が特徴的な少女。 その名の通り「孤独」を思わせる名前ですが、彼女の持つレンチは、壁を破壊したり、敵を直接攻撃したりと、近接戦闘や障害物の破壊に力を発揮します。 小さな体で重いレンチを軽々と振り回す姿は、これまでの過酷な経験を物語っているのかもしれません。
映像の中では、一方がレバーを操作している間にもう一方が先へ進んだり、二人で協力して重いものを動かしたりと、どちらか一人では決して先に進めないような場面が連続します。 この「二人でなければならない」という状況こそが、今作のテーマである「友情」をプレイヤーに強く意識させる作りになっていると言えるでしょう。
海外公式サイトが語る二人の関係性
さらに、海外の公式サイトでは、二人の背景についてより踏み込んだ文章が公開されています。 その内容を要約すると、以下のようになります。
あなたたちはもう長い間友達です。 覚えてるよりもずっと長い間。 チームとして一緒に働くことが自然になりました。 ノーウェアでの人生は辛いけれど、一緒にいることが大切なのです。 しかし最近、何かが違うような気がする。 説明は難しいが、二人ともそれを感じています。 暗闇から影が現れる時、友人を見ると自分自身の恐怖が完璧に反映されているのが分かる瞬間がある。 そして何も言わなくても、二人ともが同じことを考えていることが分かります。 「私たちはこの悪夢を生き延びられないかもしれない」と。
この文章は、二人の固い絆を示唆すると同時に、その関係に不穏な変化が訪れていることを暗示しています。 単なる協力関係だけでは終わらない、複雑な心理描写が物語の鍵を握っていることは間違いありません。 お互いの顔に「自分自身の恐怖」を映し出すという表現は、非常に意味深です。
新たな舞台「ネクロポリス」の脅威
今作の主な舞台となるのは「ネクロポリス」と呼ばれる、忘れ去られた墓地のような場所です。 トレーラーでは、風車が立ち並ぶ砂漠のような風景や、不気味な赤ん坊「モンスターベイビー」が支配する機械的な施設が確認できます。
モンスターベイビーの存在
特に印象的なのが、巨大で一つ目の赤ん坊「モンスターベイビー」です。 その巨大な腕で二人を掴もうとしたり、爛々と光る目で執拗に追いかけてきたりと、圧倒的な恐怖の対象として描かれています。 この赤ん坊は一体何なのか。 ノーウェアの世界では、歪んだ欲望や執着が具現化することがあります。 もしかすると、この赤ん坊は「母性」や「保護」といった感情が歪んだ形で現れた存在なのかもしれません。 あるいは、ネクロポリスという場所自体が、かつて子供たちが命を落とした場所であり、その無念が生み出した怪物という可能性も考えられます。
ネクロポリスの環境ギミック
ネクロポリスは、ただ広いだけでなく、プレイヤーの行く手を阻む様々なギミックに満ちています。 キャンバス地のテントが並ぶエリア、化学薬品の匂いが充満するパイプや通気口、そして常に背後から聞こえる金属を引っ掻くような不気味な音。 これらの環境すべてが、プレイヤーに絶え間ない緊張感と恐怖を与えます。 雨が激しく降るシーンも見られ、天候がゲームプレイに影響を与える可能性も示唆されています。
考察①:友情の果てにあるのは協力か裏切りか
リトルナイトメア3がこれまでのシリーズと最も大きく異なる点、それはオンラインでの協力プレイに対応していることです。 「フレンドシップトレーラー」というタイトルが示す通り、今作は「友情」が物語の根幹を成すテーマとなります。 しかし、リトルナイトメアの世界において、友情が額面通り美しいものとして描かれるとは到底思えません。

強調される「フレンドシップ」の裏に潜む罠
「何も言わなくても、二人とも同じことを考えていることが分かります。私たちはこの悪夢を生き延びられないかもしれない」
公式サイトのこの一文は、二人の間に芽生え始めた不信感や絶望を明確に示しています。 共に困難を乗り越えてきたはずの友人と、最後には争うことになる。 そして、どちらか一方しか生き残れないという残酷な結末が待っているのではないでしょうか。
