ゲーム評論家の桐谷シンジです。 今回も多く寄せられている質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、噂されているNintendo Switchの次世代機(通称:スイッチ2)でストリートファイター6が発売された場合、どれくらい快適に遊べるのか、気になっていると思います。 大ヒット中の本作が、もし携帯機でも遊べるようになったら素晴らしいですよね。 しかし、一方で「本当にちゃんと動くの?」「PS5版やPC版と比べて大きく劣るんじゃないの?」といった不安もあるでしょう。

この記事を読み終える頃には、スイッチ2版ストリートファイター6のパフォーマンスに関する疑問や、最高の環境でプレイするためのコツが明確になっているはずです。
- 対戦時のフレームレートは60FPSを維持
- グラフィックや一部演出はスイッチ2向けに最適化
- 入力遅延はオンライン対戦を意識した優秀な調整
- 周辺機器やネットワーク環境で快適さはさらに向上
それでは解説していきます。

ストリートファイター6 スイッチ2版の基本スペックとパフォーマンス予測
まず最も気になるのは、スイッチ2というハードでストリートファイター6がどの程度動くのか、という点でしょう。 PS5や高性能なPCといったハイスペックなマシンで楽しまれているタイトルだけに、そのパフォーマンスは誰もが注目するところです。
ここでは、フレームレート、グラフィック、入力遅延といった、格闘ゲームのプレイフィールに直結する要素を徹底的に分析・予測していきます。

フレームレートは対戦時60FPSを最優先に維持される
結論から言うと、オンライン・オフラインを問わず、対戦モードにおけるフレームレートは60FPS(1秒間に60回画面を更新)が維持される可能性が極めて高いです。
これは格闘ゲームにとって絶対に譲れない一線だからです。 ストリートファイター6のような競技性の高いゲームでは、技の発生や硬直といったあらゆる要素が「フレーム」という単位で管理されています。 60FPSで動作することを前提にゲームバランスが作られているため、これが安定しないとコンボが繋がらなくなったり、相手の技への対処が困難になったりと、ゲームとして成立しなくなってしまいます。
開発元であるカプコンは、これまでも様々なハードにストリートファイターシリーズを移植してきましたが、常に対戦時のパフォーマンスを最優先に考えてきました。 スイッチ2のスペックがPS5に及ばないとしても、グラフィックや他の要素を調整してでも、この60FPSという生命線は守ってくるでしょう。
ワールドツアーモードでは可変フレームレートの可能性も
ただし、これはあくまで対戦モードの話です。 一人用の広大なオープンワールドを冒険する「ワールドツアー」モードでは、状況が少し異なってくる可能性があります。
このモードでは、多くのNPC(ノンプレイヤーキャラクター)やオブジェクトが同時に表示されるため、対戦モードよりもマシンへの負荷が大きくなります。 そのため、移動中や複数の敵とのバトル中など、負荷が高い場面では30FPSや45FPS程度までフレームレートが低下する可能性があります。
実際に、他機種版でもワールドツアーは対戦モードほどの安定性はありません。 スイッチ2版では、この傾向がより顕著になるかもしれません。 しかし、ワールドツアーは一人用のモードであり、コンマ1秒を争う対戦とは性質が異なります。 多少のフレームレート低下は、携帯機でスト6の世界をどこでも楽しめるというメリットを考えれば、許容範囲と考えるプレイヤーも多いでしょう。
グラフィックはスイッチ2向けに最適化される
フレームレートを維持するため、グラフィック面ではいくつかの調整が入ることが予想されます。 PS5版やPC版の最高設定と全く同じクオリティを期待するのは難しいでしょう。

具体的には、以下のような調整が考えられます。
- 背景オブジェクトの削減: 対戦ステージの背景にいる観客の数や、舞い散る桜吹雪のようなエフェクトが簡略化される可能性があります。試合の展開に直接影響しない部分から負荷を軽減するのは、最適化の常套手段です。
- テクスチャ解像度の調整: キャラクターやステージの表面(テクスチャ)の解像度が、PS5版などと比較して少し低くなる可能性があります。これにより、メモリ使用量や描画負荷を抑えることができます。
- グラフィック設定項目の簡略化: PS5版にはモーションブラーの有無や背景表示物の数などを調整する詳細なグラフィック設定がありますが、スイッチ2版ではこれらの項目が省略され、シンプルな設定になることが考えられます。
とはいえ、これはあくまで他機種版と直接比較した場合の話です。 ストリートファイター6の魅力的なキャラクターデザインやアートスタイルは、スイッチ2の画面サイズで見る分には、ほとんど遜色なく楽しめるレベルに仕上がっているはずです。 初めてスト6に触れる方であれば、グラフィックに不満を感じることはまずないでしょう。
入力遅延はオンライン対戦を意識した高度な調整に期待
格闘ゲームにおいてフレームレートと並んで重要なのが「入力遅延」です。 これは、コントローラーのボタンを押してから、実際にキャラクターが動き出すまでの時間差を指します。 この遅延が大きければ大きいほど、キャラクターが「重く」感じられ、とっさの判断や精密な操作が難しくなります。
ストリートファイター6は、この入力遅延に関しても非常に優れた設計がなされています。 特に、オンライン対戦時の快適さを実現する「ロールバックネットコード」という技術が素晴らしく、多少回線が離れた相手とでもラグを感じにくいプレイが可能です。
スイッチ2版でも、この優秀なオンライン環境は引き継がれると考えられます。 興味深いのは、スト6がオフライン時とオンライン時で、内部的に入力遅延の処理を変えている可能性がある点です。
オンライン用のバッファと120Hz対応の可能性
一部の検証では、スト6はオフライン時に意図的に数フレームの遅延(バッファ)を加え、オンライン対戦になった際にそのバッファを解放することで、ネットワーク遅延を吸収し、オフラインに近い操作感を実現しているのではないか、と推測されています。
スイッチ2版でも同様の仕組みが採用される可能性は高いです。 つまり、オンライン対戦での快適さを最優先した設計になるということです。 実際にプレイしてみると、PC版やPS5版に比べてほんのわずかな(1フレーム程度)遅延の差を感じるかもしれませんが、ほとんどのプレイヤーにとっては誤差の範囲でしょう。
さらに、スイッチ2本体が120Hz(1秒間に120回画面を更新)出力に対応した場合、スト6側も120Hzモードを搭載してくる可能性があります。 120Hzで動作すると、画面の書き換え頻度が倍になるため、入力が画面に反映されるまでの時間が短縮され、結果として入力遅延が減少します。
もし120Hzモードが実装されれば、スイッチ2版はPS4版を上回り、PS5版に迫る低遅延環境を実現できるかもしれません。
ロード時間は内蔵ストレージの活用が鍵
対戦前のキャラクター選択画面や、ワールドツアーでのエリア移動など、ゲーム中には頻繁にロードが発生します。 このロード時間が短いほど、ストレスなくゲームに没頭できます。
スイッチ2の本体ストレージが、現在のSSD(ソリッドステートドライブ)に匹敵する読み込み速度を持っていれば、ロード時間は非常に快適になるでしょう。 PS4 Pro(SSDに換装済み)と比較しても、同等かそれ以上の速度が期待できます。 特に、頻繁に対戦相手が変わるオンラインのマッチングでは、キャラクター選択から試合開始までのテンポの良さが重要になるため、高速なロード時間は大きなメリットとなります。
PS5版・PC版・スイッチ2版の予測スペック比較
ここまでの内容をまとめると、各プラットフォームのスペックは以下のようになると予測されます。
項目 | PS5版 / PC版(ハイスペック) | スイッチ2版(予測) | 備考 |
---|---|---|---|
対戦時フレームレート | 安定60FPS | 安定60FPS | 格闘ゲームの基本であり、最優先される項目。 |
ワールドツアー時FPS | 60FPS(場面により変動) | 30~45FPS(可変) | 負荷に応じて変動する可能性が高い。 |
グラフィック | 高精細なテクスチャ、豊富なエフェクト | スイッチ2向けに最適化 | 背景オブジェクトや一部エフェクトが簡略化される可能性。 |
解像度(TVモード) | 4K対応 | フルHD(1080p)前後 | スイッチ2のハード性能に依存。 |
入力遅延 | 非常に少ない(3~4フレーム) | 少ない(4~5フレーム) | 120Hz対応ならさらに改善の可能性あり。オンラインは快適。 |
ロード時間 | 非常に高速(SSD) | 高速(内蔵ストレージ使用時) | microSDカード使用時は速度が低下する可能性あり。 |
独自機能 | シェア機能、高グラフィック設定 | 携帯モード、ジャイロ操作などの独自モード | 持ち運べるという最大の利点がある。 |
このように、最高のグラフィックや極限の低遅延を求めるならばPS5版やPC版に軍配が上がりますが、スイッチ2版は**「携帯できる」「手軽に始められる」という唯一無二の価値**を持ちつつ、対戦ゲームとして最も重要な部分はしっかりと押さえた、非常に完成度の高い移植になることが期待できます。
ストリートファイター6 スイッチ2版を快適に遊ぶための環境構築とコツ