これまでのリトルナイトメアシリーズは、「子供の頃に感じた普遍的な恐怖」を描いてきました。 抗うことのできない大人への恐怖、暗闇に何かが潜んでいるかもしれないという根源的な恐怖。 今作では、それに加えて「人間関係における恐怖」が描かれる可能性があります。
- 信頼していた友人に裏切られる恐怖
- 友人を傷つけてしまった罪悪感
- 意見が対立し、孤立してしまう孤独感
これらは、多くの人が子供時代に経験するであろう、非常に現実的で心の痛む恐怖です。 苦楽を共にしてきた友人と、生き残りをかけて対立しなければならない。 それこそが、今作で描かれる最悪の「悪夢」なのかもしれません。
オンライン協力プレイが物語に与える影響
今作がオンライン協力プレイ専用(オフライン時はAIパートナー)であることも、この「裏切り」というテーマを際立たせるための仕掛けだと考えられます。
プレイヤーは、画面の向こうにいる実際の友人や、オンラインでマッチングした見知らぬ誰かと協力してゲームを進めます。 共に謎を解き、敵から逃げ、安堵の瞬間を分かち合う。 その過程で、プレイヤー同士の間にも自然と信頼関係や一種の「友情」が芽生えるはずです。
しかし、物語が終盤に差し掛かり、もし「どちらか一人しか脱出できない」という状況が訪れたらどうなるでしょうか。 プレイヤーは、それまで協力してきたパートナーを蹴落としてでも、自分が生き残ることを選ぶのか。 このゲームデザインは、プレイヤー自身に倫理的な問いを突きつけ、ゲーム内の物語とプレイヤーの感情をシンクロさせる高度な演出と言えます。 友人とプレイしている場合、ゲームクリア後に関係が気まずくなるような、そんな強烈な体験が待っているのかもしれません。
ローとアローンの専用武器が暗示する未来
ロートとアローンの武器が、それぞれ遠距離攻撃と近距離攻撃に特化している点も、二人の対立を暗示しているようで非常に不気味です。
キャラクター | 武器 | 特徴 |
---|---|---|
ロート | 弓矢 | 遠距離攻撃、ギミック解除 |
アローン | レンチ | 近距離攻撃、障害物破壊 |
この武器構成は、協力プレイにおいてそれぞれの役割を明確にするためのものですが、見方を変えれば、二人が戦った場合の戦闘スタイルを定義しているとも言えます。 弓矢で距離を取って戦うロートと、レンチで果敢に接近戦を挑むアローン。 開発者が、二人が敵対する可能性を全く想定していないのであれば、ここまで対照的な武器設定にする必要はないでしょう。 彼らがその武器を、ノーウェアの怪物ではなく、かつての友に向ける瞬間が訪れるのではないか。 想像するだけで、胸が苦しくなります。
考察②:ノーウェアからの脱出方法と対立の火種
では、二人が争うことになるとしたら、その原因は一体何なのでしょうか。 目的が一致しているからこそ協力関係にある二人の絆を壊すほどの「何か」。 その鍵は、トレーラーで象徴的に描かれている「鏡」にあると私は考えています。

脱出の鍵を握る「鏡」の謎
以前公開されたアナウンストレーラー、そして今回のフレンドシップトレーラーの両方で、ロートとアローンは「鏡」を使って別の場所にワープするようなシーンが描かれています。 鏡の世界は、現実世界と少し違った、歪んだ空間のように見えます。 そして最も重要な点は、彼らが通り抜けた後の鏡は、例外なく「割れてしまう」ということです。
リトルナイトメア3の目的は、「ノーウェアから抜け出す方法を探す旅」であると明言されています。 もし、この「鏡」こそがノーウェアから脱出するための唯一の手段だとしたら。 そして、その鏡が「一度しか使えない」「一人しか通り抜けられない」としたらどうでしょうか。
目の前に現れた、故郷へ帰るための最後の希望。 しかし、その扉をくぐれるのは、ロートかアローンのどちらか一人だけ。 この状況こそが、二人の友情を破壊し、争いを引き起こす最大の原因となり得るのではないでしょうか。 生き残るために、友を裏切る。 これ以上に悪夢的なシナリオはありません。
公式オーディオドラマで明かされた衝撃の事実
この「脱出」というテーマをさらに深く考察する上で、公式オーディオドラマ『The Sounds of Little Nightmares(サウンド オブ リトルナイトメア)』で明かされた設定が極めて重要になります。
このオーディオドラマは、悪夢障害に悩む少女「ヌーン」と、彼女を治療する精神科医の物語です。 全6話で構成されており、その中でリトルナイトメアの世界に関する衝撃的な事実が語られています。
悪夢障害とノーウェアの関係
ドラマの中で明かされた最も重要な設定は、「我々の住む現実世界で悪夢障害に罹った子供たちが、その悪夢をトリガーとしてノーウェアへ迷い込んでしまう」というものです。 つまり、ノーウェアは単なる異世界ではなく、現実世界と密接に繋がった、子供たちの悪夢が作り出した領域なのです。
これまでのシリーズで登場した「モウ(巨大な船)」や「ペイルシティ(電波塔のある街)」、そして今作の「ネクロポリス」も、すべてはこの広大な悪夢の世界「ノーウェア」に存在するエリアの一つに過ぎません。
ノーウェアへの扉を開く「恐怖心」
ノーウェアへ行くためには、悪夢障害にかかった子供の脳にできる「腫瘍」がゲートとなり、そこに「強烈な恐怖心」が合わさることが条件だとされています。 つまり、極度の恐怖を感じた瞬間、ノーウェアへの扉が開かれてしまうのです。
この設定を逆説的に捉えるならば、ノーウェアから現実世界へ脱出するためにも、同様の条件が必要になるのではないでしょうか。 つまり、「トラウマになるレベルの強烈な恐怖心」を経験すること。 それが、悪夢の世界からの出口を開く鍵となるのかもしれません。
ロートとアローンは、この事実を知っているのか、あるいは無意識のうちにか、最終的に強烈な恐怖を体験し、それを乗り越えることで脱出を図るのかもしれません。 そして、その「強烈な恐怖」とは、巨大な怪物に追い詰められる恐怖以上に、「信頼していた友人と殺し合う恐怖」である可能性が非常に高いと私は推測します。
考察③:日本神話との関連性から紐解く物語の深層
リトルナイトメアの世界観は、世界中の様々な神話や伝承から影響を受けていると考えられています。 特に、前作リトルナイトメア2では日本の妖怪や都市伝説を彷彿とさせる敵が登場しました。 そして今作、リトルナイトメア3では、日本の神話、特に「ヤタガラス」の伝承が色濃く反映されているのではないかという説が浮上しています。
頻繁に登場する「カラス」の演出意図
これまでに公開された2本のトレーラーは、どちらも「カラス」が登場するシーンから始まっています。 また、ロートが鳥のマスクを被っていることや、カラスの羽で作ったような傘がアイテムとして登場することから、今作において「カラス」が非常に重要なモチーフであることは明らかです。
世界中にカラスに関する神話は数多く存在しますが、日本人にとって最も馴染み深いのは、日本神話に登場する「ヤタガラス(八咫烏)」でしょう。 このヤタガラスと、リトルナイトメア3の登場人物やアイテムには、驚くほど多くの奇妙な共通点が見られるのです。
導きの神「ヤタガラス」とローの共通点
ヤタガラスは、日本神話において、神武天皇が東征の際に熊野から大和へ向かう道中で、道案内をしたとされる「導きの神」です。 太陽の化身とも言われ、一般的に三本足の姿で描かれます。 サッカー日本代表のエンブレムにも描かれているため、多くの人が一度は目にしたことがあるでしょう。
この「導き手」という役割が、まさにリトルナイトメア3におけるロートの立ち振る舞いと重なります。 トレーラーを見る限り、ロートは常にアローンを先導し、道を示しているように見えます。 まるで、神武天皇を導いたヤタガラスのように。