スイッチ2版ストリートファイター6のポテンシャルを最大限に引き出し、快適なプレイを楽しむためには、ゲーム機本体だけでなく、周辺環境を整えることも非常に重要です。 ここでは、コントローラーの選び方からネットワーク環境、さらにはスイッチ2版ならではの楽しみ方まで、具体的なコツを解説していきます。

最適なコントローラーの選び方
ストリートファイター6は、プレイヤーの操作がダイレクトに結果に繋がるゲームです。 そのため、自分に合ったコントローラーを選ぶことが、上達への第一歩と言えるでしょう。
万人におすすめのバランス型「Proコントローラー」
もし、どのコントローラーを買うべきか迷ったら、任天堂純正の「Proコントローラー」を選んでおけば間違いありません。 しっかりとしたグリップ感、押しやすいボタン、そして精度の高いスティックは、長時間のプレイでも疲れにくく、安定した操作を可能にします。
特に、スト6から導入された、簡単なコマンドで必殺技が出せる「モダンタイプ」の操作とは非常に相性が良いです。 ワンボタンで出せる必殺技やアシストコンボを多用するモダン操作では、ボタンの押しやすさが重要になるため、Proコントローラーの質の高いボタンが活きてきます。
携帯モードの手軽さとモダン操作に強い「Joy-Con」
スイッチシリーズ最大の特徴である「Joy-Con」も、もちろん使用可能です。 本体に装着したまま携帯モードでプレイできる手軽さは、何物にも代えがたい魅力です。 外出先やベッドの中で気軽にランクマッチに潜るといったプレイスタイルは、Joy-Conならではのものです。
スティックのストロークが短いため、波動拳(↓↘→)のようなコマンド入力はProコントローラーやアーケードコントローラーに比べて少し慣れが必要かもしれません。 しかし、方向キーよりもスティックの方が入力しやすいと感じるプレイヤーもいます。 これもモダン操作であれば、コマンド入力の機会が減るため、Joy-Conでも十分に楽しむことができます。
格闘ゲームの王道「アーケードコントローラー(アケコン)」
ゲームセンターの筐体と同じレバーとボタン配置でプレイできるのが「アーケードコントローラー」です。 精密なレバー操作が求められる「クラシックタイプ」で本格的にプレイしたい方や、ゲームセンターでのプレイ経験がある方には、これ以上ない選択肢でしょう。
ここで注意点があります。 スイッチ2でアケコンを使用する場合、「スイッチ2正式対応」を謳った製品を選ぶのが最も安全です。 これまでのスイッチ(初代)に対応していたアケコンが、そのままスイッチ2でも使える可能性はありますが、保証はありません。 また、PS5用のアケコンなどを変換器(コンバーター)を介して接続する方法も考えられますが、これも相性問題や予期せぬ不具合、入力遅延の増加といったリスクを伴います。
本格的にアケコンでのプレイを考えている方は、急いで非対応の製品を買うのではなく、スイッチ2の発売後に各周辺機器メーカーからリリースされるであろう、正式対応のアケコンを待つのが賢明です。
ネットワーク環境は「有線LAN接続」を強く推奨
ストリートファイター6のメインコンテンツは、世界中のプレイヤーと対戦するオンラインモードです。 このオンライン対戦を快適に楽しむために、コントローラー以上に重要なのが安定したネットワーク環境です。
結論として、可能な限り「有線LAN接続」でプレイしてください。 Wi-Fi(無線LAN)は非常に便利ですが、電子レンジや他の電波の干渉を受けやすく、通信が不安定になりがちです。 通信が不安定になると、ラグやカクつきが発生し、自分だけでなく相手にも迷惑をかけてしまいます。
スイッチ2のドックに有線LANポートが搭載されていれば、LANケーブルを挿すだけで安定した通信が可能です。 もし搭載されていない場合でも、別売りの有線LANアダプターを使用することで接続できます。 快適な対戦環境を整えることは、オンラインプレイヤーとしての最低限のマナーとも言えます。 一度、有線LANの安定性を体験すると、もうWi-Fiには戻れなくなるはずです。
モニター選びのポイントとテレビの「ゲームモード」
TVモードでプレイする場合、使用するテレビやモニターもプレイフィールに影響を与えます。
ゲーミングモニターという選択肢
入力遅延を少しでも減らしたい、という方は「ゲーミングモニター」の使用を検討しましょう。 ゲーミングモニターは、一般的なテレビに比べて映像の表示遅延が少なく、応答速度が速いのが特徴です。
特に、スイッチ2版スト6が120Hz出力に対応した場合、120Hz以上に対応したゲーミングモニターを使用することで、その性能を最大限に引き出すことができます。 滑らかな映像と低遅延は、相手の動きを見てから反応する「見てからガード」や、シビアなコンボの成功率を確実に高めてくれるでしょう。
テレビでプレイするなら「ゲームモード」を忘れずに
もちろん、リビングのテレビでも十分に楽しめます。 その際に必ず確認してほしいのが、テレビの映像設定にある**「ゲームモード」**です。
最近のテレビは、映像を美しく見せるために内部で様々な高画質化処理を行っています。 しかし、この処理が原因で映像が表示されるまでに遅延が発生してしまいます。 「ゲームモード」をオンにすると、これらの不要な処理がバイパスされ、遅延が最小限に抑えられます。 設定をオンにするだけで体感できるほど操作感が変わることもあるので、TVモードでプレイする際は絶対に忘れないようにしましょう。
スイッチ2版ならではの独自モードで楽しむ
スイッチ2版には、他機種版にはない独自のモードが追加される可能性があります。 これらは、Joy-Conの機能を活かしたパーティゲームのような内容で、格闘ゲーム初心者や家族、友人と一緒にワイワイ楽しむのに最適です。
- カロリーコンテスト: Joy-Conを振った回数や動きで消費カロリー(あくまでゲーム内の数値)を競うモード。複雑な操作は不要で、とにかく体を動かして楽しむことができます。
- ジャイロバトル: Joy-Conのジャイロ機能を使ってキャラクターを操作するモード。コントローラーを傾けて移動し、振って攻撃するなど、直感的な操作で対戦が楽しめます。
これらのモードは、スト6の新たな一面を見せてくれるでしょう。 ガチの対戦に疲れた時の息抜きや、格闘ゲームをやったことがない人を誘うきっかけとして、大いに活躍してくれるはずです。
クロスプレイとクロスセーブに関する注意点
最後に、アカウント周りの仕様について解説します。
クロスプレイ対応で対戦相手には困らない
ストリートファイター6は、PS5、PS4、Xbox Series X|S、PC(Steam)といった、異なるプラットフォームのプレイヤー同士で対戦できる「クロスプレイ」に対応しています。 スイッチ2版も、このクロスプレイに対応する可能性が非常に高いです。 これにより、ハードの垣根を越えて世界中のプレイヤーと対戦できるため、「対戦相手が見つからない」といった心配は無用です。
クロスセーブは非対応の可能性大
一方で、注意が必要なのが「クロスセーブ」です。 これは、例えばPS5版で育てたキャラクターのレベルやランク、購入したコスチュームなどを、スイッチ2版に引き継ぐ機能のことです。 残念ながら、クロスセーブには対応しない可能性が高いと考えておきましょう。
これは、オンラインサービスの管轄がプラットフォームごとに異なる(PlayStation Network, Nintendo Switch Onlineなど)ためです。 したがって、すでに他機種版をプレイしている方がスイッチ2版を始める場合は、また一からのスタートとなります。
しかし、便利な活用法もあります。 それは、スイッチ2版のアカウントから、自分が使っている他機種版のアカウントをフレンド登録(フォロー)するという方法です。 これにより、自分の過去のリプレイデータをスイッチ2で手軽に確認することができます。 寝る前にベッドの中で自分の試合を見返して反省したり、外出先でトッププレイヤーのリプレイを研究したりと、スイッチ2版を強力な「サブツール」として活用できるのです。 これは、上達を目指すプレイヤーにとって非常に大きなメリットと言えるでしょう。
まとめ
ここまで、スイッチ2版ストリートファイター6のパフォーマンス予測と、快適に遊ぶための環境構築のコツについて詳しく解説してきました。
結論として、スイッチ2版ストリートファイター6は、携帯機という手軽さと、本格的な対戦ツールとしての奥深さを両立した、非常に魅力的なタイトルになると予測します。
最高のグラフィック体験や1フレームの遅延にもこだわる競技プレイヤーにとっては、PS5版やPC版が依然として最適な選択肢であり続けるでしょう。 しかし、スイッチ2版には「いつでも、どこでも、誰とでも」という、他のプラットフォームにはない圧倒的な強みがあります。
- 対戦の核となる60FPSは維持され、ゲーム性は損なわれない。
- グラフィックは最適化されるが、スト6本来の魅力は十分に味わえる。
- オンライン対戦はロールバックネットコードにより快適。
- Proコンや有線LAN環境を整えることで、プレイの質はさらに向上する。
- 携帯モードでのリプレイ研究や、独自モードでのカジュアルな楽しみ方も可能。
これからストリートファイター6を始めたいと考えている入門者の方、家庭用ゲーム機で手軽に本格的な格闘ゲームを楽しみたい方、そしてすでに他機種版をプレイしていて、新たな環境でスト6ライフを充実させたいと考えている熟練者の方。 そのすべての人にとって、スイッチ2版ストリートファイター6は、間違いなく素晴らしい選択肢の一つとなるはずです。