さらに、「ヤタガラス」という名前の由来にも興味深い説があります。 「ヤタ(八咫)」の「咫(あた)」とは、古代の長さの単位で、親指と中指を広げた長さ(約18cm)を指します。 つまり「八咫烏」とは「8×18cm = 144cm」もある巨大なカラスという意味になります。 この「144cm」という身長は、ちょうど10歳前後の子供の平均身長とほぼ同じです。 ロートの正確な身長は不明ですが、彼がヤタガラスそのものであるかのような、この身長の一致は偶然とは思えません。
導かれる者とアローンの奇妙な一致
ヤタガラスに導かれた神武天皇は、絵巻物などでは「みずら」と呼ばれる、古代日本の特徴的な髪型で描かれることが多くあります。 この「みずら」は、髪を左右に分けて耳の横で輪のように結う髪型です。
ここで、もう一人の主人公であるアローンの髪型に注目してみてください。 彼女は、両側から髪を出した二つ結びのような髪型をしています。 これは、まさに「みずら」を彷彿とさせるデザインではないでしょうか。
- ロート:導き手(ヤタガラス)
- アローン:導かれる者(神武天皇)
この構図は、二人の関係性を暗示しているのかもしれません。 日本神話において、ヤタガラスは神の使いであり、神武天皇は人間(初代天皇)です。 この関係性が、物語の終盤で二人の間に絶対的な力の差や、役割の違いを生むことになる可能性も考えられます。
「八咫鏡」が真実を映し出す?
「ヤタ」と聞いて、もう一つ思い浮かぶものがあります。 それは、三種の神器の一つである「八咫鏡(やたのかがみ)」です。 八咫鏡は、神の力を持ち、あらゆる真実を映し出すとされています。
リトルナイトメア3において、重要なアイテムとして登場する「鏡」。 この鏡が、物語のクライマックスで「八咫鏡」のような役割を果たすのではないでしょうか。 そして、その鏡が映し出す「真実」とは何か。 それは、キャラクターたちの隠された本性や、内なる欲望なのかもしれません。
ローが怪物に変貌する可能性
ヤタガラスは三本足のカラスとして描かれます。 もし、ロートがヤタガラスの化身であるならば、物語の終盤、鏡の力によって彼が三本足の異形な怪物へと変貌してしまう可能性はないでしょうか。 あるいは、鳥のマスクの下に隠された彼の素顔が、鏡によって暴かれるのかもしれません。 その時、アローンは変わり果てた友の姿を見て、何を選択するのか。
鏡が真実を暴く時、二人の友情は終わりを告げ、悪夢のような結末を迎える。 この日本神話に基づいた考察は、リトルナイトメアの持つ東洋的な不気味さと見事に合致するように思えます。
まとめ
今回は、2025年に発売を控える「リトルナイトメア3」の最新映像「フレンドシップトレーラー」を元に、物語の結末やノーウェアからの脱出方法について深掘り考察をしてきました。
- 協力と裏切り: 今作のテーマである「友情」は、オンライン協力プレイというシステムを通じて、プレイヤー自身に「裏切り」という残酷な選択を迫る可能性がある。
- 脱出の鍵: ノーウェアからの脱出には「鏡」が重要な役割を果たすが、それは一人しか使えない可能性が高く、二人の対立の火種となるかもしれない。
- 世界の真相: 公式オーディオドラマの設定から、脱出には「強烈な恐怖体験」が必要であり、それが友人との殺し合いを意味する可能性が浮上した。
- 日本神話との関連: 物語の背景には日本神話の「ヤタガラス」のモチーフが隠されており、主人公たちの役割や運命を暗示している。
多くの謎を残しつつも、これまでのシリーズ以上に深く、そして残酷な物語が展開されるであろうリトルナイトメア3。 ロートとアローンは、この悪夢から二人で生還することができるのか。 それとも、友情が悪夢に喰われる瞬間を、我々は見届けることになるのでしょうか。
発売までまだ時間はありますが、過去作をプレイし直したり、今回紹介したオーディオドラマを聴いてみたりしながら、新たな悪夢の訪れに備えるのも良いでしょう。 今後の続報からも目が離せません。